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首なが族の少女が耳にあてたアイフォンからきこえるウォール街の足音は、ジブンヲカンジョウニ入レズニ通り過ぎるようで
プラットホームにとり残された風が
形の悪い、過冷却の耳を凍らす
....
丘をのぼる石だたみの坂道でうずくまっている
ベレーをのせたあたしの夢 ただの酔っぱらい
指にこびりついているのは絵の具じゃない
細かい灰色の砂ぼこり 指の間から零れおちた砂の残骸
こんなと ....
栗色のたてがみをなびかせ
どこまでも駆けて行く
その凛々しい姿どこまでも
草原の果て 日の昇る場所
おまえは駆ける 駆ける
休むことを知らない
この大地をどこまでも
おまえはひとり駆けて ....
たった一つ 部屋に灯る明かりが
窓ににじんで 流れていきます
一緒に座る人を失った 広すぎるソファで
私は消えてしまいそう
雨音の森で 私はいくつもの過去に迷い込み
やがて 記憶にも ....
リザの朱い唇が震えて
ガラスの森ができた
雪の降る音がするんだと言っていた
それはしゃぼん玉が割れるような音で
十字架にキスをする温度のようだとも言っていた
アフタヌーンティー ....
考えない葦の
川岸に
シグナルが、シグナルに寄りそって果てている
/
敵意がないことが
わかる
横隔膜のへん
まず、そのようにして針をふるわせる
さびついた小 ....
真夜中の扉を開けて
裸足で駆けて行こう
たくさんの流れ星が降るという
星降る森へ走って行こう
キーンコーン
いろんな色の流れ星が
きらめきながら落ちて行く
金属的なその音は
真 ....
ありがとう
過去へ照り返す言葉だが
同時に現在からリズムをつないでいく言葉でもある
この原野に幾つもの植生が交替していく間
地図のない遠い行路を本能だけで突っ走っていった
あなたの内 ....
隣家の騒がしい犬も眠る夜、どこぞと知らぬ方から赤子の甲高い
鳴き声が聞こえて、消灯した部屋で体を固めながら耳を塞いだ。
模範のような鳴き声になぜか、祝福されない子のように孤独を打
ち消したいがた ....
会いたいな
会いたいな
今年もやさしいあなたに会いたい
いつでも私を見かけるたび
やあお嬢さんと挨拶してくれる
薄紫色の私のドレスを
きれいだねって褒めてくれる
また今年も
....
階段の上から三段目であなたを見かけた。
みんなみんな燃やして庭の隅に埋める。徒花に
たくさんの水を遣る。可哀想だからといいかけ
て口を噤んだすべてはこの花のために。
そこはあなたのため ....
紙ねんどでできた魂が
窓ぎわで色あせていました
緑化された街へとつづく
海風にやぶれた辺外の家の
そこだけ乾いた晴れの日のモーヴ
わたしはわたしの火で身を焼いた
「あの日」となづけ ....
路傍に酸漿の実が
ひとつ落ちていた
睫毛の影
黄昏時に震える飴色の
懐で翳した
さかしまの風の流れを映さないかと
鈴の音もなく
からりからり
蹴飛ばして
丸い膜の内側に吐 ....
言葉なんて要らない
あんなにも人を動かす言葉なんて要らない
街のさびれた一角の
小さな自転車屋の店内で
カンカン音を立てながら工具で自転車を直す
あのおじさんの鋭い技術が欲しい
....
紙の鎖の端をにぎって
妹も姉もいないところで
父と母が編んだ赤い塔をゆく
らせん階段はきらいだ
古い日々を思いださせ
とにかく青い
ノ・ヴァ、きみが秋晴れだったころ
ぼくが立派な牡鹿 ....
地獄門の陰のこわれた海のかなたに入学式は立っている。
蝶たちはずいぶん長い間待たされ、いっそのこと青虫に戻ろうか、とキャベツを背負って思っている。
鳥山が立つ海の深層には大きな迷いが泳いでいる。
....
餞別のように落ちる薄い黄金色
夕暮れの中、分かれ道で向き合う
明日の約束はしない
それは暗黙のうちに行われるもの
実際に小指を絡ませて約束しても
安心には繋がらない
ま ....
かなしい
かなしい
のはしかたがないのだから
オレンジいろの実を植えよう
ひとつぶ
白い蝶がまい群集がなあに?あれはなあに?
ととう
ただしがきに埋めこまれたコスモスばたけの
....
摩天楼が{ルビ朱=あけ}に染まる時
黄昏の時間も止まる
ざわめく雑踏もどこか遠くの
出来事のように消えて行く
ビルの窓から見た街も幻
トワイライトイリュージョン
歪んだ時間の狭間の中で
....
山女の実を一つもいで、隣に立つあなたにあげる
眩暈の先で揺らぐあなたに
輪郭の消えた右手の形が
たしかに山女をのせている
はりつめた耳鳴りの向こうで、あなたが何かつぶやいている
....
人魚になりそこなった君へ
あれから3度目の夏がやって来たけど
僕らは未だ海に還ることができずにいる
君のお気に入りの水着も
タンスの奥に仕舞い込まれたまま
一度も日の目を見ることもな ....
いくつもの季節が血を流したあとで
しだいにかたむいていく水面の
ひたむきさばかりを空白に浸して
そうして
ここに
たくさんの誤謬が積もったら
それはとてもうつくしいことだと
ひとは言うの ....
嘗て
王国があったとか
そんな話を
あなたの中耳に
棲みついている
遠浅の潮音が
夜毎
瞼の上の白い渚に
刻みつけようとするのだけれど
水分を含んで
重たくなった夏服を
わたし
....
上塗りされた夏空の
組まれた手の
ゆびの
一本一本が
解かれてゆくように
光が
そこかしこに
ばらまかれ
熱を分けあう潮騒が
とおく
攪拌されてゆく
カンナの花が
....
ゆらめいている
薔薇沿線のかたわらで
白い女の子たちの
折り目正しい
プリーツの
祈りの姿勢はいつも
夏うまれの呼吸をついばんで
ひまわりの瞳の高さまで
つん と
背のびする
....
爪先で弾く夏
くちびるに影法師
背中のロンド
ラムネ壜に閉じ込めて
水の匂いのする靴音
いいえ あなたの声色
雲間に擬態する日だまり
いいえ あなたの胸元
飛び跳ねた水の中 ....
*
わたしの水筒は
風邪をこじらせて
夏がくる前に
しんでしまった
(ヒマワリのたねを四粒入れて
からからと振ってやる)
からん
からん
からん
からん
(あっけないほどのあ ....
黄昏の街を駆けて行く影法師
眩暈にも似た既視感に
いつまでも立ち竦んでいた
きっと夜はまだ遠い
*
退屈な雨の午後
迷宮のような街を眺めていた
陰鬱な気持ちを弄ぶように
霧雨が ....
雑踏の中に屹立する鋼のルサンチマン
辺り一面に広がる「私」の倉庫
風が一度たりとも触れることのなかった都市の特異点で
「あなた」の残響が整備された街路樹を埋めている
角度は徐々に水になり速 ....
路地裏を通り抜ける豆腐屋のラッパは
夕暮れによくにあう
かくれんぼの時間が削り取られて
ひとり帰り ふたり帰り
隠れたまま鬼から取り残さて
気がつけば夕闇につかまっていた
どこ ....
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