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長女からいきなり言われた。
「お父さん恋愛相談にのってくれない」
私は吃驚してしまった。
彼女はもうすぐ三十歳になる。

「それは難しいかな」
私はそう答えてしまった。
「どうして ....
暮らしの貧しさは容易に数字に出来るけど
人の心の貧しさは容易に言葉や文字には括れない

日々の仕事に心底疲れながら
休日にそれを癒せない
そこには命の貧しさが潜んでいるからだろう

平凡 ....
夏休みの宿題なんてどうでもよかった
日中 曇天か雨天でない限り
太陽はかっと照りつけて気温は空気が焼けるまでに上昇した

粗末としか言い様のない昼食をすませると
近くを流れる川で水を浴びるの ....
生家の庭の隅で鬼灯の袋が紅く色づいた
その袋を裂くと中の丸い実も紅く熟れていた

季節になると三人の姉妹は競うように
きように丸い実から中身を抜き取ると空になったそれを口に含んで鳴らした

 ....
青ざめた紙面の上に文字にできない言葉は蹲って
悲惨に陰った時のこの胸の奥には言葉に出来ない思いがひしめきあったりした

似てるようで寡黙と無口は違うから
普段は陽気で雄弁な人も
時には無言を ....
写真は嫌いだった
カメラを向けられてシャッターをきられるのは嫌いだった
私は顔や姿に自信がない
そればかりではない
衣服では誤魔化しきれない内面の貧弱さ

独り身の時代
異性は私を避けて ....
子供の頃に母親の財布から小銭を抜いた。
母親はそれを知ってか知らないか何も言われなかった。
勿論、紙幣には絶体手を出さなかった。バレてしまうし、それ以上に私んちが貧乏なのはイヤと言うほどわかってい ....
餓鬼の頃
駄菓子屋で引いた籤は
紐が何本もあって
その内の一本の先に当たりと外れが出た
当たりが何で外れが何だったかは忘れてしまった

俗説なのか何なのか知らないが
男と女は運命の赤い糸 ....
絵筆ではなく
言葉のペンでするスケッチ

現実からかけ離れた場所に椅子を置いて
そこに身を委ね
手には大学ノートではなく
スマホを持ってる

頭の中で思索を巡らしていたら
そこからみ ....
方角はどっちでも拘らない
もし空を円盤が飛んでいたら
それを目撃してしまったら
携帯電話のカメラ機能で動画を撮るなんてとんでもない
私だったら
何も見なかった事にする
直ぐに忘れてしまう事 ....
小學校に上がるか上がらない頃でした
ある日の黄昏時
お須賀ばあちゃんは便所で倒れてしまいました
凄い音がしたので
孫の私が見に行くと
お須賀ばあちゃんは横倒しになっていて
小刻みに体が震え ....
彼はアナログの世界に産まれた
自我に目覚めて初めて眠りから冷めた朝のこと

家のなかはがらんとして静まりかえっていた
人は誰もいなくて 気配さえ感じられなかった

まだ幼い彼は泣き出した
 ....
腕に時計したことがない

ダイナマイトの束、体に巻き付けたことがない
腕に時計をするなんて
それに等しいと思ってしまった

放課後の学校の屋上
飛んだことがない
放課後の黄昏は寂しすぎ ....
あたしの体をはんぶんこにして
あんたにあげるから
あんたもあたしに
体をはんぶんこにして頂戴

あんたと体をひとつに
かさねる度に切ないくらいに
そう思ってしまうよ

あたしの心はん ....
死ぬくらい
体は酷く疲れていた
のに

神経はやたら昂っていた

午前二時を過ぎていた
市営公園の駐車場に停めた車の運転席で
うつらうつらしていた

明日も仕事だ
工場で働く
 ....
お金がいちばんよ
手っ取り早くハッピーな気分にさせてくれるもの

食べたい物食べられるし
流行りの洋服とっかえひっかえできるし
素敵なオウチにも住めるんだから

他に眼に見える幸せってあ ....
鎖に繋がれたオスの犬
どこからかあらわれたメスの犬

二匹は発情していた

日は山の向こう側に沈んで
家もその周辺も黄昏ていた

小学校の終わる頃だったか
中学校に入った頃だったか
 ....
知らない誰かが亡くなったから
道端の電柱に黒枠のお知らせが貼ってある

そんなの見るたびに
自分の生存をあらためて
認識するんだ

今日の朝食は何を食べたんだっけ
そんなの直ぐに思い出 ....
いつか何処かで
人は誰でもその身体を無惨に千切られて
灰にされて
風に飛ばされる

そんな
ご不幸を
御愁傷さまですと
何度も見送ってきた
けれど

いつかはきっと
御愁傷さま ....
ゼロから始まるモノは何もない
と言う定説

一から始めなくてはならない

一夜の夢にあらわれた少女は
一糸纏わぬその身体を
幻想の寝台に横たえている

その乳房
その乳首
股間に ....
若くして世を去れなかった
若くして世を去りたかった
訳でもないけれど

明日の方角が解らなくなった
どうしても
明日の方角を知りたくなった
から
昨日を振り返ってみる
今日の私は途方 ....
若くて健康な女のこが
突然髪のスタイルを変えたり
化粧を厚くしたり
口紅を血のいろにするには
それなり訳があるんだと知ったのは
十八歳の時だった

