マリアベール
丘白月


夕焼けの公園で
見えるものすべてが
影絵になって
私は千切れそうな人形
鳥が巣から見下ろし
虫達が葉の下で見上げる

風が髪をかき上げて
踊れと言うけれど
はぐれた妖精のように
ただ花の蕾で眠りたい

夕焼けの紫雲が
もう今日は終わりだよと
幕を下ろそうとしている
私の色に似て怖くて
でも美しくて泣けてくる

周りの花に
想い出と名づけて
心の花瓶に一本ずつ挿す

花びらを縫い合わせた生地が
マリアベールのように
私を包んでくれる
優しいのねあなた
愛をありがとう
今なら踊れるわ



自由詩 マリアベール Copyright 丘白月 2019-07-14 09:43:29
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