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午後の陽射
見上げる、瞳
山吹色の世界で
あなたが 私に残した言葉は
今も 胸の中を響いています
遠く想う
あなたの生きる 街の風
あの日 藍色の翳りは
今も その胸の ....
街に灯のともる 夕暮れは
さびしくて
たえられないと だれかがいった
群青の空に
森の影が 長くのびて
かたかた風に つららが揺れる
でも
私はしらない
この夕 ....
どうして風はやむのだろう 静かに
(怒りに満ちた夜)
並木がささやく
──どうして風はやむのだろう
……あの星に
あの昼に
落ちてゆく
人も車も
岩もビルも雲も
平衡 ....
ふと 家並みが途切れると
東の空に かの旅人が姿を現した
美しい金の灯りの燈る
いつも変わらぬ 微笑みをたたえて
毎晩毎晩 同じ時刻に
太陽の沈むのを待ってから 現れる
謙虚な旅人
....
兎の心臓の動きをする
くびすじの隣で
粥が水を含みすぎることを
心配している
おんなは
せわしい寝息に
少し欲情して
見慣れた顔の
見慣れない瞼に
舌を滑らせてみる
欲するのは ....
耳鳴り
それは耳鳴り
眠りの中から
実はもっと前から
絶えず 響き続けて
聞こえない
それは普段聞こえていない
突然に気付くのは
何が原因なのか
いつもわからないまま ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....
窓ガラスの内側から
草原のような海を見渡す
波と風が
交互にやってきて
その青はどこまでも青かった
窓ガラスの内側から
光がこぼれ落ちる森の空気を吸う
鳥は人のために鳴かず
虫 ....
僕が転んだ
白い雲がながれていた
僕が転んだ
麦の穂を風が掃いた
僕が転んだ
膝に石を刺した
しんとした痛みを
ただこらえた
何も居ない
笑いごえもない
ひざを押さえた道端で ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように
蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
全ての星の配置を画用紙に写し取った
夏の大三角と冬の大三角
航跡で真っ白になった空を見て
ほう、と溜め息がまぎれて宙に昇っていく
新しい星の粒子は
寒い夜にふと漏 ....
鈴が鳴るのです
わたしの胸の奥で
どうしようもなく 鈴が・・・
あまりにも澄んだ音で
子供の声ような音で
鈴が鳴るのです
寝ても覚めても何をしていてもずっと
どうしようもなく 鈴が・ ....
あの丘へ行って
パスケットにパンを詰めて
赤と白が戦争をするのを
二人で眺める
虹色の鯨が
フィールドを横断していく
空気の海を優雅に泳いでいる
僕達は顔を見 ....
一、
せんせい、と
あたしの声が響くたび
澄んだ空気が
ゆらり
あでやかに揺れる
それに気付いて
目の奥のどうようを
れいせいな
おとなのまなざしで
隠すひと
その距離は ....
空には穴が開いている
誰かがこっそり覗いてる
交差点の真ん中に
するりと垂れた縄梯子
かばんを置いて昇ってく
初夏正午の花時計
白い帽子のカフェテラス
モノレ ....
ただ夜が訪れたというだけで
たまらなく悲しくなって
涙がこぼれることもある
出窓に置かれたサボテンが
月の光に絞められて
かぼそい声で私を呼んでも
ごめんね今夜は
....
お前との間には
いつも渇いた隔たりがあり
少し上向きの
幼い口びるに舌を寄せても
私の熱はひんやりと
遮られる
お前の泣き顔が好きだ
ほうけた赤い目と
くずれてしまった化粧が好きだ ....
公園の中で季節を売る老人が
樫の木のベンチにぽつんと座って
売れ残った夏を鳩に投げつけていた
ぼくは池を一周 口笛吹きながら
薄く晴れた十月のパノラマに
若く散った楓を敷 ....
時代と針金に固められた空から
唄と火薬に燃やされる海へ
魚群 この二文字の内側で
そうか もう僕には翼がない そうか
潮に退屈した鯨が暴れて
街を乗せた船が揺れて
....
低いオクターブで
朝を告げながら
高いところを
水が流れている
知らないあいだに またひとつ
季節をまたいでしまった
雲と空に距離が生じてゆく
そのすきまを
縫いながら、通過す ....
いえが きゅうに しんと したので あわてて でんわを かけてみた 。 誰も 居なかった 。 ヒルサガリノ 午後 。
銀版をおおった北斗七星はちいさくまるくよぞらにひかっていた。この光景を誰かとみたかったろう。おそらくせかいが終わるころはじまる頃あなたとあのとむそーやのように屋根であなたとみたかったそういやはっくるべ ....
青く光るので
確かめない訳にはいかないのです
無数のことばのもとが
空気に漂って
青いちりのように舞うのです
ゆっくりと舞い降りる
無数のことばのもとが
時々青く光るのです
....
透明な音にみちびかれて
きょうもわたしは海へ向かう
波音ひびく海岸に
さよならをいうのだ
しろいすなの間にみえたのは
しろくろの貝殻と忘れられたビー玉
すこしだけはしってみ ....
空にうかぶ声を追いかけていた
道はきれいな家やお店を抜けて
街路樹はどれも枝葉を停めて
バスの車窓に老婆の抜け殻を見た
石筆を握って走りながら
屋敷の塀に直線を引いてゆく ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ
もう長いこと飼っている
だからも ....
猫が疑問符を撒きちらし
夜がいくらか賑わいを増す
その髭の長さぶんの内容を
ひとつはそっぽをむいた月へ
ひとつは笑い揺れる木々へと
夜が明けるまで
あくびする間もなく語りかける
永遠 ....
私は夏雲のあるこの空に
人差し指を差し込んで
この青空の
その底にある
人肌の群青に触れようとする
そのぬくもりは昔日の
小さなおまえのぬくもりに似て
あわあわと崩れそうにゆれる
いつ ....
深くまでつづいている
いつか見失った道の先にある、森で
夏の日
ぼくたちは、生まれた
頭上には空があった
ぼくたちと空の間を通り過ぎてく風があった
ふりそそぐものは、光
光とも見 ....
刈り入れ、葉、枯れ
わたしたち。
貧窮は カタカタ 呼ばわる
明るさについて。
茎が折れ、そのあたりを、
嗅ぐ。 鼻孔、ひらき、
足も萎え、
何度もなぐられた ....
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