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錦糸町駅で停車した総武線快速に
一匹のナナホシテントウが迷い込んだ
光に向かって飛ぼうとするが
むなしく窓ガラスにぶつかるだけだ
外に出してあげようにも
列車は地下に入ってしまって
....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた
桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
夕暮れに
ひめりんごの花弁が
雪のように散ってゆき
落ちた先は
あの子の眠る
寒い土の上でした
最期の言葉も
交わさぬまま
突然
冬空へと消えた
一つきりの ....
自分で自分をさらって
とうとうこんな処まで来てしまった
白い光に
朽ちてしまった街
建物も通りも 空までも色を失くして
そして 誰もいない
ただ乾いた星雲がいくつか
なかぞらで回って ....
髪の毛をばすばす切る。
背中の真ん中まであったロングヘアは
今はショートカット。
今日はベリーショートにして
髪の色も変えるの。
まるで
女の子だった自分を
捨てに行ってるようだ。
そ ....
細かにえぐられた容積を抱え込む椎の木立が潜熱としての意味を失う地点であてどなくさざ波は広がる。枝間からこぼれ落ちる木の葉ははじまりを告げる単音を虚空に受精させ大気がむららと熟するのを苔のように待つ。
....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの
くるくると
回る
地球儀の おと
重ねた手のひらの微熱 ....
がんだち たちまい どーん ど どーんや
まいふく みめい の きんらん こまどり
いわさく めぶきよ もえふす しじま の
いてつく このむね かたみの つづら よ
つちあげ かぜと ....
いつからか
いつだって
夕暮れにはどうしたって寒さを感じてしまうので
羽織るものを探して
溶けるようにして逃げ込む家並み
指先の冷たさで、触れると
いつだって君は飛び上がって
降りて ....
夕暮れ時がそこにはあった
透明なゼリーに閉じ込められた
みかんの間を
飛行機は泡の尾を引きながら
西へと飛ん ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
悠久の時を越えて来るものは
優しい光りとなり
波に木霊する
ひとつひとつが七色に輝きながら
押し寄せてまた戻る
百年も千年も波の旅と恋が始る
煌きは風と渡り
....
散歩する
ひとりで
世界に抗うための 肝試し
夜の墓地
君の他には誰もいない場所
君は闇の静かな渓流の中に
ひとつの影を見る
誰もいないはずなのに
墓地をうろつく黒い影
君は見る
....
真っ暗な閉め切った部屋の片隅で白と黒が無秩序に演出する光と闇のコントラストから流れ出す無機質なメロディーが思考を止めたボクの中のレプリカントを愛撫しながらこの狭い小宇宙に光速で進む世界を外から見つめる ....
まだ時間はある、
燃え尽きるまでには。
おれは長いあいだ炎ではなかった、
静かに灰になっていこうとしていた。
おれは夜に黒く燃える太陽を見た、
重力の暗さを持ったフレアがのた ....
春風 二人飛び込みながら
微笑と予想外の提案
「約束は飛行機雲の日曜日」
500円硬貨 腕時計 合言葉 揃えて
共作共演の時間差外出
街路樹 信号無視 街ごとのジャメビュ
....
白い月夜にぱかぱかと赤信号
君に逢いに行かなくては
白黒の横断歩道
白い部分だけを飛び越えて、地下鉄に潜り込む
キラキラと輝く星達は居ない
エイプリルフール、約束をしよう
愛知万博の輝きは ....
青く澄んだ空のてっぺん
ぐるりとめぐるひかりの輪
きらきらまわる浅い淵から
湧き集まってくるあわい雪
それはまるであぶれた幸せ
そらにひろがるこぼれた幸せ
ひらりひらりとまいながら
くる ....
遠い日の夜
私が目を覚ますと
家には誰もいませんでした。
このとき私のなかで青い虫が鳴きました。
(きいきい)
さらに遠いむかし
最後の氷河期が
始まろうとする夜
私は猿で ....
ひとんちのバスタブで、
両手をのばす
出来るだけとおくに、のばす
右にも、左にも、下にも、上にも、
名前が付けられない角度にだって
出来るだけとおくに、のばす
人生の三学期が終わって
....
冬
灯りを点けない夕方は
何故かどきどきする
小さいときなら遊びつかれて
夕飯まで
少し眠った
ストーブ上のユキダルマ
履き替えた靴下
苛めた犬
ソリのきしみ
耳切る風 ....
こしていく 冷えた息
向こう側に 滑りゆく
私じゃない 私の行方
持ち出せない 鍵の開く音
隠している荷 炉に 並べ
燃え尽きて 透けてる 私
まだ変われるなら どうか
....
有難を無難に実現させたコトバ
「茶色がすき。」
グリーンにゴールドを合わせて2004年の夏を編む
靴ひもに魅せられた二人の時間
モノクロームの白を生きてきた君が描いた黒
無 ....
その人は起き上がる
いまだ眠たげな目をこすりながら
一杯の朝のコーヒーを探し求める
たった一杯で
本当に目が醒めるのなら
世界は半日ごとに覚醒と睡眠を繰り返す
整理された場所になるだろう
....
出会うのが遅くてごめんね
なんて
あやまるのはやめてください
たとえそれが
ほんの束の間でも
気の遠くなるような数の
偶然を重ねて
ここに
ふたり
寄り添えた奇蹟を
今はただ
....
天動説の子どもが増えてるらしいのですが
それはまったく自然なことです
地球が回っているのだとしても朝が来るのは退屈なのですから
僕はお布団で魚になって
箱舟に乗ったかあさんとはなしをします ....
燃えるものがない
燃やすものがない
燃えようとする心だけが
かろうじて生き残ろうとするとき
ぼくの指先はペンを握りしめる
ああ白紙には危険な文字が溢れている
白紙を汚そうとするとき
....
ほと・ほと・と、日溜り温く
昼下がり ・ ・ ・
白い雲など浮かんでおりぬ
ぼんやり空を仰いでる
こんな時間に空を見る
無かった時を取り戻し
弥生の ....
それでもこの心は
果てしなく遊離線を描くのだ
そうだよ 憧れは遠いから憧れなのだ
君をとおしてその遥かさを見つめようとしていた
残酷なこの心よ
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