爪の色を塗る
指先に春が憩う
私だけの春が
つま先の鼻孔をそっと覆う
設えた指が
織り込まれた雲母が
革命の讃歌をうたう
解放のマーチを奏でる
爪の色を剥ぐ
灰色の日が始まるから ....
地上で最後に咲いた花には
目がありました
かつて生存したあらゆるものが死滅し
文明の残骸さえ塵になった地上で
とうとう最後のいのちになった花は
青黒い雨に打たれながら
薄汚れた白い花弁 ....
○早めの避難というけれど
避難所まで歩いてはいけない
○早めの避難というけれど
猫に犬に牛もいる
○早めの避難というけれど
うちはいつもだいじょうぶだ
○早めの避難というけれど ....
月がどこかへいなくなった夜にきみもひっそりと消えてしまいました。行き先は火星ですか。それとも木星ですか。終バスがないからもう追いつけない。ここは当たり障りのない星です。ちょうどいい気温ではなくただぬる ....
セックスをした日時とその時の回数
その都度の感想をノートにつけていたのは
若い夫婦の婦の方だった。
職場の同僚
彼の奥さんだった。
午後の休憩時間に聞かされた話だ。
好奇心を刺激さ ....
大粒の涙‥‥いやそれは悲しみというよりまるで馬鹿げてるとしか言いようのないほどの荒く凄まじい憎しみの雨で草木の葉は低くうなだれ足元はたちまち泥の河となった白く靄の立つ密林を飛び石のように跳ねながらやっ ....
神様、どうか私を見捨てないで下さい。
心に悲しみ満ちて、静かに訪れる夕暮れに頭を垂れる時、
一人きり、森の奥深くにある小さな教会に足を運ぶ。
重たい扉の向こうに見える木の ....
熱帯夜がはじまると
民家や道路やの光を
もいで
食べる
行儀のよい獣たちが動き出す
アスファルトの白線を遊んだ痕
そうだ彼女らは南からここへ来た
屋根が静かに揺れ
こぼした光の匂い ....
ひたち
は
でめ
きん
ばば
あ
43
で
しんちょ
う
が
140
だい
で
かわいい
5ねん
くらい
あって
ない
けど
かわ
いい
から
つき
....
日本に長く暮らしていると、日本の特異性に鈍感になる、日本は特殊である、でも当の日本人は、その中で淡々と日々の暮らしをこなしているため、その指摘に、今更反応することなど、海外からの方々に対する愛想笑い以 ....
手にすれば砂になる
あのひとに似た 言葉の欠片
やがて風になり
記憶ごと消えてしまう予感
二人にとって
何の意味も持たぬ出会いだと
さよならも言わずに去ったひ ....
ふたつのアイスコーヒーをはさんで向かいに座る女の
喉元に何故かイヤホンプラグが刺さっていて
女は何かを話しているらしいのだけれど
ぼくには何も聞こえない
滑稽に口を動かしている女は
穏や ....
歌人は山崎方代がいい
俳句は種田山頭火
小説は太宰
それも「思い出」の書き出しの数行が好きだ
詩人は思い当たらない
有名は誰も
インターネットの宇宙に
儚く飛び交う蛍たち
私の好き ....
井戸の底に潜んでいるのは
あなたの澱んだ心だから
覗き込んではいけない
あなたの良心が背中を押して
墜落してしまったりすると
二度と這い上がってはこれないから
涙を流し続けても
....
何者かに肩叩かれて目が覚める
誰も居ない夜闇に腐臭が漂って
布団のなか嫌な汗かき死を拭う
彼女は勿論彼の所有物にはなり得ない。
なり得ないのに、男は女の体の奥深く入り込みさえすれば
自分のものだと勝手に決め込む傾向が強い。
そうなると土足で相手の心に踏み込むことも躊躇わない。
....
あなたがわたしにかなしい場面をなげつけるように
わたしは少数のともだちの手をとって
はるかなうつくしい景色につれてゆこう
靴底はピアノソナタの砂をふみ
風は弦楽四重奏のようにしずかに吹くだ ....
彼女は勿論彼の所有物にはなり得ない。
なり得ないのに、男は女の体の奥深く入り込みさえすれば
自分のものだと勝手に決め込む傾向が強い。
あなたが作ってくれたオムライスは変わらずわたしの好物で、特別に優しいのは終わりが垣間見えるから。見送りに来たあなたから逃れて、揺られて、揺られて、降りて、そこはわたしの街。あなたが追いつけないわたしの ....
土曜日の全国的に雨が降る沖縄は一足先に梅雨
日曜日何か予定を入れたくて美術館巡りマイブームに
月曜日身体のだるさ消えてない昨日の疲れまだ抜けてない
金曜日「土日は休みだ」そう思う何だ ....
幸せになる権利なんて持って生まれてこなかったよ
幸せにする義務なんてはなから有るわけないさ
ただ欲望は尽きる事がなくて
それを充たしたくて
お前に近づいて耳元で甘くささやいたんだ
それは ....
後回しにしてはいけない事ばかりが
満員電車の中の息苦しさを感じさせる
喧噪が頬をかすめて行き
銃弾のように耳を劈く(つんざく)
星占 ....
ジャズとロックに整合性があったとしても
水と油でとけあわない
いくらショパンやセロニアス・モンクを聴いても
ジャズやロックを理解したことにはならない
日々繰り返される残響への讃歌
これぞ!ロ ....
積もる雪と向かい合えば 白が僕を反射して
シャボン玉の底のように 過去の色が渦巻くから
そう、夜を明けて、また光が
新たな命照らしていくように 閉じた瞳開けて
生きる記憶
雨に降られ ....
僕のちいさな時間をかえしてほしいんだ
双眼望遠鏡に閉じ込められたほんの僅かな視差を
星雲の光年には追いつけやしないけれど
僕たちは自分のひかりの速度をもっている
パラダイスには遠いが自 ....
月に行く夢に沈んで死の予感
漆黒に光る波間に浮かぶ声
枯れ葉舞う夏曇りの空の下
宇宙の武勇伝に気をとられて
鰻と共に忘れる何か
稲穂を渡り行く風
極暑が緩んだ夕暮れ
遠花火の記憶の重なり
ジミーでも思い出せない
ルーチンワーク
差の女がつい視界に入る
レジは半ズボ ....
いつなんどきこの世界が崩れ落ちるかなんて
誰もわからないよね
もしかしたら世界は永遠にこのまま続くかもしれないし
だとしても
個人としては誰一人そこまでついて行けないわけで
コンビニの深 ....
うつる
ゆめみたいな空に
かわいたお皿
ながれおちる今日と今日と今日
耳たぶのかたさのパン
うそをついてやり過ごした
好きなくつ下をはいても
気持は汚れていて
みあげてもみさげ ....
女神は約束をしないし
願いも叶えない
女神は怒る
約束を破ったと
鬼の形相の女神を
性懲りもなく
あなたは
愛してしまうだろう
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