言葉なき夜
Giovanni

無言のまま
田舎へ
無言のまま
夜の新幹線
無言のまま
神は
地へと失神する

もう
言葉はないのです
日々の中にも
秋津島の昔語りにも
それなのに
今日も不満な顔を
してみせたり
いたずらに言葉を
濫費したりする

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ひとつの感動を伝えるのにじゅうの言葉を使ったら嘘だそれは人を傷つける怠惰にするやるせなくする本当は言葉はひとつもいらないうすあおい感情の閃きだけで沢山だそれなのにそれなのに言葉が止まらない無言の巨象の行進の中に襤褸をまとった主の姿を見つけ僕はいつまでも語り続ける見つけては見つけては語り続ける僕のためでもなく誰のためでもなく
2010.8.18


自由詩 言葉なき夜 Copyright Giovanni 2019-07-15 11:07:09
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