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厳しい、
木枯らしに容赦なく吹きつけられて、
まるでうす汚れたページのように捲れあがる、
そのひとつひとつの、
とても白かった羽毛、
無残にもちぎれてしまった、
白い夢のつばさが、
その ....
弟の息遣いが聞こえる
浄水場のある街に
敷設された線路を
今日も走っている
誰よりも足が速くて
誰よりも
列車の真似が上手だった
弟は皆から
関口さんと呼ばれていた
だか ....
大草原を駆け抜け
廻り続けていく車輪
魂の淀みを抱えながら
自らの汚濁を振り払い
まわるまわるくるくる廻る
深く紫に沈む葬送の列を打ち刻み
死者から生者へのキッス
媒介しながら ....
漫画って
なんて素晴らしいんだろう
小4の春でした
漫画家に、なりたい
絵は上手かったのです
絵は上手い?
やっぱ画家になろうかな
うーんでも
今どき画家じゃ食 ....
、、
ほとんど会話もないまま
「アメリカの朝食」を聴きながら
たまごの入った高級食パンに
森のバターをたっぷりとのせて
熱い紅茶でいただいた
ただそれだけ
晴れた日に傘を貸し
雨の日に傘を奪う
どうやら
それが流行りみたいだ
他人だもんね
困ろうが狼狽えようが
観客席からは滑稽に見えるのだろう
土砂降りになって
みんな借り ....
妹の娘は
私に似ている
彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いの可愛いおっちゃんに
似ている
彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している
....
たとえば、
洋上遥か昇る巨大な火球
たとえば 、
杉木立に囲まれ伸びる石畳
たとえば 、
揺れ動く草葉のささめき
朝に瞑目意識の内に現れ来る光景を抱えつ
日々深まり深める能動的なる ....
どこまでも
続こうとする坂道
喘ぎながら
繰り返される
独り言のような呪文
聞きながら
闇雲にしがみついた
あなたの背中
眠ったふりしながら
安いおしろいに混じった
....
土から顔を出した芽のように
意識の端にまだ眠りの殻が残っていた
風を孕んで色あせたカーテンが膨らむと
どちらも淡い光と影
すべるようにすばやく表情を変えた
あなたの顔にはいつもこころが映る
....
頭と心と体とある
これらの要求が一体だといい
頭(理性)、心(感情)、体(肉体)
現代、精神科は心=頭と間違えた
そのせいでヘロヘロになる子が増えている
えぇ、ヤクで。
インテ ....
海辺の公園にあるカフェで
静かなスムースジャズに
耳を傾けながら
小林秀雄のモオツァルトを読む
休日の朝
一日の予定など組まずに
ただゆっくりと過ごす
面倒なことはすべて
黴臭い古いデ ....
雑木の密生する土手の外れに
一本の柳の木が俯いて
午後の暑熱を滲ませる貯水地の水面を
のぞき込む
鳥も来ない
辺りに虫の音の靄る静かさ
濃い藍藻に覆われた沼底でまだ
....
未来から 始まる絵本 010
ことごとく図書館が
潤滑油に漬けられて
ピンチオープンした
過去はAIと同化し
10年前の10円玉はまだ使えるのに
電話BOXがなくなってしまった ....
深夜、冷蔵庫から
紙飛行機の
墜落する音が聞こえた
微かな音だったけれど
突然の出来事に暫くの間
中は騒めいているようだった
翌朝、扉を開けると
すべては終息していて
冷蔵庫の ....
○「人間存在意義」
人はよく
意味とか意義とか口にするけれど
果たしてこの地球上に
人間が存在する意味とか意義とか
あるのだろうか
もし人間そのものの存在意味や意義がないとなれば
我々人 ....
{引用=
さはれさはれ、去年(こぞ)の雪、今は何処(いずこ)・・・・・・、
フローラ、アルキピアダ、タイス、エロイース・・・、ヴィヨンの古い歌に現れる女たちの美しき名のように、とてもやわら ....
なんだろうなぁ
この感情は
分析すると
遠慮
気後れ
申し訳ない
いたたまれない
もっと役に立ちたい
もっと会いたい
帰り道はいつも
なぜか
幸せな気持ち ....
あなたが死んだその日から
あなたがずっとそばにいる
あなたが生きたあの日々は
わたしの記憶の外にいるのに
あなたが死んだその日から
世界は少し嘘っぽい
あなたが夢に顔を ....
私はいつも
世界と向き合うと
身構えてしまい
端から太刀打ちできないと
首をすぼめていたけれど
今の若い人達は
臆することなく
自分の生活の延長線上で
世界を捉えているのではないか
....
我々は
煮ても焼いても食えない隣人に
面した時に
どうするかを
問われているのだ
見てください
ブルース・リーの
敵を屠った後の表情
切なさ悲しさ
そんなことはできない
愛 ....
なにひとつ
楽しい思い出はなかった
食べることには困らなかった
勉強だってできた
恵まれていることなど解ってた
だけど、こころは?
こころは恐ろしいほどからっぽで
生きている気がしなかっ ....
悲しい声がする
悲しい、悲しいと
言っている
誰の声かと
あたりを見回しても
いるのはこの私だけ
ひょっとしたらと
胸に手を当ててみたら
心臓の鼓動が
悲しいと泣いていた
....
微かに潮の香りがした
ような気がして振り返ると
手を振りながら君がアトリエ坂を
駆け上がってくるところだった
打ち寄せる波のように真っ直ぐに
トビウオのような足取りで
変なあだ名で ....
君の中に奥深くずんと入った時の驚愕
あぁもう只々じんわり温かい生命の
抱擁の熱そのもの存るを直観した瞬間の
なんにも見えなくなる薄紅の揺らぎ
死の間際の記憶薄っすら拡がる刻の鼓動
このまま逝 ....
手探りに歩いている
何かやわらかなものに触れたような気がして
それは母の乳房だった
まだ若い母は哀しそうに娘を抱いていた
山積みにされた古い写真の中でも
あの一枚は記憶に眠っている
....
うもれてしまって みたいな
水の中は暗くて 入れなくなるから
青褪めた月光そのものが
ぼくらの海の底になる
ただならぬ命が泳いでいる
やわらかく沈みながら
やさしく浮かびながら
空飛 ....
缶ビール片手に
火照った君と
まだ夏の匂いのする
宵の空気
今年もまた一緒に
思い出ひとつ増やす
提灯の灯りが照らす
うなじを見つめていると
不意に振り返る君
当たり前じゃな ....
夕刻、私の大切な床屋の店主が
営業を終えて鋏を研いでいる
今日は裏宿の常連が
髭を当てに来ただけだった
それでも夕陽の中
長年の日課として鋏を研ぐ
この夏最後の蝉が鳴き止み
....
日の暮れ早い
夕ご飯のテーブルに今夜は
旅先で買った青い陶器の深皿を
出してみる
そこへ絹ごし豆腐を半丁のせたら
白い孤島のようにみえて
潮風と打ち寄せる波が茫漠とひ ....
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