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コンタクトレンズを入れる君の傍で
シンクに水を溜める音が響いている
悲しければ、と呟けばそこに
光るものが、あっただろうか
歌え、と促す君の指に 撫でられるようにして浮遊する
....
月を投げる所作で骨を嬲る
あなたよ
速度を落とし日に暮れ呼ばれ遊ぶあなたよ
春が待つようにして 白く落ちた嘆きがあるのだ
知らずして手をやる 水に揺れたのは破片であったか
....
かぜのつよい日に
まどを開け放して
ねそべっている
ちいさな
こどもたちは
光の輪を抱いて
右から左から
上へ下へと
舞い上がっている
雨は
そのうち降るだろう
月が ....
愛情は肉のかたまりのようです
二十をこえても十の少女のようだった脚を
愛情はたやすく女のそれに変えてしまった
胸にも腰にも腕にも愛情は柔らかく実って
腕のすき間から零れるような身体ではない
....
哀しみという名の街で
二人 出会ったの
涙雨の降る街角
空も泣いていた午後
さびしがりやの恋人たち
ガラス細工の傘をさして
色褪せた通りを歩いていたの
心の傷跡なぞるように
冷 ....
バスタブに沈むさみしさはやはりぼくの唇のふるえと共鳴する
今日も暗色に温もりのかたちを教えてもらいながら眠ることになるだろう
この手で歌うことに慣れたぼくは
いつもそれを不協 ....
隣のビルに向かって叫ぶ
レモン!
酸味を含んだ飛沫が
届くといいと思って
レモン!
屋上で
柵に手をかけて
レモン!
箱詰めにしたレモンを
宅急便で送ってお ....
星空をみてた
指で細い線を描いた
流れ星をみた
折れた花の茎のように
頭を垂れた
空が白む頃
帰りそびれた月が
少しだけ
....
受けとめきれない言葉が在るのは
なんら不思議ではなく
すべての言葉を
受けとめきれるつもりで
自らを削ぎ落としてしまう行為こそが
とても不思議で
ただ哀しい
それなのに
まったく等 ....
ようやく僕の窓にも光が差して来て
暖かな日差しを感じるようになって来た
めいっぱい窓を全開にすれば
この病んだ部屋にも新鮮な空気が入って来て
まるで心が洗われるよう
しばらく窓辺で風に吹 ....
青い色、胸底でからむ
糸は しんなりよわよわしく
しかしどうやったら、というほどに
むすぼれてしまって
ほどけようもなく
手と手をとるとき
ふたりは
どこにいても
山の奥を感じる
....
月が綺麗ですね
と、めくらの蜘蛛は言った
その晩蜘蛛は
首の無い木々が出迎える小屋で
厭世的な予知夢を見た
翌日
音の無い花を食みながら
蜘蛛は言った
....
二ペイジ――ある光たちが生まれ寄り添い、
限りない凝縮と拡散を繰り返す。永遠を覚悟
していた闇が解き放たれ。
三二六ペイジ――まだ足らないのかもしれ
なかった。それでも満足していた ....
「未明」に、誰もいない路上で、まだ雪にな
ることのない冷たい雨を浴びて、不十分な「
存在感」を薄く薄く展ばし、かつ儚いその「
光」を凪いだ海面のように留めながら、生き
死になどついぞ関係な ....
多くが欠けている
垂直に切り立つ湖面の繭に
かざみどりがある。
レンズは青根蔓を束ね
夕方が視域を転げ回る。
深さは灰いろとなって(青いろを揺り起こし)、
湿地帯の風の注ぐ
その湖に
....
夜の自由を机に並べて
いつまでも黒髪を銜えていると
あきれた午前3時が私の肩を叩いて
寝ないのか、と囁く
お前がうらやましいよ、
動けなくなった私に午前3時は言う
自由も哲学も持ってい ....
ミニバラ、カスミソウ、トルコキキョウ
ある揺らぎが産み落とされた、
この日
このよく晴れた日をふちどる、
あざやかな
あざやかな
モノクロの葬列
/今日も大量の薬を飲む。てのひらから ....
はるかかなたに悲しみを見据えて
黙り込むにび色の宇宙
風がはらむものに耳を貸して
忽然と姿を消すらせんの微笑
毟り取られて憂鬱を晴らせば
秋の日のようにどこかでだれかを待つ
その背中の ....
死んだ人の遺したそれは、決して起こらなかった何かを思わせる。
それは瞳に触れる直前に消え、冬のようにそこにある。
私はガラス窓に息を吹きかける。
そしてただ消えるのを待つ。向かいアパートのカ ....
目の前に海があった。
白く塗られた桟橋を、水着の上に服を着た人たちが歩いていく。
コーヒーカップは私の皮膚を透過せずに、指先でとどまっている。
すれちがいも融合もせずに、触れあえることを不思議だ ....
{引用=・・・私死ぬのね
はらはらと満開の桜が散る中
私死んで行くのね・・・}
最後まであなたの愛にすがって生きていたかった
少しは私に愛が残っていると思っていたのに
結局あなたは私 ....
靴の中に散らばったいくつかのジグソーピース(履いて出かける)
毛玉のついた毛糸の帽子をすっぽりとかぶる私の頭
発熱する横顔を追いかける冷たいからだ
掃除機で吸い込む埃と誇り(ないと呼 ....
庭園を吹き渡る気流に乗って山脈を越えると
なだらかに広がる山腹の緑の森と
森に囲まれた湖
そして川があり滝があり
庭園を巡る園路は地形に沿って這い回り
緑の平原は地平まで広がり
その地 ....
境界。光がゆるやかに拡散し、とびはねて。
舞い散る分離した色、いろ。
/夏の砂だの、猫の毛だの、ゆくえのないか
んじょうだの、とかげの過剰なしっぽだの。
大気はそんなものをすべて包容するの ....
あまりにも偶然の
そういったひとつの雫のように
午後の空は案外小さいものだ
倒れている私には
自分が呼吸をしているのかさえ曖昧で
ただ
降る眩しさだけがほんとうだった
(やっぱり ....
俺の汚れた背中
崩れかけのブーツ
タバコの臭いのジャケット
くすんだ髪
涙はまだ流せるる
闇雲な声
尖がった喉
しわがれた足首
蚤の付く脛
涙流せるる
べらんめぇ
....
*
凭れたなら
鳥のように
木の欄干は鳴いて
帯のゆるんだゆかたのむねと
あのうみは
つながっているよ ....
冬を鏡に鎮めながら
ひとつの影がすぎてゆく
向こう岸の曇
波に消える道
足の痛み
汽笛 光
はらわたの音
はらわたの夜
風は足りて
水は足りな ....
木立には
そう、夕闇がたっている
じっとして
僕じゃないものが
僕よりも、もっと素晴らしい中身が。
小さく膝を抱えるのは、
積もりつもった、
過去視の、少年
くくるるどどう
小声で鳴いている
行儀良 ....
朽ち果てた誰も訪れる者もいない廃園
寂れた石畳の道をひとり歩く
色褪せた花壇には花一輪すら咲いてはおらず
春を謳歌していた面影はどこにもなかった
かつてこの花園で一輪の花を摘んだことがあっ ....
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