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僕らのみている世界が正立像だなんて
根拠のない迷信なのかもしれない
大地は空で重々しく草も生えているし
空は大地で星が涼やかに流れている
僕達は倒立した空の道を車で走り回り
42.1 ....
ロマンチストはどの時代にもいる
ここにも一人
彼はインチキ古物商と素人骨董愛好家の一人二役だ
誰もが経験するようなありふれた出来事を
時を超えて微笑みかける
運命という名工の作として ....
「世界、終わるんだってよ」
『終わらないよ』
「終わるんだってよ」
『終わらないよ』
「終わるんだってよ」
『終わらないよ』
「終わるんだってよ」
『終わらないよ』 ....
光に溶ける音を見ても
空と虫との会話を聴いても
鉛を持つもの
言葉を持つもの
神を発明したもののように
誰にも信じてもらえぬもの
....
けして知ろうとしないものよ
あなたの代わりにわたしが知ろう
わたしがいったいどこに在るのか
それすら未だに知らぬわたしが
....
飛行船を見た 音の目を見た
追いかけても追いかけても
追いつけなかった
おまえもおまえも おまえ以外も
わたし自身もどうでもいいと
まばたきをまばたきに吐かれた気がした
....
{引用=
天蓋は燭光の水あかり
心をてらす 後后のゆらめき
ここは、光さえためされ 路にまどう
教室の窓外に 黒光りする鱗の群れが、
古代魚たちが、泳ぎすぎる」
ありふ ....
冷たい汗
夜の金の径
いつまでも響く
足跡の径
塩の岩 塩の波
街のすきま
指のすきまを埋める白
痛みの音 静かな
水音
無垢の右目 狂気の左目
....
書きたかった
ずっときみのことが
心臓が血液を押し上げるように
月が魚を狂わせるように
まるで澄まし顔の
未開の詩よ
ことばの装いと枷とはわたしのもの
やがて旅人でしかい ....
散らかった新聞紙やカップヌードルの食べ残しに紛れて
暗号が見え隠れするこの部屋で心の銃をみがく狙撃手
ぼくらは思想をもたないトラブルメーカー
いまさら乱数表でこの世界のキーワードがやりとりさ ....
奥に仕舞い込んでいた未使用の
少し焼けてきた葉書の束
ふと 手に取り
書き始めた文字は
青臭くて齧るとまだ苦い
幾つもの文字を吊るしては
甘くなれと
この一つの息で長く吹き込んだ ....
{引用=
序、 みあげる
だまっていたら
うつむいてしまうので
みあげる
うつむくことは
わるいことだと
ひとりで
おぼれて
しまわぬように
みあげる
....
ふいにすべての影がまばたき
風がひとりだけ東へ動いた
野のはずれに赤が降り
子らは互いの手のひらを見つめた
山の中腹から星は集まり
壁に刺さり
地に刺さり
じっ ....
夜の糸への
餌を忘れて
窓は窓を狩り
いってしまった
風と臭いと
骸を残して
結露七番
女だというが
どこをさがしても
あかしは見えない
結露七番
床が濡れている
小さな歩幅が
門をすぎてゆく
....
清らかな川の水に足を浸していると
冷たくて気持ちいい
足の先に触れる石の声が
沁みこんできて
生まれ変わっていくようで
何も考えずに
河原に転がる大きな石となって
....
何だか
疲れたから
働くのはやめにしようと思う
その方が 良い
詩を書いて
誰かに見せびらかして
生きていこう
新宿で
そしてまた
夜が明ける
僕は インドへの ....
水と油は
反発し合う
反発するから
互いが成り立つ
水と油は
こばみ合う
こばみ合いつつ
となり合う
水と油は
よごれ合う
よごれ合うから
澄み分けてゆく
....
そっと触れてみた
あなたの手の暖かさに
涙がこぼれた
眠れない夜
無機質な光を放つだけの月にさえ
すがるように 祈りを捧げる
どうか、どうか、
この人の命の灯をいつまでも消さな ....
駅から流れる
家路を辿るひとの群れのなかで
ただ恐かった
人生や血脈が
にほん足でとぼとぼ歩いていた
それが恐くて
点滅する信号を見つめていると
生きてい ....
指から少し離れた宙から
水が こぼれおちてゆく
紙を三つに切り
ひとつ あまる
ところどころ 穴のあいた肉から
音が抜け落ちてゆく
鬼の子が二人
....
左目はいつのまにか
左目になった
今も
怪訝な顔をしている
花を折っても
花のまま笑む
悲しくて
誰も見なくなった
海が窓を切り
壁にしたたる
冬の ....
いつまでたっても電信柱のようにたっています
恋は百万遍すどうりしてほかの誰かをむすんでます
それでもけっこう嬉しかったりするのですが
もうちょっといい脇役にもなりたかったりして
ギ ....
蟻だ
物凄い数の蟻だ
僕は
涎を垂らしながら
テレビのニュース映像に
釘付けになっている
パレードだ
角砂糖の数珠繋ぎだ
僕は
指をくわえながら
熱狂と陶酔の蟻の行 ....
熱射を吐き出してしまった夏は
老いて死んでいく
鎮魂歌を捧げられながら
あれは一時のめまい
傾斜する意識が
さらに勢いを増して
海の底に沈もうとしている
戦場に散った無名戦士 ....
{画像=120820013040.jpg}
風の音がとまった
日の光が強く押え付けてくる
ガラス窓のこちら側は醒めた水の中だ
連れ立った女学生が口をパクパク動かしている
子供を連れた ....
むらさきの家具
光の終わりの
粉と冬
星や海や
息の位置
誰が花でも
花を咲かせゆく
どれほど苦しい
苦しさの夜にも
光の角が
片目からだけ伸びてゆ ....
曇の無い空が
何層も重なり
広く平たい建物のように
さまよう色をして建ち並ぶ
夜のはじまり
手がつかむ空
ひらいて ひらいて
上の上の糸
波は常に流 ....
わたしと犬と
雪の契約
灰空と歯に
降りてくる白
わたしとすずめ
{ルビはなれてくらす=ちかづけぬまま}
わたしとすべて
{ルビはなれてくらむ=ちかづけぬまま ....
英霊など無い
優劣など無い
霊はすべてに泣く
遅く速く
時を踏み 高く
すべてに散り
すべてに撒かれ
すべてのすべての為に哭く
....
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