すべてのおすすめ
鮮やかに 雲が
青空から 吊り下げられて
細いナイロン糸が
結び目を のばして
雲は動く
己の腕の寂しさが続くかぎり
雲は行く
己の知らないくにざかい
雲の影が落ちる
....
水底に 沈んで
息を 潜めている
君を 想って
死ぬのも 悪くない
だけど 僕が望んでいるものは
それじゃないってこと
つないでいた手をはなす
少し舞ったあと 消えた
....
明るみが つぶやく
影が出来ていて
潅木に 優しい陽光が
密かに 染み渡って
今日 静かな作業を編む
コスモスを風は包み
清涼な空気は
明るさを溶かし込む
ソーダ水の輝きで ....
遠いのは
距離じゃなかったのに
測ろうとしてしまうから
道のりはわからない
暗闇をいいわけにして
風に吹かれる案山子
守る実りは刈り取られ
朽ちていく
それが老いるということだと
思 ....
ぬれると しなだれて
くずれおちる 砂の花
わたしらも ひとしく
装飾の房を ほぐして
うけいれる 水の戒告
中学校の2年だったよね
はじめて、君にあったの
覚えてる?
あたらしい教室に入ったとたん
笑顔に出会ったんだ。
大きな瞳のショートカット
小さな華奢な体
が、きらきら
プロミネンス ....
日が真上から射すころ、そいつは塀の上にいた
眠そうな眼をしていた
日が斜めから射すころ、そいつは道路の真ん中で
後ろむきに佇んでいた
日が沈み空が真っ赤に染まるころ、そいつは仲間とじゃ ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月
あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が
ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく
冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
....
幼女を連れて
遠回りをして
橋を渡る
大雨で増水した川面は
ぐろぐろと濁っていた。
どす黒い鯉が2〜3匹
口をむやみに開け
潜ったり浮いたり
眼球を妖しい口に
吸い込まれる直前
気 ....
大地と空が
触れ合い
お互いを確かめ合って
一つに溶けている
横たわる夜は
静かな寝息が
そっと 部屋から漏れていって
夜景の街を満たす
夢 追うように
ベランダから
夜を ....
靄が立ち込めて
息を止めるほど
鈍く 濁った 沼
曇りの空を
正確に映し出す
水の留まり
大地の無意識は 静止していた
息継ぎが罪悪のような 静寂に
時として 陽射しは落ちて ....
つなぎ忘れた何かを探そうとして
それすら不意に
忘れてしまう
星空は
いつでもその名を受け取りながら
毎夜を必ず終えさせる地図
瞳がうつす一瞬を
嘘かと惑い
ときには真逆に ....
日蝕があった
月蝕があった
地震があった
飢饉があった
父方は山賊
母方は海賊
ロケットが飛んだ
ロボットが呼んだ
冬が来た
春が来た
氷河が溶けた
島嶼が消 ....
こわれている
こわれていること
そのことは
ただ こわれてしまったこと
かいがらのなかの
ほんのすこしの くらがりに
ことばを うしなって
うつむいた まいに ....
空気が乾燥して
映画館までの道のりは、西部劇の決闘シーンやうに砂ぼこりが舞ってゐる
モギリは陰気な女だった
人差し指を立てて「大人一枚!」と言ふと「3800円」と応へた
「いや、特別席 ....
時計仕掛けの光に沿って
俯いて歩き出す人
見えるかい? 街の灯りを
握ったナイフ 映し出してる
その輝きを 蒼白い月明かりを
夜空が落ちた日の 肌寒い真夜中過ぎは
細い腕 絡ませて ....
シェードランプの傘が割れ
光の手足はつかまれて
遠くの夜へと連れられた
そうしてもはや暗い部屋
明日の日付がめくれない
現在という塊の中から
わたしの輪郭だけを残して、わたしが
蒸発していく
夕暮れの空は赤く発光し、届かない高さで
じっとして居る
いったい、わたしは何に忘れられたのだろう
浮遊す ....
めをつぶると
しん と
みえる
それは暗い水に浮かぶ
水銀のようなひかり
それをすくい上げると
すこし かなしいおとがする
とうめいなうみの底で眠る貝殻
いつしかそれら ....
*注
http://www.quilala.jp/prize.html
で読める掌編小説『鳥男』のスピンオフ詩作品
鳥女は鳥であるから空を飛び
女であるから山に降り
やっ ....
紅珊瑚のゆりかごの中で
柔らかな月が眠ってゐます
美しい薔薇が月にキスして・・・
(カステラの香り!)
薔薇に棘などありません
棘は一つ残らず
詩人の心臓が受け止めましたから
柔 ....
またひとつ あらたな
欠落を ありがとう
ともに ぎんいろの
ページを すごした
しめやかな 夢の小冊
地図の上で抱き合った
そうすれば、どこへでも行けると思ったから
どこへでも行ける手軽さは
どこにもいない悲しさで
そうして、
ことばにできず
ただ抱き合った
飲みかけのペプシコー ....
女が泣くのはきまっていつも
金曜の夜
それも真っ黒な空に
針月が突き刺さった夜
だから月に二度はそんな夜が来て
女はおいおい膝を抱えて蹲る
女の涙が夜に垂れ込める
酒に酔った男が一匹 ....
野いちごを食べて、細いけものみちをわけいった。
蔦が絡まる門が、行き止まりを告げているが、
白い壁に覆われた一対の塔をもつ建物は、
わたしを甘い蜜のように誘惑した。
とり憑かれたように、門をく ....
東に開かれた 窓があった
ソファーにもたれて
書物に目を落としていた
部屋を採光された 光が
うねり 本を照らす
読み継ぐ事に 少し疲れ
目を空へと あげる
陽光は石をも貫き ....
群生する草木の
やがてはその根の深いところへ
むさぼって、むさぼって、
貪り尽くして やがて
ひとすじの地層となって閉じていく
のが わたしたち。
一匹の蜘蛛の
ぎんいろの糸を端から切り ....
暗闇に光る君の瞳
影から影へ移る君の姿
君は夜に生まれたから
そのまま夜を身にまとい
ひとり息を殺して闇を行く
夜は君の姿
闇は君の心
影は君の名前
そして沈黙が君の言葉
けれどそん ....
晩夏の草むらに足を踏み入れると
かわいた空気がひび割れて
よれた、真っ白いシーツが敷かれ
見たことのない男が横たわっている
あばらの上には、何本もの{ルビ径=みち}があり
そのどれもが、わた ....
{引用=落花することに歓びがあるとするならば
目の前に横たわる海鼠状の災禍を受け入れてみたい}
あなたと
わたし
コロシアムと密かに呼び合う
誰ひとり立ち入ることの無い塔屋の片隅で
ふ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122