すべてのおすすめ
試着をし続けている間に
ぼくらはすっかり
年を取ってしまった
兄は定年退職を迎え
父と腹違いの叔父は
ベッドから起き上がれなくなった
会津に帰ると言って聞かないのよ
叔母が愚痴を ....
からっぽの手紙が積まれてゆく
借りてきた言葉ならまだしも
狩られているものは人の心じゃないのか
彼との間さえも誤魔化し
軽んずるためだけの言葉が連なる
綺麗なつもりでいて
嫌いとい ....
さやかなこまかなことばさきとどかぬのならそまず散るだけ
おとしぶみおとした文の子守唄
せきをしてもひとりよりすこしふかい秋はひとり
焼きいも売りの声すこしたかく
石黒くなりショパン ....
1
葉がふと 落ちる
はな れ て
ゆく
おとなしい
終りが
始まる
それにそなえて
私を 消す
2
浮き出た血管のように
夜を
青い星 ....
もさもさとはえてきますな
ふつふつとわいてきますな
なんでしょうな?なんなんでしょうな?
たかぶるたましい包む無限の慈愛 微笑み、
無言の沈黙の のびやか色づき
無機を有機を つ ....
君の言葉と沈黙をたどる
僕の言葉と沈黙とで
その感触をさぐりながら
そうすることだけで
行ける場所があると
いつからか――
記憶の海より深く
予感の空より遠く
その道のりで ....
我妻へのラブレター
初恋のデートで訪れた竹下通り
あの日に入った喫茶店は
何処だったのだろうか
季はゆっくりと移り変わり
刹那にもがき苦しむ人達も
入れ替わり立ち替わり
....
むかし話。倒錯行為よりも前にあった物語り。
ゾロゾロまた何人かの人は初級編をクリアしそうかな。ならば超級編の前の幼稚よちよち言葉遊びの先にある世界の、詩篇だらけの世界の、他者を断絶する詩vs全て ....
私の胸の中のいろいろ
飛び出さないよう押さえる
本当はみぞおちに穴あけて
ひとつ取り出せば
次のひとつが頭を出して
「いつでもいいよ」と
待っててくれる
それを引っ張れば
また次の ....
何時も
碧く拡がって
動くとも見えず動き
光るさざ波が 僅かな物語を示す
岸壁に立って
私が居る
スカートをひるがえす
いっそ このスカートが風をはらんで
海に ....
花がいつせいに咲いたので
風もなかなかお洒落なもので
埃つぽい老婆や街の子たちも
きやすく四月のあどけない挨拶にしたしむのだらう
さはやかなハ調の音階がきこえてくると
....
特別に悲しいという訳でもない日
行きつけのショッピングビルの喫茶店で
夜のムードなソフトジャズが
無機質に聞こえる 寂しさ
スプーンで掬って 舐める
ウインナーコーヒーの ....
水管橋に降り注ぐ光
何がしたかったの
わたしの腕も指も
多分、人より短い
変わっていく時間は
変わり続けて
気がつけば
アパートばかりが
目立って増えていった
あなたを思 ....
この世界という
無意味を掴んだら
この無意味という
力動に包まれたら
次に行って生きて
欲はあっても執着はない
荒れほど在った
食欲も性欲ももはや囚われず
自由なる大海、恋愛 ....
ショルダーバッグの鈴が鳴ります
シュリリン
控えめな 優しい音色
金と銀がありました
三井寺で 手に取ったのは銀の水琴鈴
事なかれ主義の八方美人は嫌われる
か ....
あんまり失敗とか思わない
目指すものは? 人間的完成とするならば
精神病の荒廃状態をも知り得た
弱者に寄り添いなお立ち続けるという意味で
それに雨風をしのげて寝る床がある
追い詰めら ....
僕らは彼方で会う
今此処で会うための身体に背いた僕らは
彼方で会う
今此処を縛る身体に縛られない僕らは
彼方で会う いつでも
いつまでも
僕らは互いに彼方のまま
何度でも会う
....
洗濯槽の水底
左折する
何もない身体
空っぽのタクシーが
隙間に落ちていく
昨日会った男は
鼠色の袋を
大事そうに抱えていた
都市の壁を
そのための朝を
〈間奏〉
貫く植 ....
奥深く行く生く
意識の明度、
あくまで保たれ保ち
より明るみ明るませ
映るモノ 待つ
沸き立つ
思考という力動
今、静かさに
意識の微睡みの覚醒にて
感情を生き直観に捉えられ ....
男が 居た
美しい男だ
あぜ道沿って咲き誇る
紅のみち
彷徨って舞いわたる
男が 居た
彼は蒼白い顔に大きな目を光らせて
おしゃれなスーツで包む
細い し ....
水槽のところで約束をした
真昼のすん、とした感じ
色違いの飲み物を二人で飲み
明日も天気はあるのだと
なんとなく思えた
歩く速度で歩くように
わたしたちは笑う速度で笑う
許したこ ....
ある日アヒルの王子様がやってきて
結婚してやってもいいけどなどと言ってきた
でも待機児童問題が、と言うと
ガアガア鳴き始めたので
彼には彼の人生をお尻プリプリ歩んでもらう
瓶ビールに ....
夜に
優しく撃たれて
ひとり、またひとり
人は
優しく死んでいく
夜に
まだちゃんと慣れてないから
きみは泣く
これからはじまる長い旅路の
最初に出会った
得体の知れないその不安は ....
風 一吹き、
風景の
すきとほり
あける荒涼の光景の、
わたし何想うことなく只集中し
風一吹きの感触包まれて白手伸ばす、
一ふき風のふとどよめく感情
その内 ....
善い詩と悪い詩
善い詩というのは
語彙が多いとか
汚い単語が無いとか
正しい文法とか
極論言えば
ごじ
だつじ
がないとかではなくて
現在詩的にはピッタリ
と時と場所にハ ....
優しい崩壊がはじまっていた
あまりにも優しいので
感じるべき痛みを
感じることができない
あまりにも無垢な幻想が
あまりにも無垢なまま
此処を通りすぎることはできず
幾重にも折り畳ん ....
禁呪草
複雑な
毒の糸口
見えぬまま
まだ大丈夫と
熱にうなされる
ポジティブな人
城壁の草よ
心のオアシスを
そしり採られて
打ち砕けてろ
人の身体は
天然の ....
眠るように死にたい
そう願うのは人間だけじゃない
夜行性の雀蛾や鼬鼠
僕と私
昼寝する象海豹だって同じこと
真夜中に他人目(よそめ)を避けて歩く人々に万歩計は要らな ....
一雨ごと秋が
次第に充ちて来る
野道行く行く
さらけ出す
心一つは鋭きものと今更に知る
(西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)
....
白眼と白眼、バランス崩し
黒い輪郭に青白く輝く肌
何かに呼ばれるように
何かを呼びながら
無限に向かっていく
意識の光に充たされ
柔らかな死の祝祭、
死と再生の饗宴、
虚無を ....
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