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雨の終わりの無数のうちの
ひとつは残り 無数は去る
雨の終わりはつづいてゆく
午後が午後へ差し出す傷
土にこぼれ
土は黙る
封じ忘れた光から
誰も通らぬ道がの ....
見えない子供の夢ばかり見る
うたと声を指さしている
かすかな鉄の飛び去る音
鐘に落ちる音 水に落ちる音
岩を擦る木
火ははじまりを燃し
ほどきほどかれ 姿むすぶ ....
もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
暗がりに線の生きものがいて
音を切る円を描きながら
向かいあい 抱きあい
離れてゆく
陽の鱗が
じっとしている
割れてはそそぎ
鏡を反す
水音に挟ま ....
日陰の風が吹き
白い鳥が集まる
曇の淵
まぶたの上
雨は上がり
陽は遠のき
もうひとつの熱の雨も
水たまりを去ってゆく
上からの光が届かない穴に
花が ....
(1)
明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
ありのまま、
あるがままの姿であれと
ひとは口々にいうけれど
途方もない約束を
捨てたくなくて
潰れてみたり
飾りのつもりが
汚れてみたり
だれかが ....
ポテトチップスは無駄遣いなんでしょうか
主婦向けの雑誌を見ながら
(雑誌は、読む、というより)
(視覚からの情報が、その、)
(まあ、今はそんなことどうでも良いんだけど)
疑問がまたひとつ浮 ....
星をちりばめた蛇の肌
太く巡り
雑に巡り
生まれに生まれを撒いてゆく
道を吐き 道を吐き
肌は蒼に 空を空を
けして光のせいにすることなく
逆円錐に持ち上げる
....
カサブランカ
生まれてきたのだから咲きなさい
生み出されてきたのだから
生み出されずに
生まれてきた生命はいない
自分で自分を産むことで生まれる生命なんてない
カサブランカ
生ま ....
枝のはざまの朝と目が合う
銀に左をひとつ取られる
戻されてから夜を見ると
少し緑が描き足されている
気づかないことに気づくとき
水へ水へ遠去かる空
窓に到く世界の切 ....
行き先も知らない船から
紙テープを投げて
わたしは今日、生まれよう
別れを告げるために投げるのではなく
離れるために切れるのでもない
風に大きなループを描き
旅立つために
....
(心、あつく)
。
なつの海のふちに
哀しさがあつまる
はげしさの内情
イベントの回転ドアだけ
とても窓が蒸してる
波があつい
涙つめたく
背景にはラテン
砂で ....
指のはざまの双つの水
そら抄い空すくい
小さな渦に満ちる水
音がほつれ ほどけゆく
こぼれ たどり
道になる
毛羽だつ古い衣の袖を
水や鏡にそよがせて ....
太陽だけが焼く砂丘に
裸足で踏みいる
私という存在に影は現れたが
大きな耳の黒い犬が居た海の家は
まだない
深雪に分け入るようだ
試みの生はなく
試みの死もないので ....
だらしない服が
花のように香る
からだの線が
浮かんでは消える
あなたは
無言にたなびく
降る曇
くちびる
とじたまなこ
うしろあたま
ひとつかがやく
....
轟々とひらめく光に立ち
剥がれ落ちる痛みを聴く
壁の上で
ひとつはひとつに終わりなくつながる
こころみではなく
そのままを受け入れ
羽は生まれつづけている
火は ....
鳥の声 泡の音
鳥の声 泡の音
水のなかで
鳴いているのか
目をつむり
そこに居るものに会う
半分にし 半分を使い
残り半分が雨になる
わからないものを ....
内に向かって壊れた胸から
水がわずかに滲み出している
うすい陽の声
穴の数の息
草が逆に波打つ
濡れた色になる
夜の風のなか
渇いた音のなか渇きを疑う
....
うなじの寒さ
ひとつはばたき
去るものひとつ
来るものは無く
風が
糸のようにわずらわしい
抄い 抄いつづけても
言葉は砕け 言葉は消える
さまよい ....
原野の指
水と稲妻のあいだの子
空になる 花になる
うたにも うた以上にもなる
鉄の筒を風が通る
鉄の籠を轍が揺する
予兆の上の光が吹かれ
石の路地に鳥となる
....
雨が抑えている
気持ちにふたをして
重くのしかかるのは
度の強すぎる眼鏡のよう
咳こんだところで
深く吸ったところで
するのはただ、土のにおい
しみてゆくしみてゆく
こころもぬれて ....
誕生がある
触れずとも知るかたちがある
ざわめきの道のかたわら
夜を照らす骨に集う
晴れの下の輪
飛びたとうとする硝子には
溝を泳ぐ矢印がある
従わぬ背のまたたき ....
同じフロアの同じ間取り
南西向きの小さなワンルーム
好きなひとの去ったベッドに横たわり
ひとりの男の死を想ってみる
駅前のスーパーで買い物を済ませ
近く有料になるとかのレジ袋をぶら下げ
....
空の名は
曇ることが ない
大雨だろうと
快晴だろうと
空は、空
不純なものの一切を
それとは知らずに
ながらく含み
おそらく とわに
静止をしたまま
....
お好きでしょう?
と、高みから言い下ろす、雨の
密かな祈りは
花と花の陰へ、葉と葉の陰へ
しと、しと、黙られてゆく。
紫陽花から立つ水の匂い。
後戻りできない蝸牛の渦巻 ....
傍にいてもとってくれぬ夜に、
わたしの赤いあやとりが、ゆるり、たわむ。
想像の余地を失った惑星の軌道みたいに明確に、
ゆるり、
たわむ、
床に、
指の、
床にうず ....
数多(あまた)の田は
既に水が張られ
夜ともなれば蛙が鳴き、
やがて狂おしいほどの肌の火照り、
野鯉を釣った後の
烈しい血の騒ぎも抑えがたく
儀式は、六月のうちに
さも義人を装って
....
幾度も夜に月を着なおし
言葉を交わす別れも無く
樹と曇と星の重なり
灯火ではない明かりへ歩む
海辺の突堤に
子が腰かけ何かをつぶやく
聞き取れないまま
子の姿はか ....
{引用=ただいま}
毎年の
「ただいま」
が年々ぎこちなくなってゆくのを
自分で感じているのに
{引用=おかえりなさい}
あなたの
「おかえりなさい」
は年々なじんで
小川の ....
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