すべてのおすすめ
あなたの形見のランプは、魂の姿に似て
夜になると書斎の椅子に腰かける
僕の仕事を照らし出す

* * *

あの日
この世の時間と空間を離れ
自らのからだを脱いだあなた ....
川の向こう側にある
瓦屋根の
民家の壁に、ひとつ
白いマークがありました

それは鈴の姿をしており
風が吹くと
小さな余白の中から
音のない音が聴こえます

 ちりりん ちりりん  ....
仕事を終えた電車の中で
ついポケットから取り出すスマホの画面に
誰かからメッセージはないかと、探す

家に着いて
ポストの蓋を開けては
誰かから便りはないかと、探す

忘れた頃に届く
 ....
机の上に延びる
湯呑みの影が
お地蔵さんの姿に視える、夜

――もしや

目に映る風景の
あちらこちらに宿る
心というものか
何もない
仄昏さだけが立ちこめている

空たちがおとずれてくる
幾枚もおとずれてくる
それぞれの世界を覆うのに
疲れてしまった空たちだ
日や月や星を宿し
雲を抱き雨や雪を降らせることに ....
令和三年・一月三日 
三が日の間に息子孝行しようと思い 
{ルビ周=しゅう}の小さな手を引いて
川沿いの道をずんずん、歩く

野球場の芝生を
解放していたので
そのまま手を引いて
ずん ....
暮れる
時のなかで
凍土の冷たさの下に
埋められた思惟を思う
それらの骸の無念を
思わずして時は暮れることはなく
それらの物語の無惨を
録せずして時は回ることはなく
それでも日は沈み
 ....
この街には
音のない叫びが無数に隠れ
僕の頼りない手に、負えない 

渋谷・道玄坂の夜
場末の路地に
家のない男がふらり…ふらり
独りの娼婦の足音が、通り過ぎ 
酔いどれた僕の足音が、 ....
寒夜の洗面所に、固形石鹸は芯から冷え、それは無垢な恋人のよう。
悪事に染まった我が黒き掌でよければ、優しく包んであげましょう。
遥かな草原に立ち尽くす夏制服の、三限にて早退した僕の、幻影の。
四限のプールの、命の歓びの、それだけが心残りのような細き背の。
風になびく
ススキの穂が
水面を滑る
 
 眼差す太陽にギラリと光り
       
到来した冬は
情け容赦なく
すべてを裸にし
覚醒の輪郭を
与えていく
 
 透徹として刄の ....
岩には、顔が隠れている
口を開け、叫ぶ顔は恐そうだが
岩の本人は、そうでもなく
案外あかるい、無音の呼び声なのだ

岩と岩のつらなる下に
崩れた岩の口元から、源泉の湯は流れ
心身を温める ....
意識の表面に 皮膜のように貼りついた
夢を剥がす 淡哀しく雪が降る ログイン
ログアウト 扉の向こうに 景色をしまい込んだまま
日々は眠る ログイン ログアウト 小さな痛みが
星のように瞬く  ....
いつしか、
日は暮れていて足元は寒くなった
ももに置いた手は静かに落ちた
しばらく眠っていたらしく
目の前で遊んでいた子たちも
いなかった

こうして一人の時間が増えたかわりに
雨や落 ....
白い壁がありました
白い壁に沿って私は歩きました
私には足がありました
私の足は交互に動きます
私はそれを動かしています
白い壁があります
白い壁に沿って草が生えています
私は草をむしり ....
私がその男を目撃したのは、19年前の夏。
井の頭公園野外ステージのオープンマイク。
オレンジ色のTシャツに、黒縁眼鏡、銀ぎら
ぎんのプラスチックのマイクを握りステージ
に立った男は「OK~~~ ....
病と闘うあなたが 
病院の廊下を歩き
自らの動悸が乱れた時
どんな思いが過ぎったろう?

