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黒い林
黒い道
雨のくちびる
雨のうなじ
ひかり 流れ
ひかり 流れて
黒い衣
黒い鳥
探し疲れたむらさきの花
足首に咲くむらさきの花
水の上を
雪を ....
何も無いところで、
赤い、ランプ 点滅
吸い込まれたのは、
埃被った 夢でした
この部屋で生まれては
捨てられた、夢の一欠けでした
窓辺で囀る雀の夢も、堕ちました
死に遅れた蝉の ....
冷たい北風に煽られ
凍える霙に打たれても
白樫の木は黙して耐え抜く
容赦ない吹雪の最中
総てを失う事の恐ろしさに
怯えてはならない
大地深く張り巡らした根の先より
明日への滋養を ....
黒雲にひそみ
激しく眩しく光るもの
音速を超えて空気を切り裂き
激しく低く轟くもの
決して海の中には
ひそまないもの
巨大なものを打ち消し合って
生み出すもの ....
ちからはちからへ垂直に落ち
からだはからだへ傾いてゆく
気まぐれな風の格子
雪道に揺れる草の影
重なるようで
重ならぬもの
煌々と冷たく
空を持ち去る
何も書かれて ....
降り始めた雪に濡れながら
翔る若葉よ
じゃれて 絡まり
互いに触れた体の温もりを
互いの手の平に感じただろう
彼等は 彼等は
何処へ行ったのだろう
....
糸のほつれた万華鏡が
壊れかけながら空へ昇り
鳥に追われる鳥を隠した
ふるえつづけるふたつのものが
失いながら抱きあいながら
空を光にもどしてゆく
青と金は ....
遠くにいる人を想っている
列車は夜の手のひらをすべるように過ぎてゆく
舞い落ちる雪はその速度に蹴散らされて
散らされた後たいへん静かになり
静かに舞い落ちて
舞い落ちて
落ちて
落ち ....
月の咲く頃、青鷺が溺れた
川辺の彼岸花のように 恋に焦がれた
ひらがなの響きで、わたしを呼ぶ あの人
辛辣な言葉を並べるくせに
どうして時々 柔らかく、呼ぶ の
青い紙で鶴を折って、 ....
玄関先で可愛く鳴いた
多分 白い綿毛の小さなワルツ
昨日の残りの納豆巻きを手でわし掴み
走って探した
陽だまりの道
僕が好きなものを キミも好きだと思ってた
テーブル越し ....
水に姿と色を浮かべ
二枚の白い布をひたして
染まるもの染まらぬもの
ただそのままを見つめている
渇いた指で手のひらに
水がほしいと幾度も書くとき
空をまわりつづける葉は ....
手のひらのなか揺れる手のひら
波のかけらを抄いあげると
しずくは双つ微笑んで
仲たがいを終えた羽
海の光に照らされて
風は強く
雪をけしてつもらせてはくれない
ひとつ ....
あ、
あ、鳩の
光、銀杏の
光、それらの
光
ぱた、ぱた、
一時的な昼下がりが
水銀の微粒子の鳩として
アスファルトの日向へ、群がり
アスファルト ....
隣の白蛇が、
皮を脱ぐ。
彼は失恋すると、
いつも絶食して、
いつも脱皮する。
センチメンタルなのだ。
脱皮する少し前から、
蛇の目は白濁しはじめる。 ....
女
愛しいあなたを抱きたくて
透明から青
青から碧へ
変色する
この静かな淀みの池で
禊(ミソギ) する
今夜の月は丸いから
お前、美しい女になるのでしょう ....
他人に優しいって事は
自分にも優しいって事かな
君に優しい顔を見せるたびに
僕は自ら犯した罪を
古いものから順に消し込む
過去に犯した罪を贖う為に
君の気侭な振る舞いにも優しさ ....
ほつれ湧き出る緑の影
ふいに生まれ溺れるもの
双つの空と迷いの木々
巡りかがやく枝と枝
無数の緑のなかの一葉
空に立つ空
こがねの樹
波打ちながら遠去かる陽
金は緑 ....
ゆうるりと朝が来る
顔の群れは消えてゆく
ゆうるりがゆうるりと
いくつかのゆうるりを摘み取って吸い
ゆうるりと朝に満ちてゆく
波の光を背にして座り
髪は音にひたされてゆ ....
まぼろしの重さと
重さのまぼろし
戸惑いと迷いと
緑のはざま
きらきらときらきらと
取りもどせないものの列
手のひらに 手のひらに
降り来るものたち
むらさきが
....
朝の
冬の
わたしだけの酸素分子が
冷たく、サラサラと
肺に触れてくれわたしは
震えました
少しの日のぬくさにも圧され
再び惰眠の目つきで
食卓に傾斜してゆく
....
ときとき と 痛む胸
憧れなのか
せつなさなのか
見上げたら 空が青かった
冷たくなった風に
私の心がついて行けない
まだ
そんなに確かじゃない
決められない
このまま冬になろう ....
冷たい雪の降る夜に
わたしのからだは凍えてゆくから
わたしのからだは
小さくなる
わたしはわたしを抱き締める
冷たい雪の降る夜に
わたしのことを
わたしのほかに
....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光
目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった
不思議だね
振り返ることは敗北では ....
月が冴えわたる冬の夜
田園の雪の波が
月光に青白くきらめいて
をんなの肌に深く映ります
あぁしんど
酔い醒ましにちょいと表に出てきたけれど
伏し目がちな月影は
わかばにマッチをすっていま ....
はいいろ
ぎんいろ
雲の上に
雲がのるいろ
錆びた欄干がぱらぱらと曲がり
きんいろとむらさきいろを抱き寄せて
ゆくあてのない歩みを照らしている
置き去りにされた水 ....
嘘つきだった君を剥がしてあげよう
昼間のシャツは
白すぎたんじゃないか
夕飯のサラダは
潔すぎたんじゃないか
嘘つきだった君を剥がしてあげよう
すべてを明け渡し ....
静電気が怖い、怖い、私の手の平の保湿から
握られた硬貨がするり と逃走しては
自販機の隙間へ乾燥を求めて サヨナラします。
コイン投入口は私の指先から消え去った
お金の代わりに水分 ....
子供が
消えて
雲と、雲以外のものの境界が
曖昧になってゆく
遠い飛行機の轟音と、鼓膜とが
混同されてゆく
昼なのか、それとも
冬なのか
子供は
過ぎる為に走るのだっ ....
飽きられるのって悲しいね 淋しいね
いつか自分も
飽きるのだろうし
飽きられるのかもしれないけれど
一人でいるのも悲しいし 寂しいね
けっきょく人は寂しくて 悲しいね
寂しい ....
雲ひとつなく秋晴れの空
父の運転で越えていた峠も
いまならば
自分の運転で越えられる
アクセルの踏み加減でスピードを調節
ブレーキなんか踏まない
でも
思いの外カーブは厳しい ....
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