車窓の視界が
きらめく波でいっぱいになり
埠頭を渡る風の翼が
一瞬、かたちとなって見えた午後

岸壁の釣り人は
ただ垂れた糸の先と
深さの知れぬ水底近くを
くろい海水に遮られながら見つ ....
帰ろうとしたら壊れていた
自転車
サドルが遠く 曲がって

きっと人ごみに
押されたのだろう
かたちあるものは壊れていく
いつから
怖くなくなったんだろう

父の記憶も
それに似 ....
たこの入ってない偽物のたこ焼きを
俺たち、食べ続け
成犬になるまで幼犬を
俺たち、育て続け
そのあとはライブハウスで
ヒトデの数を愛と間違え
隣の人に怒られている
ロック、俺たちのロック ....
とおくながれゆく
やすらぎの衣は
たしかに
あの日
おれたちが纏っていた日常

じゃれあいながら
風に泳ぐ魚たちは
たしかに
あの日の
おれたちの心

べた凪の
深い
もっ ....
通勤バスの車内 
後部座席から眺める 
まばらな人々が
眠たげな朝 

( 昨晩わたしは、{ルビ尖=とが}った爪を、切っていた。) 

人さし指をのばし 
四角いボタンを押す 

 ....
システムを開発する
一言で生業を説明すれば
それで済むのは分っている

予算は幾らか
工数はどれほどか
テストと納期と
自分の人生

どうする事で生活を得ているか
何をする事で報酬 ....
テレビの画面いっぱいに
モザイクがかかっている
娘は笑って見ているから
面白いアニメか何かなのだろう
低俗なものはきちんと排除され
僕らは安心を手に入れる
新聞の記事にもモザイクはかけられ ....
ベストオブにんじん色に選ばれた

「おめでとうございます!!!
あなたは、ベストオブにんじん色に選ばれました!!!」

という電話がかかってきたから間違いはない

学校へ行くと友達が
 ....
重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる

それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ

諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を ....
あんなに降っていた桜は
何処へ流れていったのだろう
夜の手がそっと集めて
すこし北の、
山並みを越えたところへ
風に溶かして運んだのだろうか


翠を湛えた葉桜は
それはもう、
ひ ....
わたしたちはゆるやかに
つながっていくだろう

春をわたる風のように

だいじなことは
たぶんきっとあるだろう
だけど
それがどうだというのだ

わたしたちはとうめいになった

 ....
青い空は私の目の前にあり
私と其れをさえぎる者はこの世界にないというのに
私はその中へと埋まることはできない

希望を抱いては砕かれ
夢を見ては叶わぬと知らされ
現実は私にとってとても悲し ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
途切れがちの遠い波音に
あるいは
いつかの風景の肌ざわりに
私は
何を求めていたのか

カンバスは
筆先の触れた瞬間から
額縁にきちきちと収まってしまう
握り込んだ青い爪が
手のひ ....
規則的にしずかに眠らないモーターが
半音階だけその声をあげて
いつの日か再び息づきはじめる時
スキャナーは熊のように鼻をひくつかせ
カウンターは目盛りをゆるやかに揺らし
サーモスタットが ....
もう飛べる翼はない
星の足跡 ここで、途切れた
出逢うまでの道も忘れて
広い空をただ見上げる

水平線に夕陽が溶けて
紫色の夜がまた、来る
やさしさ、だけ
欠けたパレットを ....
どこまでも続く桜並木の先に在るものを
確かめたくて
あなたと手をつなぎ歩く

親子ほどにも見られそうで
控え目なあなたの腕を
胸元にまで引き寄せ
歳の差なんてね

桜は潔く散るから美 ....
傘のしたでだけ
降り続ける雨がある

 強弱では語り得ない、それ



交差点を渡る黒たちの
はじまりの日は
白だった
或いは
今も

 嘘とほんとを
 分けたがるけれ ....
見てはいけないのだとわかってはいた
誰か忘れてしまったが誰かに教わったのだ
父でも母でも兄でもない誰かに
たいして長くもなく広くもないその川のその場所には
かつて利用されていた潜り橋の名残があ ....
事務所の白板に 
今日の日付と 
出勤者の名前を書く 

