すべてのおすすめ
詩を書くあなたは
言葉に恋をすることは
自由ですが
言葉と交際することは
禁止です
愛していることを
愛していると書いては
いけません
愛している以上に
愛を言葉で綴らなけれ ....
手を繋いだらと
俺は思う
あんな年老いた老女を、と
何もかも枯れた土地で、ほそくたたずむ
逃げようと思った事はない
この地平の何処かに、まだ残されているものがあるのならと
いつ ....
いつも留守のあいだに
ぼくのポストにたてかけられている
回覧板には
いくつもの恋の終わりがのっていて
ぼくはその欄を見るのがとても楽しみ
恋は突然に始まり
ある日うそのように終わってし ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします
眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
行け その細い径を通って
白銀の雨のふる 森のなか
あたらしい宝物の絡み合う蔓植物の
つまらない詩句の鎖を見て来い。
案外つまらない
つまらないものなのだ
それゆえに ....
流星 流星
おまえのしっぽを
わたしの窓辺にたらしておくれ
そうして
わたしを月までつれてって
ロケットやUFOより
おまえのしっぽがお気に入り
蒼い 蒼い
おまえのしっぽ ....
風吹けば
薄紅色の水玉模様
ありがとう
もう何も考えなくて済む
閉じこめられたら
二度と目覚められなくなる
それがいい
さ ....
最近冷蔵庫に
レモンを一匹
飼っていたら
今朝
絞られていた
何か飲むときにいつも
瞬きを忘れるおまえは
俺をじっと見つめながら
こくこく
ちいさ ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
ある季節の終りに
風鈴が
まぶしくゆれていた
わたしは 風へ帰れるだろうか
いつの日か
空で回旋する球形の庭園に
立ちよることが出来るのか
ゆれることと立ち尽すこと
そして、歩いた ....
「パリーへ二人で行こう」
あの頃は佐伯祐三に焦がれていて
寝物語に囁いた僕の言葉を
君は黙って受けとめてくれた
僕に離婚歴があることを
君は問わないでいてくれた
僕が夢見たパリーの空は
....
踏切の向こう側に立つ
少女の横顔に
六十年前の悲しみが取り憑いた瞬間
僕は
塵芥を掻き分け続けた両手と
石ころを蹴飛ばし続けた両足に
ほんの一刹那
接吻と落涙を捧げることができた気がした ....
雨が降っていたので
花を買わずに
帰ってきました
色が鮮やかだったことだけ
覚えています
雨が降っていたので
コンビニのお弁当を
食べました
ラップを取るときだけ
なぜかわくわく ....
深い悲しみの色だわ
胸に漂う紺碧の思い出たち
今でも夢に見ているの
あなたと出会った嵐の夜を
もう一度愛がよみがえるなら
私のすべてを捧げてもいいわ
あなたの腕の中で生きられたら
何もい ....
じいちゃん ねだっしょ
ばあちゃん ねだっしょ
とうちゃんも かあちゃんも
はぁ ねでしまったども
りりりりり
りりりりり
まどのそとさ きごえる
んだ ....
薬の臭気が私の鼻をつまむ
私は奇怪な妄想に胸ふくらます
青空! 空はあおい
そのもとに灰色の飛行船が飛び交う
私の脳味噌の断片
爆発した心臓の破片
鮮やかな紅の紙吹雪が
....
笑ってくれ
月がとても
浮かんでいるから
こんなにも静かな
何も無い夜に
道を歩いてるんだ
子供の頃
友達の家で見た
アポロの映像
いつかと
夢見た
あの頃はただ
夢を見れ ....
秋を彩る木々の中
野鳥の声の閑けさに
癒す心に色染めて
見上げる空に空はなく
紅葉の玉の中にいる
聞こえる音は微かのみ
落ちる紅葉がはらはらと
なびく梢がゆらゆらと
分け行く道に道 ....
あの日
花を活けている母のそばで
私は
剣山を手に押しあてて
痛み
その直前で手を止める
残虐な笑み
横たわる百合の花
その白さと
花の奥
見てはいけない遠い闇
青い花器 ....
{引用=「幸せの定義」とはなんだろう。
そもそも、「幸せ」とはなんだろう。 }
ママゴトして遊ぶ娘を見て考えた
彼女にとっての幸せはママゴトセットに違いない
切れない包丁とビニール製 ....
* 波の花 *
この旅路は来世への道
涙はいらぬ
微笑と
小さな夢と
持ってゆく
私たちは来世では一つの船に乗る
その先に咲く
波の花
消えて
* 夜の波 *
あ ....
母とふたり
ブランコを引きずって歩く
強い陽射しに皮膚は焼かれていく
健康に良いことだ
母は教えてくれた
たくさんの人とすれ違う
みな一様に微笑んでくれる
支柱が肩に食い込んで痛 ....
吹き抜ける{ルビ時間=とき}を感じて
思い出映し出したあの時
私の心に炎が燃えた
言いようも無い淋しさに
翼を広げようとしても
あの頃の青空はもうない
ただ風に吹かれて
心の嵐を鎮めるだ ....
やがて 太陽がいなくなると
星は蛍のように
空を覆いつくして
まるで蛾のように
5本の指を 光に絡ませて
僕は 月や星に 手が届くことが
とてつもなく素晴らしいこと ....
この街の果ての海はいつかみたあのひろい川の河原に立っていた
海まで10キロのしるべが指していたもの
海鳥がゆっくりと羽をひろげ
それは昔見た映画みたいにゆっくり瞳に映しだされる
....
僕の詩は、青い壺の中にある
壺は青く、眠れない。
眠りのためなら
この腕をもぎ取り、
(―さながらレモンのように)
真っ赤に浸してしまいたい。
美味いカクテル 女向 ....
光に飢えて
死んだ薔薇。
僕の{ルビ瞳=め}は唖になった。
食卓に赤い{ルビ染点=しみ}
ところどころに、
あの 暗い日の 思い出が
甦る。
ああ、与えてよ ....
ざわざわ
静かな海に漣が起こる
ざわざわ
胸の中に眠ったはずの想いが
静かに
静かに
閉じ込めた
中身を見ずに
静かに
もっと心の奥に
....
あなたのもとに
つながっているだろうかと
また海に来てしまった
彼方の水平に
上昇気流の痕跡が偏西風に流れて
波間に姿も映さず高く飛ぶ
渡る鳥、それよりもずっと星のそばで
焼かれる今 ....
ある日
夜、歩いていたら
街灯がやたらと
光って見えた。
何度目をこすっても
光って見えて
どうしても
吸いつけられてしまった。
だから、
もう
帰れないと思った。
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