すべてのおすすめ
つつき割る事を
あきらめたのか
雛は
まるく
まるく
丸まっている
身体は否応無しに育ち
卵の殻は変わらない
身体に合わせて
大きくは
なってくれない
その身の大きさに気 ....
私は海になる
ただひとり あなたのために私は
自分を分解して個体の部分をすべてぬき取り
液体だけで構成された海になる
父になることしか出来ない性の宿命
それでもかまわず
私は母のような海に ....
銀杏の枝に 月が
ひっかかって ゆれているから
それとなくわかる 風の道を
じぶんのいない 未来のことまで
しのんで あるいてきた
うちのキッチンには
ピラニアが
生息している
いつもは
気のいい
スヌーピー面して
猫を
かぶっている
風の日も
雨の日も
雪の日も
朝晩の散歩を
愛してい ....
てんつ
くてん
・・・
・・・
またた
き つ
まづき
・・・
たびたび
ともる
とどかなかった
こえたちが
ふりつもるわななきにてんず
すって
はいて
また ....
人は夜に音になって
躓かない程度に囁き合うらしい
朝が夜に向かうように
ページを手繰り寄せる
薄い絵の具を
筆の先で伸ばすように心音を
澄ませていく
夢を見る、ことを覚えてからは ....
思いも無いのに思いどおりの
見てはいけない夢からさめて
終わり はじまるわたしがあり
気づけば朝を歩いている
かがやきやたかなりを
しあわせと呼ぶことに
ためらいく ....
恋するうさぎは
目を赤くして
息が浅い
恋するコブタは
体温が高くなって
仰向けにされると
「プギー!」と叫ぶ
恋するボルゾイは
子馬のような体を横たえ
前足を重ねて顎を乗せ ....
どことなくストレス加減の昼休み
冷たい珈琲に浮かんだ氷を
ストローの先でつついたら
猫みみのかたちの小さな生きものが
ちょこりと顔を出した
頭痛の道連れに
こんな小粋な錯覚が訪れる ....
暗い道の途中で 迷子になっていた
光を見失い彷徨っていた
時の止まった道の途中はまるで迷路
手探りで動けば余計に迷う
支えあう二つの心が 同じく迷う
ぶつかり合って 傷つけあっ ....
此の地面は
匂いも、何も
残らない性質です
此処にいることを示せず
湧き上がること溢れることを戒めてゆく動作が
結果的には
瞬きです
此の地面は
風へと ....
鳴かぬ 小鳥は
口止めされたのでしょう
ひとつ めでられたら
無くすよりも たやすく
このくちばしで
守るのは
明日の 春では
ないのです
月よ
明るい夜にしてくれないか
昼と見間違うほどの
白い明かりで照らしてくれないか
わたしがそっと
吐息を洩らす瞬間を
にぎやかなその光で
包んでほしい
そうして
で ....
落ち葉の鳴る、崩れ落ちる音
誰も妨げないテトラポッド
景色、静かな君を当たり前に思って
空に手を向けて
朝、誰もいない道に目を閉じて歩く
歌を歌えない
と気付いたのはいつだっただろ ....
こんな夜は
最終列車に乗って パラディソの君に会いに行きたい
僕の着く パラディソには
まだ
色がない
パラディソの海岸を二人歩く
僕の零した涙を
君は笑って 暗い海に投げた
....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光
目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった
不思議だね
振り返ることは敗北では ....
丘の上に立って色の無い偏差値について語ろうとすると
バナナの風が熱帯雨林の方角から吹いて
学習ノートの文字は穏やかに飛ばされてしまった
間違えることなく世界にはたくさんのリビングがあって
....
− 愛は確かに潰えた
男の心に残っていた僅かな温もりを奪い去る良く晴れた或る冬の日の未明 月光に射貫かれた眠れぬ夜に 愛は国道246号線池尻大橋近くの交差点で潰えた 間断なく走り去るヘッ ....
裸体に添えられた
蒼い手で
鳴りやまぬ鐘が
鎮められてゆく
蝋燭の
仄かに灯した明かりだけで
読みたい物語がある
閉ざされた雪山の麓の
貧しい村の物語
痩せた土壌では穀物も育たず
日照りの夏と実らぬ秋を経て
魂の芯まで凍える冬を迎 ....
春までの道のりを
手探りするきみの指で
うたは束の間、白く結晶する
凍れる河と
色褪せた山並みと
特急列車の行方を挟み
わたしの前で野分の一陣はわらう
今日も約束の書けぬ手紙 ....
その中で 支度をする
なお、ひかる
くるしいまばたきに
ゆびのすきまからあふれ
染みを
のこして
あの日
髪をきってほしいと言った
初冬だった
あさひがの ....
静電気が怖い、怖い、私の手の平の保湿から
握られた硬貨がするり と逃走しては
自販機の隙間へ乾燥を求めて サヨナラします。
コイン投入口は私の指先から消え去った
お金の代わりに水分 ....
ベランダは東向きだから
朝はとても眩しいよ
彼ね
厳しい審査の結果
高得点で合格しないと見せないよ
足の親指を齧ったあとの
くりん、とキャット半回転
もう ....
{引用=ああ
君は赤い
僕は目をつぶって
一気に吸いこむ
ああ
唇よりも赤い
冷たい空気と巻きこんで
無秩序にえぐる
声、声、
ああ
夕日よりも赤い
....
庭の落ち葉を掃き集める
足元に猫が、頭を摺り寄せ
日溜りに寝そべった
病室の窓から
川向こうの桜を眺め
花見のようだと
喜ぶ父さん
帰るはずの家は遠く
山向こう空は ....
偽造された朝を押しつけられても
注文どおりの覚醒など出来よう筈もなく
自らを小さく蝕むことで
存在可能な時空をどうにかつなぎとめ
意識はただ浅く笑い
深く滅んでゆく
....
子供が
消えて
雲と、雲以外のものの境界が
曖昧になってゆく
遠い飛行機の轟音と、鼓膜とが
混同されてゆく
昼なのか、それとも
冬なのか
子供は
過ぎる為に走るのだっ ....
たった一つの君は
風のように吹いているが
たとえば
コートのフードを躍らせたり
トマトの表面にとどまる水滴に光を与えるとき
微かな掌の温もりに似た質感を残していくのだ
そう 僕らは ....
氷壁は確保すら危うい
三点支持
命綱は細い電波のように
とぎれとぎれ
辿った記憶だけが教えてくれる
過ぎ去った轍を踏み
体温も
灯りも
声すら
霧の彼方に常に失われ
....
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