すべてのおすすめ
どうしよう なきそうだ
いままで あまえていた
ははの
せなかから
すべりおちてしまった みたいだ
あんまり
ちいさくなっていたから
なでてあげようとした ....
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静か ....
雨の天使が
岩の物語を読んでいる
{ルビ静寂=しじま}と{ルビ静寂=しじま}を
鳥の声が{ルビ継=つな}ぐ
焼き捨てられた本の煙
地から天へ帰る雨
恵みの恵み
....
雨を見る蝶
草を分ける黒い道
滝の音にふりかえり
光が空を割るのを見る
西の半分がとても暗く
夜風は水のにおいになってゆく
壊れた傘が
春を乗せたまま川を流れ ....
僕は、女が欲しい
女のかたちではなく、女というものだ
できれば女のかたちに入っていると
うれしいが
それが別のかたちでもかまわない
君がもしも男だとしたら
僕は女というものになりた ....
紙屋町から橋を渡ると
折り鶴に祈りを捧げるための
順番待ちの列
それは確かに祈りのかたちだが
朝夕の公園掃除とは
似てもにつかない
ベンチに座り
おにぎりを取り出すと
えらそうに鳩 ....
今日も誰かに傷付けられた
気付かないうちに痣があちこちに
あの瞬間の言葉が蘇って
恐怖に震えている
何が怖いのか判らないというのに
どうして私にあんな事を言うの
凄く苦しくて夜も眠れな ....
夜と衣をまちがえて
午後の星を踏みしいた
小さなしずくは列を知らない
うたはいつもひとりに生まれた
指の色が溶けてはあふれ
紙の道を分けてゆく
紙の色は不義の色
....
ボウフラは夢を見る、
希望の果ての、
水溜を。
カゲロウは旅立つ、
蜃気楼の彼方の、
空を求めて。
カタツムリは、
無理をする。
せっかちなん ....
ああ、男は36階の屋上で
誰一人居ない 屋上の一角で
この世の切なさと
この世の厳しさに
ゴクゴクと酒を飲む
だが、しかし
不本意にもああ、不本意にも
足を酔いに取られ
誤ってフェンス ....
窓際で外を眺める四角い風景
透明な硝子が心を縛り付ける
ここにはいたくない
そう思うのだけど
どうして僕はここにいるのだろう
寡黙に歩く黒衣の参列
白い花に飾られた柩は中心に
誰ひと ....
怒りを失い
怒りをさまよう
朽ちた腕 朽ちた拳
いのりのように
ねむりのように
土へ向かう
目覚めゆく音
水紋の音
高く堅く過ぎゆく音
聞こえない風の戯れに
....
色とりどりの花片の散り敷かれた舗道は
華やかな体面をたもちながら
苛立ちを隠しきれずに風を待つ
永遠に灰色であることはささやかな安穏
たとえ幾千もの足に踏み入られても
艶麗である ....
{ルビξ=クシー}の波が
中庭のまわりを
ひとくくり漂う
崩れることなく
水平線までつながり
微笑みのはじまりのように微笑む
謎が終わり
風が生まれ
緑を示し
目 ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
空の明滅
月の繭
ささくれだった昼の陽の白
遠くにいるもの
遠去かるもの
時間に消されることのないもの
冬の霧が
音の無い滝となり
落ちてくる
地から立ちのぼ ....
雨のなかをはばたく雨
すべての音が去った後で
高く遠い静けさのように
冷気の指はやってくる
はじめて息を見つめるように
生まれ出る何かを見とどけるように
空が降り終 ....
空がうねり
濃さがまわり
夜は満ち足りる
放つもの
発するもの
それらに応え
季節は猛る
風が風に入り込み 抜け出る
けだものが雲の履歴を見つめる
残されることも ....
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった
時計は無慈悲に
時を奪っていく装置
刻んで ....
こんなにも黒が
似合っていいものか
ゆらゆらと漂うようにそれでも
しっかり全てをわかっている雲は
僕を見下ろしたりはしない
不思議なものを検索すれば
きっと僕の目の色がヒットするの ....
今ここに綴る詩も
膨大な詩の海の中の
一滴として
いつか人々の中で
忘れられていく
時代を超えて
口ずさむ詩を
綴れたらいいのに
詩は努力したからといって
....
私は今、推敲している
これは人生で最も重要な推敲かもしれない
私はとっておきの傑作を書こうとしている
と言ってもそれは詩でもなければ小説でもない
広く世間の人々に読ませようという意志もない
....
鉢植えの花が咲いていた
色とりどりの花々が咲いていた
しかし どいつもこいつも嘘っぱちに思えて
可憐な花びらをえいっとばかりにつねってやった
花の香りに誘われて蜜蜂が飛んできた
蜜蜂が耳の周 ....
夜の水の手をにぎり
雲はなかへと入ってゆく
すこしけだるいしあわせが終わり
空と地とのさかいめは
わからないまま
いままでのまま
うすむらさきに ....
光の粒は増えては落ちて
空の青に波紋をつくる
大きな花の季節を切り
空を開け
冬を散らし
登山者の凍えた耳に
言葉を残す
雲の奥の淡い砂の陽
ほどけては集まる鳥 ....
土の光
空の影
獣のかたち
砂の雲
ゆるい風が作る蝶
水鳥のような
雨をゆく
すべてを乱し
飛びたつもの
湿気の輪と渦
金に現れる赤
刻まれ 燃えあがる
....
雨を受けとめるとき
光から醒めるとき
去る行為が消えるとき
ひとつの芽を知る
野をすぎ
雪を呼び
歩み 飛び 巡る影の
咲きひらく四肢を見る
温い朝の
羽のあ ....
遠
い
遠
い
昔
の
話
海
の
水
が
空
へ
と
引
か
れ
地
球
が
も
一
度
そ
れ
を
引
く
空
に
は
雲
....
午後 風
上下
光の水
空に触れ
ひろがる波紋
遠くから
ざらざらと
どうしようもなく遠くの原から
やってくる
色のにおい
短く魔を刈るもの
湿のありかを ....
夜の中の黒いオーロラ
帯の馬にからみつく蛇
ほどけながら近づく星は
月をかき消す粒の緑
沈むままに 見えぬままに
うごめくものは常にうごめき
まわりながらめぐりながら
夜は水 ....
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