濃霧
千波 一也



ふたりは、
まだまだ遠い

互いの肌をすべるとき
温度がちがう、と
わかるから


 のぼりつめて、
 のぼりつめて、

 この
 からだをつつむ
 きみにもたれる

 ああ、
 やっぱりそこは
 そこなんだね

 そこだったんだね


わすれ上手な水が
のこしたものは
ふたりの呼吸

なつの匂い


 ねえ、
 窓のくもりに
 なにを書こうか

 やがては逃げてしまうけど

 いつかはわすれて
 しまうけど


霧のよる、
ふたりは何度も
水になる
  
確かめあって、
ことばに
なって、

めぐりめぐって
またもとめあう






自由詩 濃霧 Copyright 千波 一也 2008-10-28 12:08:54
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
【きみによむ物語】