ほのかな想いや憧れは抱いていたけれど
 ....
天井から悪口が聴こえる
部屋の壁に人の眼がひそんでいて
たえず見られている

などと口にした

彼女の精神は破綻している
のかな

比べて
彼はその経済が破綻しかけていた


 ....
もし
地球が半分腐っていたとしても
残り半分まともなら
それはそれなりに
バランスは保たれて
朝はやってくるし
日は暮れるだろう

何の根拠もなしに
そう思ってしまう私は
心が千 ....
断崖絶壁に追いつめられて
片方の足を踏み外した

寝床の中で右側の足を蹴ってしまった
それで夢だったと気が付いた

それはきっと誰でも見るに違いない
断崖絶壁から落ちる夢

フロイト ....
ある日
どんな気持ちの迷いか
それとも突発的な事故と解釈するべきか
お年頃の二人の娘に
お父さんは童貞だよ

言ってしまった

すると上の娘が何ら怯む事なく
私達二人共、小学校の時 ....
ちまたには暗いニュースばかりが続いているから
明るい話題が欲しくなる

そんな思いを数にたとえるなら
きっと算数だよね
数学じゃなくて

悪い噂は
それがたとえデマでも
一度立つと
 ....
朝は一番に鶏が鳴いた
庭の隅の小屋のなかで

戦後十六年か七年の頃だったと思う
私は小学校に上がって間もなかったと思う

山間の辺鄙な場所は
食料品に恵まれていなかった
私は痩せこけて ....
夜ふけに眠れなくて
理由もないのに
涙が流れ出してしまう事がある

それもこれも
人間だからさ
理由なんてなくても
泣いてしまうんだよ

もしかしたら
長く生きてきたから
涙腺を ....
愛情
漢字を逆さにしたら
情愛

私には
はっきり言ってよくわからない

性欲とか
性愛とかは
体からわいてくるから実感してるけどさ

愛情
なんて見えないし
触れないし
 ....
秋葉竹さんのこたきひろしさんおすすめリスト(213)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
人は哀しみの器じゃなくて- こたきひ ...自由詩220-8-18
傘の下に降る雨- こたきひ ...自由詩1220-8-8
蛇は何処へ- こたきひ ...自由詩620-7-19
鬼灯の袋が紅く色づく頃- こたきひ ...自由詩320-6-6
支離滅裂の嘘ばっかり- こたきひ ...自由詩520-6-3
古い写真は- こたきひ ...自由詩320-5-16
子供の頃駄菓子屋で- こたきひ ...自由詩420-5-10
当たりと外れが有るから籤なのさ- こたきひ ...自由詩620-1-4
抽象と具象、そして写生- こたきひ ...自由詩719-12-23
「もし」を重ね重ねたい- こたきひ ...自由詩319-12-21
死のオムニバス- こたきひ ...自由詩619-12-15
脳内の積み木が崩れていく過程には- こたきひ ...自由詩619-12-8
ナイナイ_尽くせない- こたきひ ...自由詩419-12-4
はんぶんこにして欲しい- こたきひ ...自由詩119-12-3
思椎の森で化石になってしまった- こたきひ ...自由詩419-12-2
アンダースローに投げ込まれ- こたきひ ...自由詩319-11-27
宿題はランドセルのなかに- こたきひ ...自由詩419-11-26
公平に分配されない- こたきひ ...自由詩419-11-24
よみがえります- こたきひ ...自由詩619-11-20
ゼロから始まるモノは- こたきひ ...自由詩419-11-19
若くして世を去れなかった- こたきひ ...自由詩419-11-17
恋情は火になって- こたきひ ...自由詩319-11-16
破綻している- こたきひ ...自由詩3+19-11-14
仮定の連鎖- こたきひ ...自由詩419-11-11
夢の正体は解らない- こたきひ ...自由詩419-11-9
月の満ち欠けにまつわる物陰- こたきひ ...自由詩319-11-6
誤算だらけのラブソング- こたきひ ...自由詩719-11-4
鶏だって- こたきひ ...自由詩619-11-3
夜ふけに眠れなくて- こたきひ ...自由詩419-11-2
愛してるとか愛されてるとか愛し合ってるとか、面倒臭く感じる時 ...- こたきひ ...自由詩719-11-1

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