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夏休みにしか帰らない
実家の銭湯には
青い富士山の変わりに
緑のペンキが色あせ
ボロボロに古びた
一匹の龍の壁画が
どん と
風呂場一面を支配している
田舎のせいか
夏場 ....
大きな布を広げたような
遠さのない空
ほどけた糸が絶え間なく
無言の街に降る
僕は何を創ろう
濡れたその糸で
痛みを忘れた
この指先で
地平線を隠してしまうときの
きみのつま先が好きだよ
肩甲骨を両手でまさぐりながら
そう 僕は小鳥も気がつかぬほどに
ちいさくつぶやいた
地平線が見えないなんて
くだらない永遠なんか ....
むき出しの腕を風が滑っていく感触は、
洗いたてのシャツに袖を通した時によく似ている。
ペダルを踏み、耳の後ろで逆巻く風を感じながら、
夏がくるのだ、と君は思う。
街の影が ....
港の水に映るのは
それは月ではないのです
港の水に映るのは
それはおしりなのでして
おしりは逃げ出したのでして
僕はそれを追ったのでして
漁船に忍び込んだのでして
追い詰められたおし ....
街と
街の
間には
ホタルブクロの
小道があった
不安をかき消すように
折り取って
右手にいっぱいの
ホタルブクロの花束
とても白い花
空は青く
休耕田の中の
緑の小道
カマ ....
ぼくは詩を書きたい
生きているからこそ
美を感じ
詩が生まれるのである
今日もまた
朝の散歩をしていると
霊媒師に出会いました
嘘なのだろうと思いつつも
誰かを呼び寄せ ....
おさなき日
ことばを
覚えたぼくらは
迷宮の中へ
と投げこまれた
生きていることがつらい
というきみに
ぼくもそうだよ
とかえすことばは
むなしくひびくだけ
ことばなんか
....
空の水がみな注ぐ
水無月ならばこそ
ガクアジサイのぼんぼりに
青色 むらさき
灯りを点けて
こころの内を絵に描いてみる
哀しみ惑う雨模様は
霧雨に溶いた絵の具で
ぼんやり滲んで ....
深い眼差しを、
赤く朝焼けした巨木におよがして、
動きだすふたりの直きせせらぎが、
ふくよかな森の奥行きを高めて。
始まりは、乾いた無音を燻らせる、
茫々とした朝霧を追い越して、
あさ ....
二人でいるときは
想像
エデンの園
そして
失楽園落下恋
堕ちてゆく感覚に
流星を
一瞬の輝き
せめて二人でいるときは
排泄ではなく
闘争ではなく
見栄ではなく
....
眠りの国の君は
きっととても美しいのでしょう
けれど
其れが見れなくて
私はとても哀しいのです
君の伏せられた瞼の裏
封じられた瞳の色は
平生の黒ではなくて
もっと
緑と ....
カステラの
下のほうについてる紙を
取るの忘れて、そのまま食いちぎって
それでも
牛乳と一緒に
流し込んでしまえば
おなじこと。
あの子だけを愛するつもりが
ほかの ....
今夜も蛍光灯の光が恋しくて
都会の片隅で
人工の光を浴びに現れる
駆け下りてくる人影
坂道にカタカタ鳴って
わたし、知っているよ
手にしたビニール袋には
小さな石鹸と歯ブラシが一本
....
冷凍室に閉じ込めて
そっと 耳を寄せたりはしない
腹を裂き眼球を抉り
死なない形を創り上げて
寂しさを 裏側に貼り付ける
夜中の静けさが
硝子玉した眼に暗い光を燈すと
怯えた幼児 ....
何でも知った風な顔をして
厳密に言ってやろう
厳密に言えば
現在(いま)は現在(いま)たり得ない
全ては敏感に感じ取る
私の肌の所為
全てはびくびくと震える
私の神経の仕業 ....
木々の間からこぼれ落ちる月
あぁそうだ
あの空へ僕はもう一度帰れる
たしかにあの時そう思ったんだ
乾いた風を湿らせて
どこまでも走る 秋の土を
もう二度と戻れない
月日を想い
....
雨が止みはじめた頃に、
傘を差しはじめてみた。
びしょ濡れになって傘の下、
僕は何かに守られていると強く感じる。
道の向こう側から、
少年が歩いてくる。
あの懐かしい長靴の黄色が、
僕の ....
誰かがその両手に言葉を沈めた
すべての夜が時間通りになっていく
長い石段のその先で祈り続けてみた
世界はそんなふうに縁取られて
三十回目の離陸の後で
飛び立つ行方のさらに遠くをご覧なさい ....
睡魔の中で詩を書いている
まだ見ぬ1行を探して
視界は夢の中へと入っていき
詩を書いている
明るい緑色の柑橘系アルコールに酔い
体は蒸気する
暑さの中で目が覚める
ペンを握る
....
閉じ込められたように
草は伸びる炎天下
空は薄く笑い
透明な宇宙を透かしてた
線引きの雲
飛行機雲
地震雲
鳥居またいで此処の世は何処だ?
ラジオノイズにアナログの願い
島だ ....
真夜中の空気に触れて、夜行性の猫の気分
都会でだって星は見えるよ、ウソツキ。
暗い空を飛んでいく
夜間飛行の静かな旅路は
僕の想像を遥かに超えて、その先で
国境線をも越えてゆくのだ、ステ ....
あおくひろがる海
きんいろの空の境
ひかる波も白雲も
遠くて浜
ふたりで歩いて浜
ただ この一時だけでも
私とおなじく想ってくれれば
仰いではみおろす
―(わた ....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ
宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
....
世界のありったけの明かりに負けず
その人の背中越しに三日月が見えた
一瞬で長い腕がそれを遮る
活路を見出さなくてはね
しっとりした声で
それはそろりと湖底を撫でるよう ....
時間が、かたちになるとしたら
思うよりも綺麗に見えるかもしれない
夕日を右側に受けながら
止まった部屋が揺れた気がする
ほんの少しのリズムを
みんなが取り戻していく
いつかよりも欠けた ....
あなたの幸せを願う人は多いから
むこうでは元気ですか
だれにいうわけでもなく
空気が震えている
澄んだ空で祈っていても
空は青いままで
涙は降らない
*翔る*
頭上の
ヘリコプターに向けて
大きく両腕を振る
「おーい」って叫んだ
何度も叫んだ
声だけが
翔けていく
*風*
自転車の
ペダルを漕ぐのも
間に合 ....
君から何かもらえるなら
私は何をほしがればいいだろう
モノでも
コトバでも
私はきっと満足できない
キミじゃなきゃ満たせない
だから特権をちょうだい
....
君に何か届けるなら
言葉がいい
たった一言で
君を笑顔にして上げられるような
たった一言で
私まで嬉しくなるような
言葉を君に、贈りたい
他の誰にもで ....
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