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言葉を探しながら
言葉を飾りながら
紡いでいくやりとりで
君を近くに思ったりしている

優しさはわかっていて
スキだという気持ちも
隠そうと思わないけれど
本当の君はどこ ....
夢のなかの
無口な祖父のように
窓が
そっと近づいてくることがある


いつも同じ景色ばかり見ている
だから
無表情のままで
風のような息をしている


私は窓を見る
いや  ....
遠くに見える船
その上の地平線
子どもたちは集めた貝をながめて

頬を強く打つ風は
決めたはずのことを
すべて流そうとする

だから必死でもがいてるうちに
意地と
涙と
共存でき ....
昼に見上げた薄い月の
その不確かな存在感とよく似た
獣が私に住んでいる

恐らくそれはずっと其処で
私に気付かれる事を
待っていたのだろう

それにしても沈黙は余りに長く
お互いの黒 ....
君が上を向いて
吐き出している煙

間違えて
同じ香りを身につけたみたい

喉にしみる
グレープフルーツの果汁

穴を開けてもいないのに
欲しくなる粒のピアス

 ....
白くまが
冬に飽きて夏を生きている
空へ掲げた太陽から
モーター音がする
眩しくてほんのり暖かい
故郷ではインテリアでしかない太陽だ

夏の代名詞は軋みながら首を振り
永久凍土に芽生え ....
今すぐ
私たちが震えていることに
気づきなさい





春、春、
夏夏夏、
瞬きの度に私たちは
その色を、その言葉を
飲み込み、黙り、街路樹に
その芯に、 ....
言いたかったんだけど
きっかけが見つからなくて
その日は言わずに残した
次なんて
無いかもしれないのに

眩しさで何も見えないから
何度か右眼をこすった
駆け足で橋を渡る ....
青葉は青くないじゃないかと
君は言う
緑色なんて昔はなかったのさ
信じないだろうけど
私はそう思う

海も山も川も空も
青かった
全部濃淡があって
響くような青のモノトーン
白い波 ....
誰か、などとごまかすのはよそう
あなたを、思うときの空だ
湿った雪雲が切れていく
灰色の向こうに広がる薄い青
きっと強く、遠くのあなたを想っている
灰色と青色が近いのは空のせいだ

   ....
ペンダントをください、 あの日共に見た赤い、
赤いずきんをかぶった女の子の飾りの付いた、
ペンダントを



いつの間にか馴れすぎたこの日常から離れる術が欲しいのです
あなたと笑った ....
時折天井から記号が滴る

灰色の水槽の中には青白い都市が浮遊している

祭壇めいた台の上で
少年はくる日もくる日も
華奢な実験をくりかえす
時々淡いひとりごとを呟きながら

ほのかに ....
まよなか
くらやみの中から線路が延びている
金属のレールの上に耳を触れると
同じ路線の上を歩く子供の足音が遠くに聞こえる
もう帰らない
もう帰らない
稲穂が風にしなう
線路か ....
鍵穴から注がれる
細やかで執拗な視線に
いつまでも見つめられていたくて
わたしは部屋を出なかった
魅力的な、傾いたものへの憧れで
まとめて深い息をつく
……幼い頃、誤って内側から鍵を掛け
 ....
『若いということにはそれだけで価値がある』
『たとえそれが目減りするだけの財産だとしても』

そういった彼女の小指のつめは
鮮やかな朱鷺色をしていた
赤ではなく
紫でもなく
朱鷺色、とし ....
知らない町をゆく
晴天が聳え
すかんと何もかにも失せている
なるべくうまく置きざりにされて老いぼれたい

乾きたい乾きたい ああ 
かあ わ きたい の
曲がりくねった坂道むちゃくちゃに ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる

呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま

ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
冬の永く寒い夜
ふと目覚めると
胸の近く
暗がりの辺り
うぶ毛に包まれた
小さくて黒いかたまりの
軽すぎる体重が
かわいらしい

ちょうど昼間に
家の子猫を呼ぶと
飛んで跳ねては ....
(いつだったかよく覚えていないけど
 まだ寒い季節のこと)

シャッターの下りた商店街を
手を繋いで歩いたね
ふたり

(生ビール×5杯
 芋焼酎ロック×4杯)

酔っ払って
お ....
本の隙間から
光が溢れている

行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない

見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
 ....
†ヒスイ†


緑まばゆいこの丘に

君のヒスイを埋めよう

哀しみが溶け込んだ

君のヒスイを埋めよう


ぽつりと流れ落ちた

その温かなしずくの中に映りこむ ....
君は月の背に腰かけ
ハイコントラストな
羽衣を織っている



僕は
凍てつく風を避け
木のうろにもぐりこみ
草の蔓をあつめて
ささやかな輪を作 ....
文字のとおり
捻りなんて何もない

暗い
冷たい
厳しい
季節
でもその下で
新たにはじまるものがある

暗いからこそ
明るさを
冷たいからこそ
温かさを
厳しいからこそ
 ....
君のまぶたと
君の四肢が重くなだれる
夜、
セミダブルベッドの上で耳をすまして
スーパーカーが空を飛びまわる音を追う
「月に向かうあの人たちには
 わたしたち、きっと一生届かな ....
いつからか
従えずにはいられないような
ある種の隷属のなかで
炎をおぼえた


つめたい石を蹴飛ばしながら
無言の
雨に

含まれ、ながらえ、



水たちの森は
 ....
もう一度、
てのひらに
つつみこむ仕草で、ストレッタ。

空間を割いて、
胡桃のような空間を割いて、
胸の奥へと、ストレッタ。

時の鮮明な切断面は、
もはや誰のものでもない。
ひ ....
浅い眠りから醒めると
海鳴りが 体を満たしていた

分厚い波が海岸を打つ重い震え
また ゆるやかに 砂の眠りへ引きずり込む共鳴

海辺の午後 
見知らぬ世界に降り立った身軽さ
過去を投 ....
雪の記憶は少ない。
桜の花びらより軽い雪が降るのを見てみたい。
電車に乗って、山々を抜けて、
おばあさんの一団がおしゃべりをするホームで乗り換えて、
長い乗車時間に退屈しながら、
 ....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり

耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する


すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
 ....
  あなたがねじを巻く
  ぼくが歩いてゆく



  あなたが茶を沸かす
  ぼくが独り言をもらす



  あなたが哀しんで……
  ぼくはなにも言えない


 ....
石瀬琳々さんの自由詩おすすめリスト(3661)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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