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秋
彼岸花が
血のように赤く
けど
金木犀は
甘く甘く
秋桜が
可憐に揺れる
冬
雪がたくさん積もって
大きな雪だるまも
雪うさぎも作った
手が霜焼けになっ ....
紛らわすために見逃した。だがすぐ寂しさに気がついた。
紫色の夜が駆け出す。文字は否応なしに同方向に顔を向け、背伸びしている。
膝先の夜を蹴っとばしたくなった。どうせ目撃者は星か水滴かなんかだ。 ....
底なしの真っ黒な空に
銀色の鳩が
ゆっくりと堕ちてゆくよ
小さな子どもたちは
遠くに旅立つ準備を済ませ
みんなで手をつないで
風に向かって立っている
大人たちは
かすれた口笛を ....
あの高い木のてっぺんにいるのは
多分ぼくだ
ぼくの知らないぼくだ
忘れていたのかもしれない
ぼくがすっかり忘れていたぼくなのだ
だから懐かしい
ぼくは手を振った
だがそいつは
....
レモン油にうたれ
泳ぎぬける頬白鮫
少年とケンカした後のように
胸の痛みを背で弾く
時には表情をくずせばいい
恥ずかしい格好で
私が下から足でこづいてあげる
知らない
....
茅ヶ崎の海を憶えていない
浜見平保育園も
それから後の二宮の
梅花保育園のことも
みんな憶えていない
母にきけばあの頃
ひとりで保育園をぬけ出し
街中をさまよっていた
こともあった ....
むせかえる香りに
あの日を思い出す
歪んだ視界には
何も映らず
唯々、君の香りだけが
鼻孔へと届き
この場所を潰す様に
俺を侵食して行った。
夕闇に沈んで
朝日に浮かんで
雨雲 ....
俺の仕掛けに引っかかた魚
あいつ等はもがいてる
逃げようともがいてる
半島の様な堤防の上
雨水と海草で凌いでいる
憂い無かった楽しかった
俺は晴天を闊歩した
でも俺が目 ....
無いものねだりをするよりはと
秋の白い雲流れる堤防で
ひとり
清貧ということばの意味に思いを馳せる
それはあまりにも懐かしいことば
仄かなランプの灯かりを頼りに
見果てぬ夢を追い続けら ....
石を投げたら
海に波紋ができた
ルーツ
無駄にして
深いところに落ちる
波紋を見上げて
できそこないの光に触れる
棒読みの辞書の中に
金字の注釈 ....
くちびるから洩れた
やわらかな言霊は
鮮やかな弧を画いて
森の揺れる夏の午後
無垢な白い笑い声を背に
七色の橋を渡って
空を掴もうと伸ばした
ゆびのすきま
棚引く髪の小高い丘のうえ
....
窓辺のロンリネス そこにいないで
翼ある者たちよ 飛び立て
あの青く澄んだ{ルビ高処=たかみ}へと今こそ
求めるものはあまりにも遠くて
追いかけてた夢にもはぐれてしまった
あきらめないで ....
濡れ縁に向かって
みずみずしい素足
包絡線ぎりぎりで飛ぶ
剥がされたもの
必要無かったもの
水に自分の貌を写したり
他愛無いうたにひるんでみたり
はるかな結末への
錯誤ははじま ....
一人ぼっちで
影を踏んで遊んだ、帰り道
空は何者かに犯されて
真っ赤に燃えていたことを
それだけを、ただ
覚えている
無垢な手のひらを伸ばした
見知らぬ稚児の瞳には
あれは、鮮や ....
夏の終わりに
巨大な鳥の夕焼け空で
大きく開けた嘴の中に 夕日がおちた
巨大な鳥は 薔薇色の雲にちぎれていって
後ろむきの 月が
踊る
いさり火の あかく燃えたつ 秋の暮れ
いっぴきの蜘蛛は、
自分の領分をわきまえて
一心に一糸の糸を張りめぐらす。
それはそれは正確で絶妙に
果して、
わたしはどう ....
て、手を伸ばして
やわらかくてをのばして
その、影
ぼくらに届いて
君は
ぬりこめられて
たいよう
やさしくしずみこみ
耳のあな
つぼみのように閉じ
ふとんを頭からかぶ ....
まばらな枯れ葉を飾った街路樹
細い枝先が交差して編んだような
小枝の投網にひっかかり
捕われてしまった晩秋の月
きっと月の頬には
網目の痕がついているだろう
憂鬱な月の溜め息が
....
胸の内
誰にも言えない
寂しさは
あなたがくれた
恋なのよ
捨てられた便座の{ルビ蓋=ふた}が
壁に寄りかかり
{ルビ日向=ひなた}ぼっこしている
日射しを白い身に浴びて
なんだか
とても幸せそうだ
もはや何にも感じませぬ
他人が何を言つたつて
まるで水を飲んでいるやうです
そのくせ気分は沈んでいて
むつと口を結んだまま
全てを見て見ぬふりばかり
少しばかりの優越感と
溢れんば ....
あの人はね
魔法の花が好きなんだ
夜に咲く黄金の花が
誰を待っているのか知らないけれど
あの人は待っている ずっと前から
満月の夜
魔法の花は満開で
あの人の影が映るだけ・・・
大きなクリの木を
蹴り上げて
うずくまり
道端のまだ青い
イガイガを触って
小首をかしげて
泣いた
上手に想い出を折り畳めなくて
冷たく湿った土の上に
焦げついた記憶 ....
両手で縁取った
自分の一部が
さらさらと溢れた
珊瑚の海
証明は
確かにここで
叫んでいたはずだ
鳴り止まない頭痛の合唱隊
落ちた眼球達
(ああ、愛 ....
消えたにっき
せいふくのすかーとが
はたはたと笑う
ゆうやけぞらがのどに沁みて
嗚呼
透けたひかりの音がする
あの頃のかなしみを
わたしは
のこしておきたかった
....
夜明けの空の色は
遠い昔に
見た標本の
大きな蝶の羽の色
{引用=赤い蝶はいないの?と
無邪気に聞いた幼子に
私は多分
嘘をついた}
白々と明ける夜に
いつかの朝へ
蝶の群 ....
やさしいのか
やさしくないのか
雨の日のあなた
約束の時間に
遅れたわたしに
何も言わないので
カフェオレを頼んだきり
わたしも黙って俯いてい ....
体が
向かい風にほぐされる
気の遠くなるような 長い
坂道で
すっかり気が抜けた街は
午後の光に洗われて
いつかどこかで見たような色合いに
染められている
道に落ちた影の輪 ....
ゆるされない原色のスニーカーをはいて/きみは逃げる。
閉ざされた校門をぎい、と引いて赤錆にふれる。
チャイムを背中に叩きつけられながらそうっとすきまを抜けていく。
クラスメイトの顔はも ....
あさがきつづけている
まどのうちがわにひびきだす
こなたかなたのかげほうし
まったきへいげんに
たつものなどない
よこたわるかぞえうたのこえは
おびえるでもわらうでもなく
ゆうぎ ....
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