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空へと放った愛の言葉は
今ごろどこにいるだろう
雨の向こう側から
しずくのひとつを
ふと、思う
空から盗んだあの日の苦みが
髪と夢から香るとき
海はきまって
凪 ....
二人で引いたおみくじは
その元旦の初詣の甲斐があったのか
二人とも大吉だった
大吉にも中身が色々あって
満点の大吉もあれば
赤点の大吉もあるということを
同時に ....
ゆがんだ水の端を手折ると、狂った植物がその秒数を逆さにする。空気の残骸の渦の残骸が、その風光を光に記録する。ゆがんだ水の意識がなめらかに転がり、目醒めた植物を汲み上げる。神と神との境界は拡大し、神は消 ....
背が高いとは限らなかったよ
ちいさいやつもいた
まあちいさいのもでかいのもばかだった
さわらなきゃいいのに火にさわるのはやつらだった
火傷したくなけりゃ
火からすこしだけ離れていたらすむ ....
アスファルトは不意に
思いつめたように体を丸めた
巻かれてゆく坂道
自ら傾斜に耐えられず
すまなかったね、と仕事を終える
かつて裏切った砂利道が
傍から後ろから現れ
雑草を添えて ....
こころの 襞を はなれて
この場所から は ただ
あわいひかりだけが
みえています、
ひかりは きみの頬を
嬲 ....
090427
アマが駆ける
アマが
山の端に
月が出て
物語を始める
悠久の時を
お椀に装って
しゃなりと
口に運ぶ
運送屋のフデさん ....
半世紀も祈り続けて
鳩が太っていく
公園の木は
故郷から引き離された子供のように
ぽつん、ぽつんと育って
生きていこうとする力に
種類なんか無くて
他人の生き様を非難できない
太っ ....
友と杯を交し
日々の想いを
語らう夜に
酔いどれて独り
家路を辿る
夜の道すがら
何ヶ月も同じ場所に坐り
路傍の石と化した
家無き人の
汚 ....
川を見て我思う
その源の遠さを
時を隔てゝ巡り会う偶然と
この足で立つ大地の必然
水面の耀きは一瞬たりともとゞまらず
似て非なる形を繰り返す
遠くの雨の記憶
人々が流す汗や涙の記 ....
T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
紙の上で紙を耕している潜在する文字たち。私は潜在する文字たちが融けて流れて、視線が紙の上を歩き易くなるのを待つ。耕された紙に植えられた潜在する色面が、潜在する光とともに組織され、私は色面と光とを、潜 ....
ひいばあちゃんはな
いっつも縁側で内職しとったんやわ
そこでいちんちじゅうな
つるらるらーって数珠みたいに
ぎょうさんつながったしょう油入れを
ずーっとぼじっとってなぁ
( ほら、おす ....
誰もいない静かな部屋で
時折鏡を、覗いてみる。
目はふたつ
鼻はひとつに
口ひとつ
奇跡を行うこともなく
些細な魔法もわからずに
背伸びをするわけでなく
....
わたしは うっとりと
甘いまばたきを する
散りこぼれ
ながれてゆくのは
花びら
花びら
春は わたしを載せて
ゆっくりと 廻転する
....
明るい金属製の音階を
来る、行く
夜の回送電車の
黄色い、黄色い、硝子、硝子の
細切れのがらんどうを映写され
まばらに浮かぶ顔面は
いたずらにスクリーンと化している。
....
フリーズ、
見たことのない、遠い地で
顔のない男がつぶやいて 直後に
先端が、わたしの中心を穿つ
貫かれた体内へと
ぬるい、分泌物の侵蝕が始まるのを
指折りかぞえるあいだ、ずっと ....
店を出ようと思ったのに
もう一杯
コーヒーを注文してしまった
お財布の中を確認する
ギリギリ足りるみたいだ
あわてて戻ってきた店員が
「おかわりができます」
と言って、伝票を書き ....
掌で階段を育てた
せっかく育てているのだから上ろうとすると
いつもそれは下り階段になってしまって
悲しい人のように下の方を見ていた
その隣を弟は快活に上っていって
一番上まで行く ....
昨日が、夜の中で解体されていく
肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る
わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
....
君は歩いてゆく
お気に入りのハットをかぶって
お気に入りの傘を片手に
街の路を 野辺の道を 森の径を
誰かに出会うと
とまどったような ためらったような
微笑みと共に挨拶を交わす
そ ....
ひよこを食べる猫がいて
あるときひよこが
噛みついた
それからひよこは
猫を食べたり
ときどき親を
食べたりも
する
※
ひよこをだます猫がいて
おかげでひよこ ....
{引用=
ぼくたちの鳥は、預けられたまま
誰もいない部屋の
つめたい鳥かごのなかで
ひくい声でうたっている
透明なガラス瓶と花
傾いたテーブルは沈黙で伴奏し
薄いカーテンから秋の日が ....
ながれていく
(しずかに)
その潜行する鼓動を
ききわけて
よりわけて
乾く冬のために
水を落とすものとなる
寒い病のために
感情を輸血し
あるいはこのこころの
ものがたりを出 ....
79/08/25
天才的なるもの
静かな海
....
夕暮れの水位は
さざなみ
浅い胸に、さざなみ
空白で埋めたはずの
小さな画布が
素朴に満ちてゆく
海面に浮かぶ
危うい杭に
うずくまる鳥の
膨らませた羽から
零れる文字のやさし ....
白梅も微睡む夜明けに
あなたしか呼ばない呼びかたの、
わたしの名前が
幾度も鼓膜を揺さぶる
それは
何処か黄昏色を、
かなしみの予感を引き寄せるようで
嗚咽が止まらず
あなた、との ....
それは
砂糖一袋分の時間だという
いったい何のことだか
あなたの言うことは
時々なぞなぞみたいで
私にはよくわからなかった
息が苦しい
100対3で、塩の負け
なんの勝負だ ....
冬菫に
ささやく想いは
遠い日の
夢のおとした
かそけき影は
ひそやかな紫
冷たい風のなか
冬菫に
ささやく想いは
遠い日の
夢 ....
雪が私の小さな夜に降りしきます
冷たいものを無限に受け入れて
静かなまま染まるのです
記号という名前だけをもらった
小さな星雲たちみたいな
街灯が青白く照らす夜です
星を頼りに渡る鳥は ....
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