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きれいなきれいなシャム猫と友達になりたかった
から、
毎日毎日探してた。晴れた日は陽光の跳ね返りの中まで目を凝らして、そして
雨の日は粒の隙間から覗き込んでた、時々片目をつむって。
うえの ....
しんしんと降り積む
それは胸に
その音は
震える左胸と呼応し合う
熱を飲み込む
それが胸の雪原を赤く染めても
なお
しんしんと降り積み
跡形なく覆ってゆく
冬の精霊
それはあなただ ....
たちのぼる
言葉と夜の境界へ
金魚がゆらり、にげてゆく
すべからく
広がりはじめる黒の祭に
あらがう手立ては
浅瀬にある
鮮やかで
にぎやかな
喪失のなかに
ある
....
いちばん高いまんなかのところで
ぼくたちは見ようとしていた
うすくあでやかな冬いろのいとが
ほろほろうねって逆さまに
暗号のようにふってゆくのを
ぼくはぼくたちはみたかった
みたがった
....
さよなら さよなら
季節は足早に過ぎ去って行く
あの頃の思い出も見上げた空の色も
今では遙か黄昏の彼方に
黄昏よ
いつの日もおまえはそばにいてくれたね
どんな時もその光に包まれれば
....
たそがれを
使って
フリスビーをしよう
向こう岸までとばせたら
わたしのかち
ってことにして
たそがれを
まるめて
叩いてのばして
ハサミを駆使して切ってたら
なんだか
さみ ....
本の中で、死んだ者はここに流されてくる
happy-endもbad-endも等しく
作業員達は
本棚の黴びた本を種火にして
廃材に火をつけていった
本が体を温める
文字を読める ....
君には誰かの面影がある
たとえば五月の風のような
たとえば素直な犬のような
ほとんどはじめて会ったのに
なつかしい気持ちがする
昔の画家の絵のような
どこかで聴いた歌のような
思い出そう ....
北のはてでは夏のさかりがみじかい
浜に咲きいそぐ大振りの花弁が悲しい
北のはてでは午後の日はながい
こどもたちは海から上がると
ひからびた流木を焚いて暖をとる
南のはての海に突きでた丘の ....
ころころと
笑いながら
転がって
水平線と遊んでいた太陽が
すとん、という音だけをのこして
消えたときから
五感をなくし
闇にのまれた
どこからか
歌が聞こえる
エーテルの ....
風に運ばれて
なつかしい匂いが
辺りを
湿らせる
葉の裏
こもれび
ガラスの小瓶
窓枠
ベンチ
まっすぐな歩道
言いかけた、名前
少し ....
はるか
昔を向いているひとの
すべてが灯りと
なりますよう、
祈るわたしは
濁れるわたし
ひとごとみたいに
まったく淡い
時刻表
五本の指があるわりには
そこに受け取ら ....
悲しみをとぼとぼ辿っていくと、駅のホームに辿り着いていた。なんだ、もう一度出発なんだ。そう気付いた時には、もう旅人の顔をしている。ホームには、自分以外の人影は見えない。柱に繋がれた雑種犬と、自愛に余 ....
風が変わったら彼に伝えて
セイレーンの歌を聴かせてあげるわ
一度聴いただけで夢中になるのよ
海が青く輝いたならそれが合図
やさしくしないであの頃の私は
恋に夢中になりすぎて何も見えなかっ ....
あなたの体の中を
馬のように駈けている命が
僕を見つけて立ち止まったのか
それとも
僕の中で安らいでいる
鳥のような命が
あなたを見つけて飛び立ったのか
あなたのまなざしと僕 ....
愛して欲しいと嘆く
私は淋しい薔薇の花
きっと嫉妬で燃えたぎる
炎のような黄色い薔薇
本当は清楚にたたずむ
白い薔薇になりたかった
やわらかくはにかむ
ピンクの薔薇の花でもいい
....
青いドームを突き破れ!
そうして憧れは
宇宙の彼方まで飛んで行くことだろう
僕らは青いドームの下にいる
まるで手の届きそうな天井に
僕らはいくつもの夢を馳せる
あの青い空間は一体何 ....
いつもの窓からは
光が差している
塗装の剥げた電車が転げている
昼すぎに、森の気配は
いくつかの季節を巡る
まだ青い瞳で
私は階段を昇っていく
となりの部屋の人たちの
....
*
紙でできた鳥は
もう、元通り
畳みなおした
オーバー/ネイム
清潔なベッドルームから
とびはてる浅いよるへ
**
つかいふるされた町
りょ ....
君に会えないその時は
花でも摘みましょうか
それとも窓辺で
恋歌でも歌いましょうか
花占いももう飽きた
君は{ルビ何処=いずこ}の空の下
誰を待っているのでしょう
さらさらさらさ ....
やさしさは省略された
ふりかえれば風速の弱い地帯
簡潔な救護をあずけた
そこかしこの明るみは
ひとつ、ひとつ、きみのなかに
重みを持っていく
ひとは、か ....
あなたはどこへ向かって跪くのか
大地を巡るあなたの重量は
限りなく鋭く削られていった
地中深くから天高くまで貫く一本の
明るい静寂の柱によって
あなたはどこからその声色を拾っ ....
赤い目をしたうさぎの耳に
月から
はぐれた言葉が落ちる
ので、
偽らざるをえないだろう
いつか
偽らざるをえないだろう
うさぎは白くて赤い目をしている
茶色や黒やまだら模様 ....
lights,camera
action
そこなら
life,cameo,
fiction
ここから
lies,meteo
illu z ion
,
ヒューマン
ネバー
ライ ....
{引用=
「カスタネットを叩く小さな手が、乾いた音を空間に弾かせて赤と青のあわいにある星を見つけようとする。白眼は青みがかっていて世界中の秘密を引き連れてまだ秘密を作ろうとしてい ....
ボールが転がる音がして
振り向いたら
それは冬が去っていく音なんでした
冬は寒いものを転がして
古くなったものを巻き取って
辺りをふかふかの風景にしていきます
それが春なんでした
....
もし よかったら
分けてくれませんか
眠らずに見るあなたの夢を
怒りを
悲しみを
もし よかったら
分けてくれませんか
翼を閉じた時
やってくる絶望を
未練を
空しさを
....
並んで歩く父と子が夕暮れの街を通り抜ける
父は子を見下ろしながら
子は夕陽を見上げながら
父は子供の頬を撫で
時折優しく指を沈める
その人差し指に伝わる
底がないような柔らかさと、 ....
猫になりたい
すまして本を読む
あなたの足もとでじゃれつきたい
猫になりたい
そのページをたどる指先で
やさしくのどを撫でて欲しい
猫になりたい
こんなに寒い冬の日は
あなたと ....
名前を尋ねられたので
火葬場の薪とわたしは答えた
山の落ち窪んだ場所にある
コンクリートの壁のなかの
あの鉄扉
白手袋
手袋は二足歩行して
乾燥した骨を拾っている
くすんだ ....
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