枕元に紫の煙
懐かしい気配
一晩だけ許され
あなたは
天国から降りて来た
手をとりあって
窓を空けて飛び降りる
香炉の灰がゆらゆらと
轍のように後からついてくる
二人 ....
この世のものとは思えない
美しさ
妖気がただよい
みる者すべてを
ひき込むような
透明度
世界中のあらゆる街から
すべての失われた恋が
....
八月。うだる様な暑さだった。
エアコンも扇風機もなかった家の中の暗闇で寝かされていた。
父親と母親の間に挟まれて川の字になって。
眠るまでは真ん中の一本線だった筈なのに何だか人間が絡み合う気配に ....
てのひらに舞い降りた
やわらかなバケモノの息は冷たく
右腕に
重過ぎる
そのための花を抱えて
植物園の温室を目指すのは
そこが
恋愛の終焉だから
それを
好ましいと思ってしま ....
妄想だけで生きていける。
キスはどんな味がするのかな?
私から女の匂いは立ち上がる?
狂わしたいな、私の本能であの人の理性を。
あじさいの花房は梅雨の色
差し出した手を青くして
この七月の静かな一時
あなたは寂寥と戯れる
うっとりとした顔で戯れる
時は輪切りにされ垂直に立ち
....
図書館のお勧めの本借りてみた自分で選ぶことのないテーマ
新しいショッピングセンター最初だけ人は多くて徐々に減る
久々に雪が降り出し子等騒ぐ「雪達磨とか作ろう」と言う
ニュース見て良い ....
吹き硝子、
転けて
林檎、と
呼びます
たなびく夏の草影に
月夜の晩に種を蒔く
今日聞いた言葉を思い出して
悲しくて
淋しくて
逃げ出したくてと
妖精が種を蒔く
香りをつけて
色をつけて
役にたつように
あした摘むひとが
....
無言のまま
田舎へ
無言のまま
夜の新幹線
無言のまま
神は
地へと失神する
もう
言葉はないのです
日々の中にも
秋津島の昔語りにも
それなのに
....
都市伝説じゃなかった。
文字通り、地方か田舎の伝説。だから、信じるもよし信じてくれなくてもいい。
俺の父親はちゃぶ台のひっくり返しが好きだったみたいだ。頑固一徹で癇癪持ちで我が儘で無類の酒好き ....
小雨は
薄日を乗せて
銀の色
美しく
濡れて照り映えるのは
君のふくらはぎ
白く優しく季節に溶け
小雨は
薄日を乗せて
銀の色
夏の予感を
貪婪に膨らませ
....
雨が降ります
草木濡らし
風が吹きます
草木揺らし
)私はひねもすベッドのなか
)のっぺらぼうの死の幻覚に
)さ迷い目覚めてまたさ迷い
雨が降ります
草木濡らし
風が吹 ....
夕焼けの公園で
見えるものすべてが
影絵になって
私は千切れそうな人形
鳥が巣から見下ろし
虫達が葉の下で見上げる
風が髪をかき上げて
踊れと言うけれど
はぐれた妖精のように
....
虹色、あの人をもいで食べたい。
コバルトブルー、私に笑顔がなくて怖いだろう。
だってすべてに押し殺されているのだもの。
もちろん私は怖いです。
でも私はあなたの前で無防備になってみたいのだ。
....
ハイビスカスの
葉に寝転んで
蜘蛛の巣に架かる
弓張月を見上げる
消えていく彗星のように
蒼い星の粉が風に揺れて
妖精に降ってくる
懐かしい匂いがした
失恋の匂いに ....
七月になり暑さが増す
梅雨を押し退けて
七夕の日は晴れになる
みんなの気持ちが一つになり
晴れを引き寄せているのか
多分そうなのだろう
短冊に書いた願い事
子供の頃毎年書いて ....
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵のように残り
自分が此処に居ることが
怖いくらいはっきりと浮き立つ
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵の ....
母の花鋏を持って庭に下りる
背の高いグラジオラスが
白い雲を背にして並び
赤い花が足元から空まで咲き
さあどうぞと言っている
一緒に埋めた球根が花になり
私の手を握ろうとす ....
気持ちいいのは
けだるいから
居留守
居留守も
幾日も
生理カップ
たまったかしら
ボサノバ
聴いたら
けだるいよ
居留守
居留守
吸血鬼だわ
あの足音
一文字違いで
その一文字も隣同士とくれば
切っても切れない関係であることは
容易に理解出来る
イランとウラン
あらん限りの勇気を振り絞って
「てめえら、ごたごたぬかすと
ウラン濃縮し ....
どうでもいいぢやないか
それは君のくちぐせであり
ぐうぜんにも 君からきいた
さいごのことばでもあつた
ひと月まへ 一緒に飲んで
別れ際にきいた いつものせりふだ
その前に何を ....
歩け、歩け、
ひたすら前へ
母語に吃り言葉を失い
途方に暮れて立ち尽くしながら
貴女の後ろ姿を不意に見い出し
ひたすら前へ
歩く、歩く
木霊し続ける声の方へ
今日も巨 ....
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く
)今は何もせずぼうとして
)うねる夏の光を夢見ながら
)美しく深まっていく世界を信じ
....
ボンヤリ鬱状態でコーヒーを飲みながら、
トーストが焼きあがるのを待つ。
そういう時間を味わうのもオジサンは好きなのである。
不寛容なジジイでいたっていいじゃねえかバカ野郎。
爽 ....
毎晩僕は羽根を少しだけ広げて
階段を走って
踊り場の窓から飛び降りて
庭に並んだ蕾を踏んで
妖精たちに怒られて
月あかりの草むらで星を見て
猫の鳴き声が近づいても
僕は場所を渡さずに
....
草木も眠りにつく時間の
筈なのに
街はうっすらと目を開けていた
コンビニの明かり
その駐車場
寝静まる民家
周辺の道路
道路の端には
電信柱が無言のままに
立って並んでいた
....
煙がすべて空に消えたら
ぼくの骨を拾いに来てくれ
肉はすべて
烏どもにくれてやった
ぼろぼろの骨のなかから
丈夫なものをひとつだけ拾ってくれ
それからそれを
あの女の部屋に投 ....
ねえ、さよならをしよう
後ろ向きに流れるメロディ
誰かが世界のしあわせを歌うよ
アスファルトを強く蹴る
自分ってなにか
求めすぎて自販機で炭酸飲料のボタンを押す
すべてが泡となって足元 ....
あなたと一緒なら
どんな場所も空間も
穏やかな雰囲気に染まる
電話も取らずに過ごしたい
窓から見える水平線が心に残る
好きなドラマ
感動しながら一緒に見たり
台詞を言い合って楽し ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77