冷酷な天使のしわざ
こたきひろし

草木も眠りにつく時間の
筈なのに
街はうっすらと目を開けていた

コンビニの明かり
その駐車場
寝静まる民家
周辺の道路
道路の端には
電信柱が無言のままに
立って並んでいた

どこからかやって来て
うろつく野良犬が一匹
なぜか大きな包帯を腹に巻いていた

その腹は異常に膨れていて
何か悪い病気にかかっているんだろう
包帯には犬の体液らしき物が染み付いて渇き
不衛生に汚れていた

犬に首輪は巻かれていなかった
きっと飼い主の誰かが外して
野良犬にしたんだろうが
その経緯はわからない

近くの電線に
いつの間にか黒い羽をつけた天使が止まっていた
時おり気味の悪い鳴き声をさせる
野良犬はすっかり弱っていて意識が朦朧としている様子だ

羽の黒い天使は
冷酷に時が来るのを待っている

ああ
食物の連鎖


自由詩 冷酷な天使のしわざ Copyright こたきひろし 2019-07-07 05:20:21
notebook Home 戻る