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いつのまにか入日は焼け落ちていた
にびいろのざわめきとしじまが
霊気のたもとでからみあいながら
青い春の痕跡も堕ちていった
仰向けで腕組みしている「時間 ....
午前四時五十七分
うつくしくひかりに濡れた朝のなか
しっとりと艶やかな群青に紺碧にきんいろのそらのなかを
あなたはおちてきました
たったひとり
東京は潰滅しました
炎を ....
西瓜のように
まるい地球をぶらさげて
その人はやってきた
裸で生きるには
夏はあまりにも暑すぎた
冬はあまりにも悲しすぎた
ぽんぽんと叩いて
いまは食べごろではない
と ....
080404
コレでよい
コレで
ひとかけらの土塊を
脚で踏みつぶす
粉々にしてから
ふるいにかける
乾かしては水を加え
塊にして
叩く
叩く
....
壁
のひび割れを
空がうつろっていく
に
なりたい
あるいは気付いてほしい
私の複眼で
午前二時に佇む九段の鳥居は灯りを探し
一千里先で蛇が
黒光りをもって抜け殻 ....
夫の着ていたワイシャツの
袖口や襟元の生地が擦れてしまい
これで会社に行ってはいけないと
わたしが云い
名残惜しそうに夫はそれを差し出した
紺地に白チェックのワイシャツは
今日から ....
そこはいつも夜で 小鳥が深い森にさえずっている。
聞こえるかい?ねむる森の奥で
のびやかにさえずっている声が。
…ここはそこなんだ。ぼくらは飛んだんだ。
月の照 ....
どの経を択ぶも花野
そう呟いて少女が
コスモスの群れに混じる
大げさに手をふる姿に見覚えがある
一八歳の唇の硬さも
一輪を手折って
握りしめた形のまま風になって
彼方から押し寄せてくる
....
くらやみに
椿がぼうっと
咲いている
赤と白の
絞り
女のようだが
女のようでもない
花のようだが
花のようでもない
とても
黒い
緑色の葉
くらやみに
....
頭を撫でられながら読んでいた物語のこと。
宇宙船の中では電気の力で四季が生まれるという。
ならば、どうするの? と問いかける。父の膝。温い。
真っ暗闇では、ヒトの体は胸から眩い光 ....
春の雨に隠された怖れを彼女は見ている
幾つものしずくに映る逆さまの世界を
彼女は見ている
からだの動かし方は知らない
時代がかった衣装の代えもない
おひな祭りというものが過ぎて
誰かさ ....
飛び立つ後ろ姿を
どこかで見た
朝
の記述を
探して
黒く浮かぶ
記憶の島を探し
脳内を辿ってゆく
鳥
ほの明るい
Cellの海の
上空に浮かび
....
{引用=
咲く花の魂を抱きしめても
萌ゆる幸せは月光のように
透きとおってしまう
玻璃の盃に浮かべた幻想は
思い出のように甘くただようが
あなたの生命のときめきは ....
悪いことをしそうな夜は
思い出として残ってる
悪いことをした夜は
事実として残ってる
ただそれだけの違いなのに
昨日も、今日も、明日にも
かならず夜はやってくる
あな ....
背もたれが
椅子を飲み込んでいく
水槽の言葉で人は話す
たとえ古くても
あなたが好きだ
いつも日なたに
消えてなくならないから
またひとつ閉めらる
ガラスの窓がある
そして代 ....
空席と指定席の区別はなかった。真夜中だった。
列車の座席の上を
紋白蝶が、泊まり歩いていた。
誰かが置き忘れた携帯電話が、
蒼冷めたシートに語りかけていた。
沈黙が発光していた。それから消 ....
無機質な白い瞬きから
開放される
鳥の群れ
きらきらと羽ばたく所へ
ざざざ・・・、ざざざ・・・
心地よい雑音
身をゆだねる
私の心
おだやかに波打つ
生真面目な針から離れる
すべて ....
あの光を見るためには
少なく見積もって三昼夜を
眠らずに過ごさねばならない
昼に見れば
赤い眼は赤く
白い冠羽は白く
くっきりと残像を残すのだが
それは光ではなく
単に赤い眼であり ....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える
きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
窓際 春のはじめの陽に
鉢植えの花が咲いてゆく
緑の葉が孔雀のようだ
朝と昼と夜が流れている
その少し離れた台所の隅に
チューリップの造花がある
流し台のガスコンロの近く
ひそりと赤 ....
雨が降る
重く沈む大地
佇む電柱のむこうに
荒れた風景がひそんでいる
降り続く雨に
思い出が
霞む
やむことのない
雨音の隙間で
ひっそりと
時が無言でいる
今が幻のようだ。
....
唇を湿らせて
湿らせるからまた
乾いていく
いつかひび割れて
また舐められる
口の上に鼻があるのは
どうしてなのか
口で味わうときに
鼻も恩恵を受けるためか
初めての口紅 ....
その色
スカンジナビアの薔薇より
もっと赤い
沈み込むように
夜な夜な世界の果てまで
私のつま先から髪の毛の先まで
何も残さず
燃やしつくす
夢の砂漠は
いつか辿り着くと ....
舌先で春を捜している
鳥居に差し込んだ陽光に瞬きを繰り返しながら
カタツムリがミシンの上で踊っている
風に乗った時計の短針を
追いかける人々の手にはハンマー
舌先で春を捜している
電熱 ....
蛙の父さん
お玉杓子の時代が
懐かしいといふ
理由を聞けば
兄弟がいとおしい
といふ
額にあたる雨つゆ
を少し気にしながら
ゲコ
っと哭く
井戸水を拾って
足音をしのばせて
どうか誰にも
誰にも気づかれませんように 想いを、想いを、想いを
つるべを握って しのばせて
雨よ、雨 降るのは花 ....
名前も知らない君に宛てて
手紙を書いてみた
むしりとられた花の発狂
野イチゴの赤の絶叫
青い空の下で散歩しよう
手をつないだら
君の手は汗ばんでいて
遠く聞こえる汽笛の音に
錆 ....
目から涙が
流れるのを見ている
左耳を枕に押し付けて
横たわって
右目の目頭から
左目の目尻から
梅雨の日のガラス窓
流れて渇いて
それを部屋の中から眺めているような
す ....
穏やかな陽射しが窓を通り抜けて
空の写真立てを輝かせている
少し前の流行の曲が何処からから流れて
行き交う人々の足音が混ざり合い
触れた肩の痛みに声を上げずに
僕は明日に走り出す
....
昼の光は公平だ
悪いことだって許してくれそう
誰にもばれない秘密の場所で
ふと思いだした昔の罪を
さらけだしては、みんな前向きになっていく
主婦がふとんを叩いたら
社会人は旅に出る ....
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