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愛は、{ルビ脆=もろ}い砂の{ルビ塊=かたまり} 
この手に掴もうとすれば
指のすき間から零れ落ち
{ルビ一時=ひととき}で姿を消す 

優しい陽射しのこぼれる 
窓辺の下にそっと置かれた ....
ありふれた背中には
きっとそれぞれの想いがある
流れ出した世界の中で
あの頃の事を考える

夏のラジオを聴いて
気が狂いそうに
泣いて叫んだその後に
山の葉が赤くなる頃

何を求め ....
夜が 森で 雨で 闇で

ボツリ ボツリと 雨が 闇で

明かりが なくて

明かりが なくて

この手も 見えない ほどの 闇で

森の木々は こうして夜を 明かすのだと
 ....
君は控えめに微笑む

今僕がここで笑ってもいいのかなって

君はそぉっと思いやる

おせっかいにはならないかなって

まだ

子どもの大きさしかない君は

その内側で

広 ....
人が集まるコンビニに
どこからともなく一匹の
野良犬がやってくる
ドアの横に礼儀正しく
来客の邪魔にならないように
座り込む

空を見上げる野良犬の
その眼はどこか悲しげで
世の中の ....
そうしていつも、一つの愛は
踏み{ルビ潰=つぶ}された駄菓子のように
粉々に砕けゆくのであった 

そうしていつも、一人の{ルビ女=ひと}は 
林道を吹き過ぎる風のように
{ルビ昨日=かこ ....
薄暮れて
眠り続けた一日が
黄昏に、朝と夜とを迷う視界に
君の小さい、窓辺に向かう後ろ姿が


棚引いて


まだ平原には届かないから
打ち寄せる波がこちら側を削っていくのを
た ....
曇り空に
夏が少し薄れて
鮮やかを誰かに譲った向日葵が
枯れた葉を恥じらうように俯いている

風に混じって遠い蜩の声が
髪を擦り抜けると
秋、と囁かれたようで
逝く夏に何か
何か ....
ねえ、コーマ
ひた走る夏がまたやってきたよ
クルクルと
額を通り過ぎる光の群れ
君は開け放した口で
笑うね
(笑う 笑う 笑った)

君は箱庭が沢山ぶら下がった
奇妙な棒をかついで
 ....
散り散りに成つて立ち止まる、僕等の目指したあすこは、
もう霧に霞んで見えなく成つた。

 
錆が零れる器、
ただ欲しいと手足を引つ掻いて哭く。
ささくれた指をどうか包んではくれまい ....
少年の庭に咲かれた一輪の花
匂われて
光られて
やがて散られてゆく
そんな花の花
の花の内側を醒ましてゆく
夏の繊毛
角膜
破瓜
少年は不安によって
空間を把握する
不安の立面に ....
海はまだ広がっているけれど

ぼくはもういらない


―窓を閉める―


室内が戻ってきて

マチスの絵がまぶしい

木椅子

ポトス

絵の中で金魚が{ルビ捩=よ ....
一.

 俺の知らない赤で
 雲が光の中で
 死んでゆくんだ
 今も

 おまえの知らない青で
 波が砂の上で
 壊れてゆくよ
 ほら

 見ろよ
 カモメの親子が今
 俺 ....
小瓶に詰めるものは
失くしたものなのです
悲しいものなのです

いいえそれとも

ザラメの飴玉
つやつやと輝くルビィの様なりんご飴
夢で拾った銀の螺旋

ああ、其らも失くしたもので ....
 夢のような 心軽さで
 私は窓辺にたっていた
 黄色い{ルビ灯=あかり}が漏れていた

 やみがたい 私の心のすき間から

 疲れた{ルビ貴女=あなた}のしぐさのひとつひとつが、
 ....
 ぼんやりとうつつの白い部屋のなか
 時折降りてくる過去からのデュエット
 
 驚くほどに長い時を越えて出会えた

 浮き沈み漂うだけの魂よ
 広く輝く未来への扉
 開く勇気今日こそ ....
語らう小鳥の 囁きも
野を渡り疲れた 風の旅行着も
みんなみんな小綺麗に 仕舞い込まれています
雨の衣服のポケットに
消えた森、そのものが すっかりと
畳み込まれているのです

 だから ....
夜のてっぺんに貼りついた
白く滲んだ月が
匂い立つような美しい夜

今夜もまたあたりまえのように
誰もが
それぞれの生を生き
それぞれの死を死んでいく

いま
ここでおれが生きてい ....
まだここにあなたはいた
片足だけ残って、小石を崩していた
篠突く雨に耐えかねて、隻脚は交わるように
ユグドラの樹の上に、交差した根に添えた


あなたの隣に倒れこんで、首に見 ....
冷蔵庫から ほろ苦い
コーヒーゼリーを取り出した
冷風吹きすさぶ 一番上の段
甘いフレッシュの上で
体育座りしている
君を見つけたのは
午後3時

 ああ、寂しかったんだね
 今日は ....
 白い鳩
 {ルビ貴女=あなた}の首のしなやかさ

 円柱を飾る髪の毛が 池のほとりで、
 緑の{ルビ水面=みなも}に 映えては、揺れる

 くろぐろと
 おまえの胸を 見せびらかせる
 ....
水が割れるのです

いま
指先の銀の引き潮に
水が
割れるのです


うなじを笑い去るものには
薄氷の影の匂い
たちこめてゆきます
たちこめてゆくの
です


紫色の ....
 
 
 


真夜中にふと 目が覚めることがあります

このときは夢と現実の境界線を確かに踏んでいるようで

もう一度寝ようか 起きてしまおうか

どちらの選択もとても難しい ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
 (なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して

僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
 ....
コンクリートの壁は
滑らか過ぎるくらい滑らかで
虚無が手を通して
伝わってくる

その平らな壁は
計算に計算を重ねた
蓄積そのものだった
自然への抵抗

しかしそれは同時に
自然 ....
魚、ありふれた、罪過。

魚の見る夢ではないのか?
僕の人生は、海の底で眠ってる。
時々僕は、息をすること忘れてる。

毎夜、溺れて目が覚める。
びっしょりと布団を濡らし、打ち揚げら ....
うんと強いウイスキーを頂戴。
赤いマルボロを灰皿に擦りながら女は言った
ハイヒールに収まった小さな足
指先に輝くネイルのスパンコール

私、恋愛には興味ないのよ。
赤くなった顔で女は言った ....
 白いかがやき!
 光のなかで 男は
 悲しみに暮れる。
 薔薇はまっすぐに
 男へ 伸びる。

 救いの手!
 その茎には棘がある、
 まるで女の指のよう。

 天空に 咲き誇る ....
どうか満月よ
あの人を忘れてしまいたい

あの強い瞳
あの柔らかな髪
時々見せる憎たらしいほどの笑顔
一つ一つ私をキュッと抱きしめて放さない

どうか満月よ
お願い満月よ
また満ち ....
 
 
青い目の太っちょネコは、ちいさくまあるい眠りからさめると、

弓をひくような格好で伸びをしたまま三日月になって、

別れをつげることなく真夜中の空へのぼった。


ぼくは満足 ....
石瀬琳々さんの自由詩おすすめリスト(3660)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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