お母さんが見舞いに訪れ
病室を去った後
頬に涙の伝うあなたは
窓外の青い空をみつめ、呟いた
 ....
九月が 群れをなして飛び去ってゆく
胸には 乾いた音階

湖畔を歩きながら
あのひとと約束した
――次に会うのは オールトの雲あたりで

やわらかな忘却が
夢のふちで微笑んでいる

 ....
体が浮かんでる
こんなに自分は
軽かったのか
見えるのは紺色の空

月が暗い海面に
飲み込まれてゆく
(なぜ)

次第に面積を小さくして
やがて頭まで海にのまれた


 ....
どうも細かいもの複数抱えると
すったらこったら
になってしまう
枝分かれしずぎて置いてきぼり
選ばれたひとつも枝分かれ
すったらこったら
の繰り返し

ちょっと気になる外のつぶやき
 ....
その蜩は、おそらく、その日暮らしで生きておられる。
その鳴き声は、その日一日のための鳴き声ゆえに美しい。
この星の何人かは
ちいさめの正方形の紙を見かけると
戦争が終わった後だというのに
戦争のせいで病み 快癒を折り紙に託しながら
亡くなった少女のことを思い出す

紙の角と角を 合わせて
鶴 ....
熱波の到来、渦巻く大気
気の遠くなるような青い空

蝉時雨の下、俺は進む 
光の踊る、時の未知へ

夏へ叫んで、夏へ叫んで
遠い木霊を聴きながら
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで

揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った

小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
丸く黄白い
月が
宙に浮かんでいる
この夜は
脈動静か
気は鮮明
揺れる
草葉の陰に居て
絶えざる街のザワメキを
浴びて浴びる
わたくしが
視界に飛び込む
孤独の実を
むしゃ ....
たそがれて
いちにちが終わる
いつかは
このくるしみも終わる
すくなくも
わたしが終われば終わるだろう
その時は
世界が終わる のではなく
世界のなかで
わたしが終わる


わ ....
病床の旧友よ、それでもなお、夏への憧れを失わずにいておくれ。
学び舎は今でも坂の上に、サイダーは学食の自販機で冷えているよ。
すみません。
ちょっとかいてもらえますか?
あ、背中じゃないんですよ。
リュックの中にノートとペンありますんで。

え?いやぁ、私はご覧のとおり、
右手に長男、左手に長女のいるベビーカーで ....
背番号は貰えなくとも肩甲骨は八の字だ。
誰かに与えられずとも最初から持っていた。
とどまる 1

{引用=ここに
とどまっていると
裁かれる

変化のない停滞に見えて
それは罪であると
見做される}


とどまる 2

{引用=ここになんとか
と ....
こしごえさんの自由詩おすすめリスト(3952)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風の吹く午後- 服部 剛自由詩421-3-6
鈴の音- 服部 剛自由詩121-3-2
風を待つ- 服部 剛自由詩221-2-2
ひと影- 服部 剛自由詩821-1-24
空の憩う処- 塔野夏子自由詩5*21-1-15
野球場の夢- 服部 剛自由詩421-1-7
暮れる- 岡部淳太 ...自由詩3*20-12-31
Slow_Boat- 服部 剛自由詩220-12-30
恋人- クーヘン自由詩7*20-12-22
早退- クーヘン自由詩8*20-12-17
冬よ、進め!- ひだかた ...自由詩920-12-15
岩の顔- 服部 剛自由詩120-12-10
淡哀しく雪が降る- 塔野夏子自由詩5*20-12-1
栗のスープ- ふるる自由詩820-11-14
壁の向こうに- 佐々宝砂自由詩6*20-11-10
死紺亭兄さんへの手紙_- 服部 剛自由詩120-10-14
歌姫の墓前にて- 服部 剛自由詩320-10-9
乾いた音階- 塔野夏子自由詩2*20-9-27
夜に浮かぶ- 木葉 揺自由詩4*20-9-15
すったらこったら- 木葉 揺自由詩3*20-8-28
そのひぐらし- クーヘン自由詩5*20-8-10
花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる、ように- るるりら自由詩9*20-8-7
夏へ叫ぶ- ひだかた ...自由詩220-8-6
夏の練習曲- 塔野夏子自由詩7*20-8-5
光の場所- ひだかた ...自由詩420-8-1
Withdraw- 大村 浩 ...自由詩11*20-7-29
サイダー- クーヘン自由詩14*20-7-23
かいてください- 木葉 揺自由詩10*20-7-20
- クーヘン自由詩3*20-7-17
小詩集・とどまる- 岡部淳太 ...自由詩820-6-14

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