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私の部屋の金魚鉢には
金魚が一匹いる
金魚鉢を見ていたら
すうと引き込まれて
泳いでいた
涼しい青い水の中
緑の水草ゆうらゆら
赤い尻尾はひいらひら
たくさん泳いだら
す ....
あなたはただひと掻きするのがよい
みぎもひだりも きにせずに
記号音を置いていくのがよい
まえもうしろも きにせずに
かなしみの波形のささやきには
からだを削いでみるのはどうだろう
か ....
白いノートに綴られて
想いを馳せる言の葉に
緑の草も踊りだし
涼しい風が身を結ぶ
心は文字に改まり
文字は心と伝えあう
赤い夕陽に染められて
夢を奏でる音の葉に
青い小鳥も歌い ....
まだ知らないあたしがどこかに隠れているんじゃないかなぁって
誰にもできないことができたりするんじゃないかなぁって
たくさんの人に必要としてもらえたりするんじゃないかなぁって
たっ ....
そら
そう
ほら
みて
ここ
そこ
むこう
ぜんぶ
ぼくに
とって
ふかく
やさ ....
あなた、アオウミガメの背中を
匂ったことはあって?
少女は
さして、答えを求めるふうでもなく
空と海の継ぎめを見つめたまま
潮風にふくらんだ髪を
そっと抑える
....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
握り潰した感情の矛先 枯れ葉ミライ
潰れた喉で悲鳴をあげるような僕だけれど
誓うよ たとえ太陽に眼を焼かれても
幼い頃 僕が母と 架空索道から見渡した照り葉パノラマは
....
おれを
崇めよ
讃えよ
おれを!
おれを!
このどうしようもないおれを!
この可愛らしいおれを!
このほろ苦く甘いおれを!
黒い円盤状の ....
私は白い風の一切れの布
陽に織られた交差のひとつ
あるいは帆として光りの波を漕ぐ
私は白い風の一切れの布
織り込まれた出会いの中に
これからゆく海の広さを知らない
だが私
人に羽織られ
....
#61
驚異的な安定感と正確さをもって
一本の真っ直ぐな線を
真っ白な紙に引く
その限りなく単純な美しさ
全く無駄のない澄み切った一瞬
そんな生き方が欲しいのだ
....
常夜灯の橙のひかりをおもい
月を電燈へと落すのです
此れは白いと申しますので
黄いろセロファンを被せたのです
此れは贋物
此れは贋物
けれど知らぬ事なのです
常夜灯のひかりな ....
誰にも変えられない、
どうしようもないくらいに哀しい
夕焼けのうかぶ空だ
巨大な軍艦みたいな工場を出ると、
街はたそがれ
百円均一の人だかりも
赤く染まっている
ネオンと張り ....
夏の涼しい夕暮れに
恋の病にうつむく友と
噴水前の石段に腰掛けていた
( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が
( 気づかぬうちにかけている
( 魔法の眼鏡は外せない ....
さびれた歩道橋の上で
夏を見上げると
空、空
本当に海まで続いているのだろうか
この橋の下を流れる車の群れが
緩やかな河口付近の川だったらいい
時折陽射しに煌めくヘルメットが
....
濡れた月は、
この上ない美味である。
薄く雲のかかった、
十六夜月の、
あの豊穣さといったら、
想い出しただけで、
灰色の大脳が蕩けてしまう。
満月の ....
世の中には
味を感じさせない味
があるという
甘さを感じさせない甘さ
苦味を感じさせない苦味
人はそれを
かくし味という
同じ料理であっても
どこかが違う
何かが違う
どこかや ....
あの子の瞳は遠くの方を見つめていた
見つめ合ってはいたけれど
その黒は、星が流れる広大な虚空よりも深く
氷に閉じ込められたまま、燃え上がるような黒だった…
その炎に触れてしまったら ....
【その1】
基本は10として
8 でよい場合
5 で足りる場合
いやいや
0.1に砕く必要もあったりするが
0.001だともはや諦めたがよさそう
さらに
....
手をあなたの腕に重ねる
たどる皮膚と凹凸と
なだらかな温度の違いが良くわかる
指をあなたの手のひらに
にぎりしめたね瞳の奥で
ぎゅっと そうぎゅっと
かさねたままの手を、五つの、指 ....
ほおずきの
鉢植えをもらった。
育てたことなどないけれど、
そんな夏も
いいかな と思った。
一緒にもらった
朱い風鈴は
ベランダ側の窓。
チリン カラン
カラ ....
夕立に灯す 命や
ほたるぶくろの ほのあかり
*
ゆうやけ 山の向こうから
風を呼ぶのか ひぐらしの声
あさやけ こどものはしゃぎごえ
まけじと陽気に あぶ ....
日没にはまだ少し早い
真昼の太陽で暖まった道は
この足どりを重たくする
ふうと
ため息に似て
諦めともつかない
息を吐きかけたとき
風が首のあたりを
掠めていく
この道の
....
日が暮れたあとの海岸は
月に映える波とまだ暖かい砂
泡立つ波がレースのように
波打ち際を白く飾る
肩越しに見えた打ち上げ花火
風に乗って来た歓声と
建物から漏れる無数の明かり
夜 ....
「こんばんは、お久しぶりね」
聞き覚えのある声に振り返ると
おんながひとり乗っている
「今日ぐらい早く帰ってきてね」と
妻にせがまれたのに残業を強いられた
可愛いひとり娘の誕生日だっていうの ....
涙流しながら
雲は
星にも空にもなれずに
僕と一体化する
僕は海を見た
とても静かな海
山も
羊も見た
そしてあなたを見た
ちぎれながら
....
せかい、というビンのなかに雨がふります。
あおくとうめいな悲しみが、
ガラスの内がわにすいてきとなって、
したたっていきます。
ビンのなかでも、
そらは、どこまでもはてがないようで、
....
あのハチドリの夏を思い出してみる。
誰もいないブランコ。
懐かしいプールのにおい。
今にも切れそうなゴムとぜんまい。
偽造された空を
どこまでも飛んでいった
僕のハチドリ。
君は ....
雲色のミルクをコトコトと温めて
お鍋はグツグツと音を出す
夜空を優しく撫でる様に流れ星が堕ちる
三回願い事を声にすれば願いは叶う
でも、本当の願いは胸の中に在る
北風は窓枠 ....
青春ということばの
苦さを
生臭さを
奥歯で力いっぱい噛み締めて
そこからまず
おれは
今朝の一歩目を踏み出すことにする
まるで素っ裸で歩いているみたいな
頼りなく
恥ずかし ....
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