フェンネルの妖精
丘白月



月夜の晩に種を蒔く
今日聞いた言葉を思い出して

悲しくて
淋しくて
逃げ出したくてと

妖精が種を蒔く
香りをつけて
色をつけて
役にたつように

あした摘むひとが
幸せになるように
病気が治るように
一人にならないように

妖精は苦手な妖怪にお願いする
少しだけ魔法を下さいと

フェンネルを薬草に変えて
葉も花も月の海で眠り
ゆっくりと朝を待つ



自由詩 フェンネルの妖精 Copyright 丘白月 2019-07-15 20:07:40
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