すべてのおすすめ
旅に出るなら
夜の飛行機にしよう
このまま
一緒になるとも
別れるとも
僕らは決められない
別れらない二人には
夜の飛行機がいいよ
君は僕のことだけを
僕は君のことだけを ....
黒いノートの背表紙に黒い字で黒と書く
無意味
まるで全てを手に入れたような顔をするのね、
と君は言って ひどく辛そうに笑った
一つだけ欲しいものを言ってみなさいよ、
あんたの ....
薄曇の中途半端な昼下がりです
どうにかなるとつぶやいたあなたと
なんとかなると空を仰いだ僕と
いかがお過しでしょう
青混じりの雲は風に流れて
それでも僕等の真上です
少しずつ足 ....
午後三時の道の上
薄目を開けて寝そべっている
おまえの見る夢は多すぎて
電車がすぎても目覚めない
食い散らかして 蹴飛ばされ
胸も腹も治らない
同じ道 ....
目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
俯きがちという言い方は生ぬるく
人々の首は、方角の違いはあれど
完全に折れています
それぞれに掛かる負荷の為に
多くの頭は地面の方向へ折れています
左や右へ折れている首も ....
さいきんの
きゅうじつには
あなたが
いない
カレンダーの
あかいすうじを
くろく
ぬりつぶす
だから
きょうも
きゅう ....
今日は雨だな
職場に
自転車で通っているあなたは
不便だろう
俺は暇なのか阿呆なのか
あなたのことを心配している
こっぴどく
ふられて
電話も
留 ....
ベッドの中の暗闇で
心音を聞いていた
果てのない連続だと
考えが浮かんでは消えた
かちゃり
どこかで開いた音がする
流れてくる朝の匂いを
あくびのついでに吸い込む
ざわざわ ....
虚像の滲みが 君を遠ざけてゆくので
僕のほうこそ滲んでしまって
実はもう消えてしまいそうだ
のばした手が 精一杯で
君はもちろん虚像だから
つまり 精一杯も届かない
ああ真 ....
おだやかなのに
おだやかでない
雲の陽の今日
この翳りの日
聞こえくる歌
不思議な歌
矢をつがえることなく
矢を放ち
届くことなく
消えゆく軌跡
向かう先なく
散 ....
人のなかに 波のなかに
言葉を放ち
よろこびもしあわせも捨てようとしている
見知らぬ雨 見知らぬ路
見知らぬ緑
石にはね返る言葉を見つめていた
誰もが居るのに 誰も見えない
....
[一階の収納の他にも]
揺り椅子を二階まで運んでくる昔の爺。
じゃあ捨てて。
[部屋の窓が大きくて陽をよく通すなら]
こちらから透けてるとわかったのは13才頃。
部屋中央に揺り椅 ....
こん
こん
こん
と、こんやも
とびらにノック
いらっしゃいませ
たくさん
ふくんだ
もののなかから
すきな
きもちを
どうぞ
いろいろ
ふくみすぎた
....
説明が出来ない
キッチンの片隅
気付かれないように
涙が流れた
想いは
こぼさないように
シンクの横に
そっと置いたまま
君の夕飯を作った
テレビに目をやりながら
明るい声 ....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる
新しい言 ....
あちこちに月がひそむ夜
銀を一粒ずつ踏みしめて
雲をあおぎ歩みゆくひと
月の手は風
月の火は雨
ただなごむ
死のように
いのるひと いるりひと
いるり ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく
花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
あちこちに光を反射する海と
緩やかに登っていく山の斜面とに
張り付くような町を
通り過ぎる
ざあざあと
長い波間を
滑り込むようにして
通り過ぎる
穏やかと
それ以外に言いよ ....
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れた風が伸び上がる
カップに入れた珈琲はいつものように薄く
カレンダーは四月のまま終わらない
....
ポケットのなか
ちゃぽん ぽ ぷぃ
泉が ひとつ
水 さかな 跳ねる
クリスタルの音符が
りるん きん きりん
歩くたびに 響く
泉のなか
....
こぽこぽこぼれる 透明なグラスに
わたしが点滅するというのは
こういうとき なのだろうか
あふれる濃縮還元ジュースは
せつなくて
地下鉄の降り口をまちがえた
まちがったとわかっても
....
殺風景なこの部屋で
今日も娘が泣いています
しくしくしく じれったい
この土地に春などくるものか
私に春などくるものか
気付けは年だけ過ぎていく
さびれた夕暮れ この地にひとり
ちんけな音楽 耳 ....
しゃがれた体がとぎれそうになったら
ちょうど 一日がおわって
ちぎれ落ちそうな目を浴槽に浸したら
ちょうど まに合って
なんだか ぎりぎりなのだ
それでいて
真夜中には
....
墨の ように
雨が 落ちて
朝の駅に向かうひとびとの
ぼんやり
傘までが 喪に服している
今日失うものの分まで
悼む顔つきの 薄い朝
雨を 追いすぎて 私は
....
そよぐかぜに
おおあくび
くうきに
まじった
きもちよい
かぜ
このまま
ごろん、って
よこに
なって
まぶたに
うつった
あたたかな
おひさま
ほかほか
....
私が泣いているのではありません
私の中の
どこかが泣いているんです
涙でも泣き声でもありません
私のどこかの
傷みです
その日の雨が
今でも時々僕の肩を濡らす
廃園の木下闇に
置き忘れられたブリキのバケツ
松葉を伝い落ちる雫が
想いおこさせる
もうひとつの心臓
眠れぬ夜毎
消え残る雫がほのかに光 ....
雨あがりの
見えない水に仕切られた通りを
たくさんの人
静かな人
離れることを疑わずに
歩いてゆく
ずっとひとりで吠えるとき
震えがどこまでものびてゆくとき ....
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