腐った果実の名前を呼んで
食べてあげることはもうできなくて
名前を呼ぶことくらいしかできないけれども
だから せめて
大きな声で

腐った果実の名前を呼んで
もぎたての頃を思い出す
真 ....
 
 
綱わたりをしていると
月がきれいだったので
僕はまっさかさまに落ちていった

形の良い吉川くんがそれを見ていて
僕らはレンガ遊びを続けた
吉川くんはレンガをちゃんと地面に積んで ....
もっと
川であれば良かった
素直に
下っていれば良かった

もっと
月であれば良かった
律儀に
満ち欠けしていれば良かった

もっと
波であれば良かった
健気に
寄せては ....
窓をあけて
冬の匂いがしたら
温かいコーヒーを一口
いつもとは
ちょっと
違う味

長い長いマフラーを用意しよう
可愛くて温かい手袋
お気に入りのコートと
あの人が好きだと言ってく ....
 
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった

ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
街の風景を愛しく想うのは
街が僕の延長であるからだろう
あらゆる物を僕は備えている
爪や血管、汚職や罰金の滞納ですら

何もかも僕に似ている
路地や神社や夕暮れの生殖器
傷跡を覆うように ....
お前はしたい

腹を見せ
くたばっている蝉よ
日中に繰り広げた
小鳥とのマッチレースの果てがこれか
二度三度啄ばまれ
それでも振り切った翅が
今は夜露を積もらせる
た ....
降りはじめた
雨に

傘をさすことにも
傘をささないことにも
正誤はないよね

どちらもきっと
雨だから

雨に
なるから


つちに濡れたほこりも
ほこりに濡れ ....
咲いてゆく音が
きこえます

川が
はじめて山をなすこころ、
そういうものが
乱れていきます


置いていかれることも
置いていくことも
じつは
まったく
同じこと
 ....
廃村の外れで
垂れ下がった電線が風に吹かれている。
壁や窓を叩いている。



置き去られたカラーボックスに
アニメのシールがでたらめに貼りつけてある。
清掃車のオルゴールが近づいてく ....
 
掌は舟
温かくて何も運べない
体液を体中に満たして
今日も生きているみたいだ
塞ぎようのない穴から
時々漏らしながら

階段に座って
ラブソングを歌ったり
駅前の露店で
プラ ....
元気になる権利があるので
いちいち弱くなる話は
しないでおくれ

朝からまた人の悪口言っている
どこから集めてくるの
そんなに悪いだけの人なのだろうか
どうせ にこにこと私と話していても ....
ふたりは、
まだまだ遠い

互いの肌をすべるとき
温度がちがう、と
わかるから


 のぼりつめて、
 のぼりつめて、

 この
 からだをつつむ
 きみにもたれる
 ....
マリオネットたちの仮想的革命が
左心房をよぎる
窓の外では夜の街が
書き割りのように翻る
カレイドスコープの中で廻転するのは
天使たちの落とした翼が
あまりにも降りしきっていた日々だ
知 ....
ちいさな死骸を排水溝へ流す。
おまえは、透きとおる水晶のようにきず
をかかえてそこを流れてゆくのか

哀しみに囚われたひとつの流れを
純粋無垢なひとみがこおりついている
このこのちいさなむ ....
色鮮やかな薄衣をまとった山あいは
戯れて欲しいと無言でせがみ
得も知れぬ愛おしさと
恋の味とは甘さばかりでは無いことを知る

その味わいのほろ苦さよ
古い峠道の傍らで人知れず朽ち果てた祠で ....
                 081025





くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する

石ころを蹴っ飛 ....
パレードの喧騒にわかに散ってゆくここから遠いこころを想う



思い出す前のぼくらは幸福で雨雲は必ずしも雨を孕んでいるのだろうか



マタニティブルーできみは海の中ほんと ....
もう
ここは冬
になってしまった
日は短くなり
昼からすでに夜の気配がする

けれど迷い人よ
冬のせいではなく
この森はずっと昔から
喪服の切れ端のように暗い

鳥は言う
「さ ....
まぶしい雨が
わたしのひたいに落ちて
ぽとん と
奏でた
それは総天然色の
はかりしれない次元の
やさしさ

おもっていることが
おもっているように
雨は降るのだろう
だとすれば ....
今日 キミの夢を見た
もう居ないくせに
「いつも見てるよ」と言うのだ

薄曇の外光が窓から入り込んで来て
中途半端な空間を作るので
夢の端っこを掴んだまま手放そうとせず
意識が行った ....
{引用=



一 まざり、あう



かぜをすする、と
むねは
しずかさを
とりもどす

むかしむかし
おそらくぼくは
みずうみだったのだろう
かわではなく
うみで ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
私は今日も、顔を洗う。 

両手で覆った顔を上げて 
目に映る何でもない日常が 
常に真新しい(今)であるように 


  * 


もう会うこともない 
ある人が 
いつか何 ....
彼女は言った
翅があるんだって
臆せず言った
何所へでも飛んでゆけるのだって
でもその翅は堅かったけど薄くって
プラスチックの板のように脆くって
いつかぱきりと
音を立てて割れてしまった ....
もしも
花弁が落ちたなら
終わりましょう、
きょうを

あしたを向いて


もしも吐息を
こおらせたなら
呼び直しましょう、
水の微熱を

いのちの名前を


 ....
 
指先から入る
表面張力の
弾力にはじかれて
はじかれるうちに音もなく
入ってゆく

指の骨の
白い洞窟のすきまから
声が降る
あの声もその声も
白く堆積する

カルシウム ....
 「キレイだよ、誰よりも。」


 鞍馬口駅のトイレでそっとつぶやく。髪を直して、グロスを塗って。そうして見つめる鏡越しの自分に向かって言っているものだから、他人が聞いたら「アホちゃ ....
  

  爆音も何処か哀しかった
  ごつごつとした手のひらで
  けれど子どものように遊ぶ指で
  かれのギターは夏をいつくしんでいた



  いつかかれが詩に書いていたが
 ....
きみに降る雨の日を
ぼくは知らない

いちばん、
知らない

余地の
あり過ぎることが
迷子という方角を狂わせて

ときどきぼくは
ひどくさまよう



ついつい ....
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