すべてのおすすめ
風が風で
風のままに風で
風以外のものすべてを
風に透している
焦げた港
暮れの青と水
人音の無い径
海に満ちる耳
空が空を剥がしてゆく
銀の彫像 ....
縦の渦の目
夜の窓をすぎる
虫の声の羽
笑む火の口もと
縦の渦の目
縦の渦の目
双つの花の目
早朝を泳ぐ
未満と未明の
機械的なまばたき
双つの花の目
....
瞳の奥底に隠れてこっちを覗いている
裸の抒情の手足を縛り上げ
哭きながら何度でも犯し続けよう
石切り場から運んできた
重い想いを凪いだ風に浮かし
寛容な字面をことごとく摩耗させて
のっぺら ....
はざまの多い森の端を
光の川が流れている
刃物の影が
水草にゆらめく
増えてゆくばかりの光の束を持ち
水にも土にも放れずに居る子
重さもなく熱もなく
ただ何も見え ....
はきつぶされた靴は
あなたの手にひろいあげられ
鳶の影は 青い空を円の形に縫う
午後、けれども其処彼処の綻びから
光は果物のように落ちてくるのだろう
川の終わりの
影ふらす樹に
最初の光が
瀧のようにそそぐ
ふかみどりの霧が谷を呑む
雨粒が土を齧る音
煙の十字
かすかに かすかに名を呼ぶもの
空と径が ....
紙の鏡が風のなかにあり
風ばかり映して黙っている
光の重さに
歪みまたたく
覆うことなく
重なることなく
ただ端は端に
先は先に触れ火を放つ
地に降 ....
片羽の鳥が燃えながら
旧い炎をついばんでいる
公園であり庭であり墓である場所に
両手に剣をかかげた子が立っていて
両目を閉じたまま鳥を見ている
....
見えている未来に うんざりし
見えない未来に 不安を覚える
どちらも本当ではないのにね
頬にできた腫れ物を
結んでいったら門になった
誰も通らないので
自分で通ったら
門も自分も消えてしまった
....
空が
ひとつの滴に落ちてきて
片目の上から動かないまま
やがて 消え去った
何か
わかってもらいたくないことが
あるようだった
....
薄闇の中に残された
一つの林檎から
向かい合い互いの髪を切った
鋏で剃刀で鑿で鋸で
欲深く嗜好を相手に負わせ続けた
二体の異形は言葉を上擦らす
「わたしたちは互 ....
森のむこうの白い水
近づいても すぎても
動かない水
空を映した飾りにも
動かぬ光の視線があり
さらに遠い白を見つめる
輪の内に火の内に贖いは降り
繁 ....
指と指のあいだのすべてに
見えない小さな輪がからみつき
食べても食べても消えてくれない
顔の横に 風を吹き出す鏡が居て
常に斜めを向いているので
首から上が映ることが ....
花を照らす灯が消えて
風がひとしきり吹いたあと
花は土を
濡らすように照らし出す
幾何学の家
同心円の小さな灯り
地の風が雷雲を追い
やがて窓は静かになり
....
持ち上げた指が空に触れ
さらに向こうへ向こうへと触れ
指でなくなりながらなお
さらにさらに触れつづけている
空を貫く珊瑚礁から
裸足の音が降りそそぐ
風が風を打 ....
物悲しいかたまりが
からだの奥をふくらませている
水がどこまでも
水であるのは悲しい
言葉の色が
明るく消えてゆくのは悲しい
むらさきだけが
....
結ぶ手の影がこだまする
無数の鉄路の冬を越え
灰がこぼす粉の首
白へ白へ 消えてゆく日
花があふれ
段をのぼり
影と話し
蒼を残し
水が水を伝え
音は ....
涙が しょっぺー
砂糖をぶっかけても しょっぺー
わかっちゃいるんだけどなー なー
霧刈る鋏
人工の風の音
常に遅れる秋
洞のなかの夏
空わける煙
蒼は時と雨
愛されていないほうの目で
午後を見つめる日
振り返る双子
誰も居ない径
....
広い空を駆けめぐって 笛の音が鳴る
温度も 音も風が吹いて やっと分かる
迷いの全て飛んでいく こすれてはひりひり泣く
夜の木の葉もこすれては鳴く
これから先 深くなる
親切な 夜の合図だ
....
歪んだ音符のかたちの窓に
陽も浪も午後も打ち寄せる
果物の恐竜が
燃え上がる
坂を下りる人
灰色の人
宴には決して
近づかない人
楽器を出入りしていたけ ....
エメラルド エメラルド
弦をおさえる指
年が改まる前の
閉ざされた窓
みすぼらしい小屋を風が揺らす
小さなかたまりが
ひっきりなしに打ちつけ
ひとつしかない灯 ....
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*
言葉が漲っていますか
心が漲っていますか
前を見ていますか
手を握っていますか
感じていますか
感動してい ....
夏が降り
降り終わり
何もないはざま
何もない宵
明るい
曇だけの
静けさが
滾る
横切っては消える
声と光
水たまりには
別のものが沈む
....
雨の名残りが漂っている
光がすべて上を見ている
半分は暗く
半分は泳ぐ
蜘蛛が青空をめくり
午後をのぞいては閉じる
空は泡に分かれゆく
見るものの目に分かれゆ ....
ああ神よ どうか
四十五パーセントくらいの誤解をお与えください
少なくても三十五 三十は行き過ぎです
勝手な想像と思い込みで
悩んだり喜んだり
怒ったり主張したり
素敵な誤解を捧げあって
....
父の手をさする
硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように
節くれだった
頑丈な父の手
鍬を ....
ダンボールに愛が1ヶ
ワレモノ注意
落とさないでください、くだけます
>吹いて
<吸って
<吸って
>吹いて
あたたかい息が
リードをふるわせると
やわらかい音符があらわれる
>吹いて
>吹いて
<吸って
>吹いて
さみしい唇を
....
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