すべてのおすすめ
夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達
仕事帰りの疲れた男に
わさ わさ わさ わさ
大きい緑の手のひらを振る
日々の職場では
密かな善意を誤解され
....
?.
あなたを
あなたのすてきなところを
一日
大切にする
あなたを
あなたの汚れたところを
裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
灰色の空を{ルビ背景=うしろ}に
黒い背広を着た男、
街燈の、直立不動の寂しさに、
北風に、灯は揺れる・・・・・・・その昔、
この道を{ルビ通=かよ}った男が
そこに見た嘘の女を
....
あなたは手慰みの指先で
わたしの身体をくるくる回す
言いなりになんかならない
と思ってはみても
あなたにだけは嫌われたくなくて
股関節の痛みをこらえ
アンディオールのポーズを取る
(わた ....
儚い季節/ つかの間の恋
血の滲んだ口元の傷に、
水色のハンカチをあてながら
秋の風/ さまよう校舎の屋上
「君とふたり〜蝶々になって
君が舐めてくれた/ その傷
愛の痛みを知らな ....
三ヶ月の月日がたったら
僕を食べておくれ
きっとうまい具合に熟れて
おまえを喜ばすことができるだろう
何だって!食べたくないだって!
嘘を言うのじゃないさ
おまえはいつだって舌なめずりして ....
雨よりも痛い針がある。
夜よりも鋭い刃物がある。
憂鬱が、
僕の胸を刺す。
時計が十時の鐘を打つ。
今日、僕は眠った。
やさしい人は、
誰も、どこにもいない。
夕闇の
あの色が好きです
切なさをひとつぶ
いとおしさを一粒
弄んでは
つぶすたびに
広がってゆく葡萄色
甘いあまいのは
街の匂い
あなたとはぐれた
秋の匂い
五 ....
あなたが優しく息を吸い
ふい と息の根を止めた時
私は とても幸福でした
流れる雲は川面に映り
青い空を魚は流れる
錯覚しておいで
この手の平の陽に
飛ぶ魚よ 飛ぶ鳥のように
....
生まれ故郷の空からながれてきた
いとおしい猫背の千切れ雲
まさしく透明な四次元の放物線もまた
こうしたかぜとひかりのなかで
あの最果て ....
赤い夕日の下
小さな鳥が、地に落ちる
ただの一声も上げず
白い朝日の下
小さな蝶が、飛び立つ
その羽に光を受けて
命は消えて、また生まれゆく
それは切れることのない鎖
みん ....
今年はじめてみたススキの穂を庭先に飾り
半欠けの月を団子を頬張りながら
縁側で眺めていますれば
突如として思いもかけぬ激痛が走る
みるとあなたがトンカチをもって
わたしのくるぶしを叩 ....
夕暮れていく空の
侵略される白と
紫が混ざり合うように
中途半端なまま心は
形を変え続けて年を重ねる
不意に感じる虚無へのやり場のない焦燥感
孤独への抵抗の微熱が
私の中ではあの ....
遥かの西方から雨は僕の世界にやってきて
もう三日も降り止む気配がない
大粒の
激しい雨に
僕は傍らにいるお前の二の腕をつかんだ
お前の二の腕は白く
とてもやわらかい
クニクニと何度もつか ....
隣の空から降ってくる
それをわたしは見ていたよ
苦しくて眠れないのか
眠れなくて苦しいのか
孤独な人は羊を愛して
柵を越えて
すぐに行ってしまう
次々に飛び越えて
風に乗って
....
わずか25cmの彼女は
メルフェンだった
愛くるしい顔をした
庭の番人
彼女の周りにはいつも
伸びてくる草や
季節の花々に囲まれ
笑顔を絶やすことはない
時折り
トカゲや大き ....
蓮の隙から顔出した白鳥は
あてもなく
よすがもなくて
海の{ルビ底=そこへ}へ沈んでいった。
僕は窓からそれを見ていた。
暗い夕暮れの間奏曲、
こんどは死が
僕を覗い ....
太陽の灯を消そう、
吹き消そう、
すると見えてくる
難解な文字や数字を窓から棄げて、
生まれくる冬の寒さが。
仄白い僕の心のなめらかさ―
太陽は嘘をついた。
それゆえに巡 ....
日替わりで
ミルクの量が変わるコーヒーをあなたは
おまえの機嫌が手に取るようだ、と
綺麗に笑って
少しずつ飲んでいた
コーヒーにクリープなんか入れるやつは死刑だな、
初めて敬語 ....
暑さの節目を過ぎた頃から
蜜蜂のからだが次第に
やわらかくなっているとわかった
(そう遠くない未来について
みんなに同じ予感があり)
一つの個体の輪郭の中で
離れていこうとする働きと
....
追いかけることも
追われることにも
もう、飽き飽きしてた
私の中を冷たいものが通り過ぎ
流れ流れて
どこか、どこかを探す
そんな時は掌で祈る、夜
誰かを見送る時はい ....
巌に一列に並んで
暮れなずむ彼方に見入つてゐる鵜よ
さうしてゐれば
見えなくなつていくものが
現れてくるとでもいふやうに
水平線を見据える鵜よ
こんなにもひしひしと迫り ....
私は
どのようにして生まれたのかは
いまだにわかりません
気がつけばずっと
あなたの裏側を見ることなく
そのみずみずしい姿だけを
何十億年も見続けて
あなたもまた
私の裏側を見たこ ....
片手をかざして遠くを見る
いつだってこの街は光の渦
目覚めるたびに生まれ変わり
すべてが新しくなって行く
この両腕に抱えている
悲しい思い出はみんな捨てて
窓を開けて そして飛ばそう
....
家族
焼け跡から一枚の写真
楽しかったあの頃
親を殺した顔が笑っていた
子を殴り続けた顔が笑っていた
ひとのこころ
クルマに顔があるように
ひとの ....
1
ドングリが遠い目をして
冬の正解(こたえ)を探している
もうすぐ大きな冬の翼が
やってくる
僕は森によばれる
いかなくちゃ
山猫の親分は
ピリピリしながらも
やさしい ....
わたしは一遍の詩
およそ80年かかって朗読される
妻でもなく
母でもなく
女ですらなく
眠って起きて紡がれる一遍の詩
残念です
あなたの耳に届くのは
この美 ....
あめがやんだので
もう かさのはなしはおわった
それから
こいぬのなみだで
ちいさな こうちゃをいれた
+
ふたごのおとうと
くちぶえ ふいた
くちぶえふいて なきだした
....
逢いたい、と
喉が呟く
けれど。
誰にあいたい、のか
わからない
私は一体だれを 忘れてしまったのだろう
あなたをなくした
景色の中で
私も風景のひとつとなり
日々を ....
ちらつかず
そ、と留まっている、あれは
振り払えぬ外灯を振り払わず
硝子に帯びたままの、あれは
蛾だよ
その在り処では
既にひとつの夏が締めくくられている
夏ではない今となっ ....
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