すべてのおすすめ
そして火は燃えさかり
すべてを焼きつくすだろう
それぞれの
人の生を
それらがあつまったこの
人の世でさえも
焼きつくして
火は遠い天上でわらうだろう
限られた空
その見えない境界で ....
死と眠りが
同じようにみえるときが
ある
ひとめみたとき
だからときどき
はっとして
大切な人にかけよる
あなたたちは
人の気もしらないで
静かな息をしている
あつい
手 ....
ひとりきり頬杖ついて
ため息つく雨の午後
紫陽花の青い花びら
みつめては悲しくて
まるで報われない恋に落ちた
悲劇のヒロインみたいに
あなたが好きよ
くもりガラスに書いてみても
このせ ....
花を褒めるような言葉で
君を傷つけてみたい
月を愛でるような文字で
君に刻んでみたい
どんなにやさしくて
気持ちのいい言葉も
押し開くことのできない
君の肌の下
暖かいものが満ちた ....
好きなところを数えるのは
大天井岳のてっぺんで星を
数えるようなものだから
その暗闇まで含めて
全部が好きなんだ
そしたらあなたは私を
うそつき、と言った
ほんとうには
遠かっ ....
ハイウエイを 白い光が流れる、眩しさに
つい、さっきまで 激しく踊った サルサの夜の
緋色のドレスの女が 助手席から身を乗り出し
果てしなく 毒舌を放つ、「終」への招き
エレガントな仕草で ....
カーテンのなか
星が瞬く
わたしの夜は
白雲に
知らされないで
過ぎる
忘れない方法を
忘れたから
忘れる方法も
忘れた
わたしはカーテンの兄
星の夜は
瞬いて ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
宇宙が
ほんとうにあるとして
その一番果てに
宇宙の端から端まである
途方もなく巨大な滝が
流れ落ちているとして
そんな
宇宙の果ての滝を想像しながら
いま
おれはカ ....
桜花を散らせ
次の季節が吹かせる
湿った風に
なびく美しさを隠したまま
洗い髪みたいに
君は濡れている
よこぎる鳥を数えるように
ひとつひとつ忘れていく
透明な霧の向こう、輪郭
....
遮らないで きっと今夜は
一番しあわせな夜
枕の下に隠しておいた物語を ゆっくり数えはじめる
硝子に爪を立てる夜露
姿見の中に立つ架空
天窓に踊る フクロウの毛繕 ....
めずらしく早く目覚めた僕のからだを
新鮮な蒸し暑さがつつむ
起き上がりカーテンを開けると
朝焼けが感傷的に笑っている
四階のベランダから道路を見下ろし
高 ....
アナタはフェンスの向こうに行ってた
フェンス越しにアナタの赤いマニュキュアをした指を
顔を
風になびくスカートを
アタシはしばらく見ていたらなんだか凄くチュウがしたくなって
....
おやつを我慢しては 花火を買った
刹那の輝き 一瞬の煌めき
向日葵が枯れ始め 陽が落ちるのが早くなり
セミの声がヒグラシに変わる
緑の山も夕焼け色に 少しずつ染まっていく
「 ....
「ヘンリーってのは
どこの国のサッカー選手だい?」
ねえ、母さん
ヘンリーはアイルランドの選手だ
ヘンリーはアイルランドのカレッジのチームで
今日もベンチを温めている
ヘンリ ....
水はグラスに包まれ
グラスは両手に包まれ
あなたを包むのは誰ですか
水が包むのは、何
泣いているのは
瞳だけ幼い老人
その掌に
日溜まりのような優しいぬくみ
その額にま新しい水を注 ....
この夜に砂糖とミルク少々を入れて
掻き混ぜて飲み干すんだ
――君 何処へ行きたいか云ってくれ給え
ラズベリィの憂愁に
しなやかさの極みの鋭さを閃かせ
僕らを駆動する
僕らが駆動する
{ル ....
ハローグッドバイ
ハローグッドバイ
ゆらりゆらりと
朝のメルヘン
たびからたびの
たびからたびへ
百万光年も
二百万光年も
神のためにその石は削られ
深い傷を負った陰影を語り継ぐ
....
殺しあったり自殺したり
争ったり憎みあったりいがみ合ったり
それは仕方のないことで
脳みそやらDNAの仕業であってね
オレたちは生まれてくる前から
邪魔するヤツらにヘンな酵素爆 ....
眼の中に地球 、地球の中に人々がいる
人々の中に心があって 、心の中に歴史がある
傷つけた歴史 、傷ついた歴史 、もしくはモニュメント 、干乾びた体
瞼を閉じて 、夜が来る
終わらない踏切 ....
いもうとを 見つけた
薄紅色のあじさいに架かる蜘蛛の巣に
囚われて 泣いて
いもうとを 見つけた
砂まじりの南風に吹き舞わされて
囚われて 叫んで
やあ ....
グスターフは 静かに 時を 待って いた
湾口の 砂州は 彼の ふるさと で
きょうは どうしてか
鼓笛隊が 空を 横断 して ゆくよう だった
お ....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった
その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
どこまでも澄んだ音色で
鳴る笛に
すすきの野を一陣なでてゆく風
音色に誘われて4匹の猫が
野のくらがりから
躍り出てきて
おおきなウッドベースの上に飛び乗る
4本の弦の上でのんびりと ....
姉は病み。妹は明朗。
ふたりで一輪車をこいでいた
手をつなぎくるくるくる。
くるくる。狂おしいほど恋したいの
こいこい。恋なんて物狂いの種
コインをトスする子供の遊び
今日はどちら ....
夜はネンネコリン
お月さまのすべりだい
つるつるすべって夢の中
坊やは銀のお船にのって
夜の国へまいります
夜はネンネコリン
お星さまのガラス窓
きらきらひかって夢の中
坊やは銀の ....
わたしの拾った小さな小石
耳に当てると声がした
あのね
あのね
あのね
小さな声でおしゃべりするの
ささやき声ってお菓子みたい
あのね
じつ ....
夏の氷は透き通っていた
四角いその宝石を
水の中へと入れると
しゅわぁという音が聞こえた
それをじっと見つめる
自分の中に固まっていた何かと
同じようだった
さようなら
この氷の最 ....
あ。あ。ある。どこか。海の上、
茫漠の船中。穢れを知らない姫
ひとり。口から汚物を出す姫の
歌声の波間。いななき、いなな
き、否、泣くのは最後にしてお
く、真珠いろの涙。沖を包むパ
ラフィ ....
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