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くすんだ黄色の水溜り
上を見上げ
雲が漂う空と
にらめっこ
林の中では
枝葉に溜まった
水滴が
我こそ水の男だと
言わんばかりに
飛び降りる
枯葉の下では
何やら
笑い ....
降り落ちてきた一輪の花のほころびから
少女のリボンの結び目が
はじまるのです
ほどけても
へいきなようにあっけらかんに
結んでいるから
髪の毛は
猫のように気まま
笑顔
....
風は言葉を求めていた
無言で動き続ける自分に
自分の存在を
何かにあるいは誰かに
伝えたかった
街は重厚な壁に遮られ
跳ね返されるか
止められるかで
風の居場所はなかった
風は森 ....
森の中で宙に浮かんで君の手を離さない
君とイヤフォンでこの曲を聴くよ
太陽の光を遮って君と僕だけの世界に視界を沈ませるんだ
海水を泳ぐようにどこまでも進んでいく
心の中を泳ぐように暗闇に塗れて ....
いつかの風が 世界を
ひとめぐりして また
吹きつける おもわず
手でかばって はからずも
傷のありかを おもいだす
その本を開くと
ガラス玉のような星がこぼれました
しみだらけの古い本です
星を見失わないために
すべての星に名前が付いていました
本にはページがなかったけれど
ページをめく ....
ひとりぼっちで
過ごしたい夜が
みずたまり
雨の波紋が
せまいむねのうちで
干渉しあう
ふたりだけで
見つめていたい夜が
みずうみ
交互に投げ入れた小石が
たいがんへ
消える ....
さわらして、
と
言った
しずかな午後がふる
街角の
記憶
つまさきから
うまれてはいけない、
と
たゆたう
あなたの声が
流線型になる
夕方
のこと
目をさ ....
( 世界は
( 透けた瓶の内にある
森の小道を裸足で走り
汗をかいたラムネの器の底を手に
真夏の空に傾ける
( 星のころがる、音がする。
{ルビ蝉時雨=せみしぐれ ....
ハレルヤ 君は気付くだろうか
僕の心が色付く事に
君と視線が ぶつかる度に
僕の心が震える事に
星空のドレスを 纏って君は
静寂の中に 溜息を漏らす
君の影が オリオンまで伸びて
永 ....
波の音に耳を潜め
ふたり
貝殻の奥に
響く
声を
懐かしみ
涙ぐむ
さよなら
波の花
消えゆく白
さら さら さらり
手を ....
車椅子に座る
小さいお婆ちゃんを
前から抱きかかえる
少し曲がった
「 人 」という字そのものに
なれた気がする
ごめんなさい、ごめんなさい
と繰り返すので
な ....
頭のずっとてっぺんから
かなたまでつつみこむようにはられた
透明なフィルムの外側を
音もなく星々がすべりおちてゆく
そのすきまに
かすかな灯りがひとつ
はらばいになって停泊している
砂浜 ....
目
永遠に
閉じる日が来ても
耳は
絶対に閉じないでいて
わたしの声を
受け容れていて
肩越しに過ぎてゆく
景色の速さに
その
狂おしいほどの
純粋さでしがみついて
....
心の中の海が騒いでいる
いつまでも鳴り止まない潮騒
僕は不安でたまらなくなる
こうして本当の海を眺めていても
聞こえて来るのは僕の心の潮騒か
それとも目の前にある海の波の音か
それさえ ....
私たちが校舎で出会うのは
おばけなんかじゃない
それは
だれかの通り過ぎていったあと
だれかの
いちばん子供だったときの
いちばん光に満ちた
いちばん軽やかな
いちばん無防備な歩み
....
死んだ魚のような
目をして
生きるエヴリデイ
舌が干からび
あう あう ああ
猫が絡まり
にゃあ にゃあ にゃあ
ほれ、
おまえの好物ぞ
喰え 喰え
目 ....
「僕の知らないところで音が生まれ、消えてゆく、それが悲しくて」
水がしょんぼりと肩を落とす
喫茶店の2階テラスで
心臓の鼓動みたいに
雨粒が弾ける
音が聞こえない
窓のむこうのことだか ....
僕はゆくだろう
鍾乳石の先で抗う
水滴の
夜のために
待つものも
さだかではない
暗闇のもっと底
染みこむ
朝のために
屈折がつくる道
灯台が照らす
霧の先に
ゆく ....
あなたが
私の本棚の
背表紙をそっと
撫でる
私が
親しんだ本たちが
小さく
揺れているのがわかる
ああ
それは
古本屋でね
あ
そっちは
お風呂で濡れちゃって
....
白鷺の羽音の通り過ぎるその、揺らぎ
一面の青葉、その遠くで駆ける声、という声
ここにきて姉は心から、静かに千切れてしまった
さあ行こう、にも飛ぶための脚は足りず
退こうにも継ぎ足す、言葉も無く ....
家の陰の家
窓に映る窓
白詰草 光の辺
鳥と風 声の影
低い曇を照らす原
曇とともに揺れる原
歩むもののないにぎやかな道
川岸に沿い 川に重なり
流れとは逆 ....
濡れた緑で
夜空を見上げる
数秒後にこの星空が崩れてくるのを知っている
そんな目で
おまえは言う
なんて きれい
薄い唇は街の光を捉えて
俺はその前に沈黙して ....
雨が止んだ
そして他の誰よりも
最初に光を見たのは
ぼくだった
光は止まっていた
その光をくぐるようにして
白い蝶が飛んでいる
風も止まっている
雨が止んだ
閉じていたものが ....
街角ゆれてる喫茶店
懐かしい匂いだ
君のいた場所
君といた場所
水玉模様の空綺麗だ
水たまりのふち
想い描いた
君の姿も綺麗だった
スカートの色、君の色
僕は夢中で探している ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
汗がそうであるように
涙がそうであるように
この胸の中には海がある。
私は一頭のザトウクジラに恋をした。
優雅に泳ぐ様が
アルペジオによく似ている。
勢いよ ....
国のためには死ねないけれど
恋人のためなら死ねると思う
そんなことを言う若者が増えてきたので
国は美しい女の振りをして
全国の若い独り身の男たちに
情熱的なラブレターを送りつけた
まん ....
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも
樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ い ....
ホテルのバスタブで
泡の中に沈んでいくシャツやパンツやら
ぐるぐる回して素足で踏みつける
ベッドから彼女が這い出してくる
「プールで潜らない?」
抑揚のないいつもの声
ゴルフで痛めた ....
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