すべてのおすすめ
しあわせにしますと 言ったけれど
なかなか きみをえがおに できない
お味噌汁を飲み干して
おかずに手を伸ばして
やめて
ときどき きみを 見る
むずか ....
大学生ぐらいの小さな女の子が
自分と同じぐらいの大きさの
真っ赤なケースで
たぶん中身はそうであろう
金管楽器を背負って
のしのしと前から歩いてくる
普段は金ぴかの ....
さっきまでの雨が上がったようだ
雨の上がるように
ぼくも静かに死んでゆこうと思った
いまはなき
指揮者の合唱指導のエピソードを思い出していた
雨の上がるように静かに死 ....
歩くのはいつも なまの義足
寄木細工のじん帯をか細い骨で震わせながら
足裏に
肌合いのわるい
なじめなさを押しつけても
二つのものが 交互に役割を担うから
どこか
と呼ばれるcell(セ ....
ひとりで生きられる
生きられない
それとも、ひとりで生きざるを得ない
わたしってどれなんだろうね
※
無責任ってわけじゃないけど
ちょうど
満員電車のなかで誰かに寄り ....
鏡の裏に灯る鏡の
違わずに違うゆらめきたち
午後を夜にわたす道
満ちた花を踏みしめる道
窓のむこう
緑の雨
誰のためでもない
三重の檻
冬につらなり
....
昨夜の口喧嘩の
後始末もそこそこに
降り止まない雨の中へ
ぼんやり歩き出す
昨日より重い靴底
視界に覆い被さる雨傘
押し黙ったまま濡れる自転車
舗道にすがりつく安売りのチラシ
....
ベランダに座り込んで
柵の合間から足を出してブラブラ
コドモみたいだな なんて思いながら
いい匂いのする煙草に火を点けた
近くの中学校から聞こえるコーラス
悪くないな なんて思いながら
ふ ....
{画像=120223235940.jpg}
欠けた塊の怒り
輝くような怒りはあるか?
物質のように堅い岩石のような怒り
傷ついて欠けてしまうような怒り
純粋で結晶していて ....
公的扶助の受給者の列を写せ
民は思う
なぜ、もっとしっかり生きないのか
貧困で餓死した親子の部屋を撮れ
民は思う
なぜ、生活の保障を受けないのか
国や自治体の生活保護行政の抜け穴を ....
困らせたいわけじゃない
だけど困ってしまったらごめんね
トーキン
はる
左の耳から出てきた紙くずが
右の耳へと入っていくような
かさかさしたおわりのなさ
木の間にぶら下がる健 ....
空も
海も
荒れている
鉛色した浜辺に
鈴をなげる
こんな日であっても
ひとは
生まれ死ぬのだろうか
鳥たちは
季節を選ぶというのに
どんな理由があって
生まれ死ぬのだろうか
....
人生は手紙
読み進むごとに
春夏秋冬喜怒哀楽
答えは最後のお楽しみ
人生はビリヤード
当たり当たられ飛んで行く
誰が誰を動かして
こいつがどいつに影響されたか
白玉だって分かりはし ....
ちくしょう!
畜生畜生ちくしょう!
と いう波 何度来ただろう
生きていて
どうして人は
他人の不幸やかなしみへ
軽く哀れみの言葉の一つでも投げてみれば
反応次第で
次から ....
空は短く
銀の上に立ち
冬は冬をめがけ来る
次々と次々と突き刺さる
次々と次々と遠去かる
夕陽に押され
倒れる鉄骨
北の北を向いている
冬の指の
影だけが動く ....
顔見知りの男が死んだ
いつも何かにイラついていて
斜に構える自らの姿に酔いしれていた
そんな一人の男が死んだ
※
よくある話しだけど
おんなが二人いた
別れた奥さ ....
皆 やんややんやとなる
ネガティブな言葉は封印され
予定調和的な空気が充満する
皆 表に見えるところは曇っていない
しかし心の奥は恐れおののいている
円を描いて座っている いびつな円
....
勝ってどうする
この世のゾンビ
違和感のある前向きさ
未成熟ないのちのちから
勝ってどうする
この世のゾンビ
勝ちがあるから負けがある
黙ったまんまで
....
明日は 今日よりも軽やかに
と我々は{ルビ希=のぞ}んで
今日は 昨日よりは{ルビ厳=おごそ}かに
と我々は慎む
平穏になればなるほど
勝手にもがいて 考えこんで 苦しが ....
早起きしトコトコ山を登り
見晴らしの良い場所で
うんと息を吸うと
朝の新鮮な空気に
満たされたような気がして
ぼぉうと吐きだすと
昨日までの
凝り固まったしこりまで
山の空気に流さ ....
最初に見上げた時に見えた
生白い顔を曝け出した満月は
何度目の化粧を施したのか
もはやわからないくらい
ぼくの頭上を通り過ぎてた
その透き通った悲しい光の下を
ぼくは歩いている
最初に定 ....
人さし指を 探しています
誰かを指さして
不幸を笑う人さし指ではなくて
指と指の先を
そっと合わせれば
心のバッテリーが静かに充電されていくような
そんな
人さし指を探しています
....
まだ幼い頃
家族で夜の海へ
泳ぎに出たのだろう
若い夏草のような
家族で
私は玩具のように
小さな浅黒い生き物
だった
海もまた
生き物だと
生々しく感じたのも
それが初めて ....
地下に埋設された暗渠の中には
一条の光も届かない
真っ暗闇の水路を
とうとうと水は流れていく
行くあても知らず
後ろから後ろから 押しだされて
暗渠の中を盲目的に進む水
ここから抜け ....
ところどころ消えかけた街
不確かで確かな
曇の上 曇の下
逆さの青と白の午後
ひろげた腕と
土を向く手のひら
ななめに明るい推力で
飛び越えてゆく水の跡
....
ない
時間がない
眠りがない
ことばがない
つく 嘘もない
打ち明ける 真実もない
積み上げる 思想もない
吐き出す 幽霊もない
絶叫する 空白もない
....
夜行バスはどこをめざしてゆくのだろうね
彼女は旅行雑誌の安い旅先にのるのかな
闇はやわらかくひろがっている
人間はどこまで自分をつくりかえられるのかな
カルマ=人間の業は命 ....
子供の頃
ぼくは信じていた
何処か遠いところに
黒い湖があって
そこには首長竜が棲んでいる
(お父さん
黒い湖はどこにあるの?)
ぼくが尋ねても
お父さんは何も答えずに
....
不幸の似合う女優さんって
近頃みかけないよね
それだけおんなが幸せになった訳ではなさそうだけど
ひたすら運命と向き合う生き方って
求められていないのかな
※
冬の日差し ....
今夜こうして詩を書くけれど
世界中にある様々な不条理や
悲しみや痛みを知らない訳ではない
この国を覆う様々な矛盾も
今こうしている時にどれだけ多くの人が
不安に慄いているかも
ただ今夜 ....
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