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柿の実色に日は暮れて
通学路に残ったチョークの○も滲む頃
街中の電線にたわむ百舌たちは
嬉々 嬉々と啼いて安堵する
それを羨む秋の傍らで
きみに書きあぐねている手紙は
お決まりの挨 ....
雨戸を開けたら
夜の一過性の麻酔が
今は静かに窓に張り付き
単なる水気となっていた
その硝子面を、つつ、と指で擦り取り
そこを覗けば、山茶花の
一塊の色彩の首だ
....
秋風が冷たくなってゆくのは
赤々と燃える炎を
鎮めるため
山から道へ
道から軒へ
軒から海へ
秋風は
休む間もなく吹きぬけてゆく
そうして
暦に目を留めた誰かが
山が燃え始める ....
白鳥が飛来していた
初雪の予感漂う十月下旬
懐かしい湖面に
白鳥が飛来していた
渡りは
これから本格的になるのだろう
湖面には
ぽつりぽつりと
数えられるほどの小さな群れ
....
入眠
夜を行く 夜行列車の端から端まで
眠れないという あなたの背中を
私の恋を知る 二年の黒髪で覆い尽くす
やがて 足が滑らかに滑り落ち
月の無い夜を 黒豹と翔け行く ....
夜と交わす記憶は
あらぬ方向へめくれてゆく
形の定まらない部屋に
ひとつまたひとつと
見えない炎がともってゆく
この身体のそばを通るとき
時の流れは
とまどったようにとろりと遅くなる ....
光の傷の足跡でした
小さくまぶしい姿でした
川はあふれ
流れはくちびるのかたちをして
水と土とを引き寄せるのでした
流れの音は
光の花の緑をしていて
過ぎてきたどこか ....
君と
ばいばいって
約束もなしに
手を振るとき
誰かが
波打ち際で砂を踏むのです
僕の胸の奥の
小さな
渚で
花瓶のなか
ぎっしり 眠る
胎児の へその
緒のさきに
咲いている
足は
深い草の中だった
踏んでいるつもりで踏む足音は
深く柔らかな草の中からだった
うらぶれたいだなんて、高架下
うらぶれたいだなんて、アスファルト
いつからか ....
その勾配を眺めるだけのいつもの儀式
辿って続く筈の道、落ちた空を背中に
視線を向ける先はいつまでも遥か遠く
何処へ何処までも行けそうで行けない
「止まってはいけない」それが苦しくて
夜闇に安 ....
無意なる旋回
{引用= ―鳥たちは旋回し
そらに 籠のようなかたちを編みなし}
鳥はそらをとぶ魚
地は往かず
なのになぜ
鳥の ....
遠くなった
初秋の新月の夜
ふと見上げると
漆黒の夜空は
無数の星たちに
彩られていた。
それはまた
手動のオルゴールの
原版の穴のように
闇夜を移動し
星の光という
音色を奏で ....
「ふくらはぎはね タイムカプセルなんだよ」
そう言った時
掠れた声で
おもしろそうに
わたしのゆるやかな足をなぞるゆびは
日ざしに透けて
どうしようもない昨日とまざり
まるで た ....
真夜中の病室は
眠らぬ夜が吹き溜まり
ベッドを仕切るカーテンの網目から
そっと闇を窺っている
自由をいつか昔に失った体躯は
ケミカルなチューブの血管や食道が
もはや自らの一部と ....
空がはばたき
他の空を壊す
壊す 壊す
他の空を壊す
勝手に名づけた色を着て
詩人たちは終わってゆく
終わる 終わる
詩人たちは終わる
かけらはつねに降って ....
一枚の葉も無い
一本の細い木のように
突っ張った体がベッドの上に横たわる
焦点の合わない瞳
微かに呼吸する半開きの口
折れ曲がり固まった枝の腕
真っ直ぐに交差した両足
手首に刺した点 ....
君の身体にあいた小さな穴を
塞ぐこともできないような僕です
風が冷たくなってきました
風邪などひきませんように
そんなセリフは
可愛くもないけれど
せめて吹き抜けないように
....
砂丘に行けば
明日があるかも知れないと
とぼとぼと足跡を残します、そして
砂を数えたのです
波を数えたのです
灯台の明滅を
数えたのです
星を教えてください
色 ....
おそらが
あんまり
たかく
あおく
すみきってくると
あかいふうせんが
恋しくなる
ふわ
ふわ
ひらりと
風にのり
ひつじの群れを
追い駆けたい
....
嵐の夜
白と黒の町
{ルビ礫=つぶて}のなかの
廃屋をめぐるまわり道
螺旋階段に立つ人々
雨のなかの天使を見下ろしている
瞳から瞳へ落ちてゆく滴
水彩の ....
散乱していたの
物体ではなく あたし の
(思考と存在 に 対する雑感
思春期めいた思考は
フォルマリン漬けにしてしまえ!)
意味でない もの でもない
反芻 ....
春の朧には
狼の遠吠えが聞こえる
黄身を崩した
蒼い朧月に
マンションの屋上から
屋根の上から
銭湯の煙突から
ああほら
またも
遠吠えが聞こ ....
突然 その蝿に
死の機会が与えられた
蝿が期待していたより
時のひとかけらほど早く
ほこりまみれの教室を
最後の舞台に選び
その無数の目で
一千個の慈悲深い
....
洗面台の鏡を傾けたら
小さい流木がころげおちた
どうやら 渦巻くのは小さい海
どこか角度の違う世界へと
つながっているらしい
悟ってはいけないよ、と
こころの母の声がして
そっと指を ....
待ち合わせに遅れそうな時
メールひとつで済ませてしまう
嘘っぱちの言い訳も
おたがいの顔が見えないから
罪の意識を感じずに誤魔化せる
どこへ行ったか
寂しがり屋の待ちぼうけ
....
夕日に照らされた川の向こうの観覧車は
ゆっくりゆっくりおんなじ所を巡る
そして鉄の箱の中では幾万の恋が
おんなじように回ってるんだろう
川辺は静かで夜を待つばかり
この水だっていつかの水 ....
泣くために悲しんだことがある
砂浜にかじりつくようにくいこんでいた白い貝は
まるで生きているみたいに艶やかな色をしていたから
指先で撫でたら深くもぐりこんで逃げてしまうような気がした
....
冷たい砂浜に、誰か
体で泣いている
空生まれの灰が沈んできて
波へ死んできて
折り畳まれてゆく、その灰の
海はノイズだ
今は、眼を閉じて
耳だけの ....
みず色の空に 浮かんだ
白い月
明けたばかりの朝
洗濯物を 干す
厚着をして でた外は
首もとから 冷えていく
夜を終えた 世界に
濡れた 竿から 雫が 落ちる
寒 ....
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