いつの間にか落ち込んで、本棚の隅に引っかかっていた文庫本を見
つけた。手に取って頁の目地に溜まった埃を払う。
金沢市片町1-1-23 07**−61−7950
古い住所のその ....
夏は嫌いだ。
だから死ぬなら、突き抜けた青い空がどこまでも続く夏の日がいい。
死に方はなんだっていい。じぶんで自ら命を絶とうが、誰かに命を奪われようが。
だけど、死ぬ場所は室内がいい。
窓に四 ....
1.蝉の脱け殻
階段を登っていると、カサリ と音がした
足もとに目をやると、蝉の脱け殻が潰れていた
私はそれが、崩れてしまわないように、
そっと、ポケットに仕舞った
2.虫籠 ....
よおて
ぐちばかり
ゆうて
ねても
いびきかくと
「ウルサイ」
いきて
さびしいと
ゆうて
いまも
まいあさ
しんで
しんで
しんで
しんで
....
朽ちない白い 小さな花と
朽ちゆく赤い 大きな花と
今夜は何の夢を見ようかと
腐りゆく水に 足を浸しながら
ぽつり ぽつりと 言葉を落として
顔を上げると
月はなく ....
お月さま踊り場に降臨
満月にわっとおどろく
月と一緒に夜の音を聴く
月語も話せるメイドさん
あの日の風船が月まで届く
月夜は君のなかにある
ちよこは
「東京には海がない」
と言いながら
大坂なおみに対抗して
江戸前寿司を40巻食った
東京なのか
大阪なのか
ただでさえ
何言ってんのか分からないのに
いい加減
はっき ....
疲れ過ぎた旅人 詩さくの森へ ようこそ
樹海のしらべは 虫の競演 ささやく小鳥 つぶやく木陰
小川のせせらぎは 感じる者に寄り添って 曲を創り奏でる
静かなる 七変化の湖は 甘く、辛く ....
汗ばむ身体
あなたが振り向いた瞬間
色褪せた夏がぼやけて見えた
積み重なった夏の記憶
重みはなくまだ足りないくらい
終わりゆく夏の
後ろ姿を見つめて
寂しさを感じさせる影
....
むごい位置にゴム印が
落ちて居た
押すと五重塔が現れて
今を更新する
ケーキが食べたい願望を
不自然に抑圧するのも
不健康だから
五重塔のてっぺんのカラスを
目指して昇って行けば
柿 ....
夜の風孤独を洗う
もっと優しい嘘をちょうだい
つらいから星がみたい
少しずつ真珠になる
公園で自分を拾う
子守唄こころに寄り添う
てのひらから流星群
よくもまあ
同じようなバカが
登場するなと思ったら
こいつら全員同一人物だから
至極当然のことなのだ
こんなバカの存在
一人でも
宇宙的悲劇なのに
それが二人も三人もいたら
ブラック ....
君はずっと
私のことを 好きなままで
居てください
私は 誰かの隣で
朗らかに微笑うから
それは君への
復讐で
花の花弁を剥がすような
罪悪感を抱きまし ....
今日も静かに笛をふく
ノートにあなたの横顔を書く
白昼夢飛び立ったことば
雨が降るメールのなかで
夜は素敵さ星がみえる
君の声で君の恋を聞く
誰が私に声をかけなかつたのかわからない。
葱の花がしらじらとした土の上でゆれてゐる。
その下に妹の骨がうめられてゐる。
捨ててしまはなくてはならない。
丘をこえて夜 ....
夜が、急行列車のように
時を、間引いて、過ぎていくから
夢と現実の境界線は、いつも
曖昧に、滲んでいる
抱き締めあう行為は、
波のようなリズムを、刻みながら
深い海に沈んでいく ....
甘い声二度とこない、二度とこない。
ロンロンロンバケイションは黄色く目を細めた。
女性は整形をくりかえし 男性はふりむいてばかり。
若かったから使った、
使った音域をえらいきかいにとり ....
ここんとこ
ぱっとしないし
この先再ブレークの
見込みもない
そうなったらとりあえず
「引退します」と言ってみると
引退までは
あの頃を思い出したように
持て囃されること受け合いで ....
涼やかな風が吹いている
寂しげな曇天に包まれて
秋の気配が漂っている
僕は相変わらず臥せっていて
君の姿は遠くある
遠く響く君の声
僕は抱きしめ此処に居る
君、ぼくたちはどこから ....
私のもしもは妄想に溢れてた
もしも
お金ではなくて
愛情を融資する銀行が出来たら
手持ちの愛を預け入れる人がいて
それを借り入れた人は
利子をつけて返していくんだろうな
だけど預け入 ....
なにか
白い ものが
のこされて ゐる
うまれたものが
去つた そのあと に
そしてこつちを
みつめてゐる
長い午後に
時が
裏返 ....
街が明かりを失った夜
星々は本当の輝きを見せた
どんなに悲しい理由でも
それは純粋に美しかった
便利さと引き替えに
手放してしまったものが
便利さを失った時に
わたしたちを慰めてくれた
....
初めて
心が死んでしまうと 思った
初めて
ずっと ずっと 泣き続けた
初めて
気が狂ってしまうと 思った
自分から 振りほどいた手は
とてつもなく 痛かった ....
道の端に蝉が転がっていた
壁の影にひっそりと
炎天下の中へ這い出て
求愛を啼き叫んだおまえの夏は
一生が、
ここで終わったのか
あなたを思い出にするにはただ時間をかける
....
私の世代で
大坂と言えば
やっぱり大坂志郎だ
私にとって大坂志郎は
善人の男子代表であり
(女子代表は三崎千恵子)
こんなおじさんになりたいなあ
と思う数少ない人物の一人だった
....
ひとりで生きてくことが
出来るほど
優勝賞金凄いね、凄いね四億円
ウィリアムズがあんなに
怒った訳が
やっと分かった気がします
ああ大坂しぐれ
あれは高熱で友人の家での介護から帰った日だった
何通もの速達が届いていた
電話をください
父から
そして今になっても聞こえる
二階の昼時の母のスリッパの音
....
あなたは今後私達が子宝に恵まれたらどんな子になってほしい?健康な子ねそう言うと思ったわもちろん賛成よだけどね人は健康に死にいくことは稀なのよ私はこの子が風邪をひいて寝込んだら入院生活を送る人を思い頭痛 ....
怪我さんの筆力がすごい
そんなフレーズを思い出しながら
蓮の花咲く街道を
歩いていた
脳の絵が思い浮かぶと
白い服の男が
警察官に誰何(すいか)されて居た
自転車を道端に停めて
....
雨上がり まだ見ぬ楽土 虹に賭け 深草恋しい 梅雨しぐれ
ゆらゆらと 風の子守か ひまわりの 裏に隠れた 草虫ひとり
キラキラの うねりゆったり タイヤの浮き輪 浅瀬の小魚 遊び仲間に
....
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