デイサービスにやって来る 
お年寄りの人数を書く 

今日という日が 
すばらしい舞台となるように 
わたしは鏡になれるだろ ....
あとかたもなく
灰にするということだ

ひとりで
生きていくために

世界に
巣立ちをせよということだ

父を焼く

かたくなに
声を伝えぬおとがいを
持ち上げたなら
かさ ....
砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した
父だった
父はこんなところに埋まっていたのだ
途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した
息をし ....
春の亡骸が
アスファルトの上で朽ちる時を待つ

雨上がりに
微生物の匂いを嗅ぐ

ほんの少し伸びた影に
手をふる子供は

背中の荷物が重たそう
    弔いの言葉が捌かれて
    彼らはそれを咀嚼する
    通約された痛みの淵に
    紫紺の{ルビ輪=ループ}を描きながら
    桜は
    自らの闇に向かって落下する

 ....
昨日の月は

尖った 細い 月爪だったので

夜を枕でくるみこんで

空を引掻いてしまわないように

唄を歌って

ふかい、ふかい 息を吐いたら

枯れた冬 ....
霧雨で
全部言ったら霧雨で
それは何千日っていう僅かな
俺たちの
永遠で

霧雨に緑は映えて
おまえの瞳の緑は映えて
そんなに静かに
生まれたての春の花々のように ....
風のなかに
釣り糸を垂らしている
それはおぼろげとなってしまった古い
記憶をせめて呼び醒ますよすがではなく
かなしい決意でも無邪気な思いつきでも
その日の飢えをしのぐための
投げやりな衝 ....
そして
けんこうこつ
があり
かどを
うせつする

また
けんこうこつ
につきあたり
させつする

いきどまり
けんこうこつ
のにおいと
なめらなかな
しつかんが
ただ ....
水の匂いが燃えてゆく


漆黒は
うるおいのいろ

こぼれてはじまる
灯りにけむる、
波のいろ



疎遠になれない花の名に
ひれ伏すともなく
かしづく儀礼は、 ....
波が編む細やかなレースが
爪先の向こうで結ばれてはほどけ
刻と陽射しは
翡翠や白の模様をすこし深くに施す

水平線、と呼ぶには平らな
空と海の境界を見ながら
こうして言葉を探す自分を思う ....
たりぽん(大理 奔)さんのおすすめリスト(4281)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夢釣り- 銀猫自由詩15*07-5-5
素数- umineko自由詩17*07-5-4
詠えるロッカー- たもつ自由詩11*07-5-4
たとえば太陽が- 草野大悟自由詩8*07-5-3
「_降車ボタン_」_- 服部 剛自由詩12*07-5-2
システムエンジニア- 松本 卓 ...自由詩307-4-30
モザイク- たもつ自由詩3107-4-30
ベストオブにんじん色- ふるる自由詩24*07-4-28
- 恋月 ぴ ...自由詩32*07-4-27
みどりのスケッチ- 銀猫自由詩15*07-4-27
ユニヴァース- umineko自由詩9*07-4-27
私は自分の翼を殺いで- 完食自由詩507-4-26
書店で働くということ- 吉田ぐん ...自由詩73*07-4-25
遥か、透明の過程- 佐野権太自由詩32*07-4-25
春の記憶- 角田寿星自由詩1807-4-25
あさやけ色- Rin K自由詩33*07-4-23
さくら、ふたたび- 恋月 ぴ ...自由詩38*07-4-22
よくある話- 千波 一 ...自由詩15*07-4-22
橋の下にある藻屑について- 佐々宝砂自由詩5*07-4-22
「_空ノ鏡_」_- 服部 剛自由詩7*07-4-21
明日に咲く花- umineko自由詩12*07-4-21
砂原に- リーフレ ...自由詩38*07-4-21
春影躍心- 彌月自由詩207-4-20
喪花- 月夜野自由詩13*07-4-19
月爪- リーフレ ...自由詩16*07-4-18
霧雨- 水在らあ ...自由詩2507-4-17
風を釣る- 角田寿星自由詩19*07-4-16
くんれん(いきどまり)- たもつ自由詩607-4-16
朧月夜- 千波 一 ...自由詩26*07-4-16
海風- 銀猫自由詩22*07-4-15

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143