夜、は
首筋からこぼれ落ちて
かすかに甘い蜜のにおいを
隠している

命令に逆らいたい鳥たちが
もうじきそれに気づくだろう

囲いはすでに
万全なのだ



風がかく ....
はてない偶然で
おてがみをくれたとき
トライアングルのような音色がむねに
うちつけて反芻した

涼色のびんせんに
えんぴつで
ことばじゃないことばのられつと
はにかみ・かみみ
 
 ....
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ


清潔な距離がくれた
まどろみの ....
うつぶせに眠る広きもの
夢とうつつの燃えるさま
陽も月も星も遠のいて
目をつむり目をつむり行方を追う


空に書かれた余計なことから
目をそらしてもそらしても
響きは進 ....
わたしはわたしとは別に
川に沿って進んだ
曇は倒れ 消えたあとも
水の上に映りつづけていた


わたしはわたしとは別に
どうとでもなるものだった
民族の音を消してまわっ ....
降る傷
金の跡
午後の塵
地に空を作れずに


空の径やはじまりや
辿れないものを辿るとき
警告は来て
河口に置かれる


光の原をゆくものの
隣の闇を歩むと ....
風林火山のごとく
誰にも知られず家を飛び出したわたしたちは
しばらくおびえながら暮らし
酷暑の陽炎 むしばまれつつ
いまに至っている

洗濯もの 干してたら綿毛の種がとまる ふわり ....
朝七時半くらいになると淋しい

それはクセのようなものだ

夜八時くらいになると淋しい


ツメを噛もうとおもっても

噛めるところがないよ

だからツメのおもてを

したの前歯で研いでいるよ


朝 ....
じいちゃんが
死んで
棺桶に入れられた顔を
じっとみては
安心していたけれど
触ってみる気には
なれなかった

じいちゃんを
火で焼いて
消す
ひどく惨い
ごおごおと
火 ....
夜が夜を動く
ふたつの音
ふたつすぎて
削れる音


緑の鍵盤をひとつ呑み
崖を歩く
植物園
火のなかの釦
かけてはほどく指


前へ 前へ 過去ではなく
 ....
つむる左目から駆け昇る刃
羽を断ち空を断ち 花に降る


重なりすぎて見えない重なり
かき分ける拙い手


背を散らし 背を散らし
また夜は来る 夜は来る


 ....
歯は歯へとたどりつかぬまま歯となりて響かぬ箱を咬みつづけている



卵から卵のかたち抜け出して誰も居ぬ街誰も居ぬ日々



数列の文字の並びに指を置き現われる色あ ....
ヨウ素、セシウム、ストロンチウム

体内に入れば

なんにち、なんかげつ、なんじゅうねん

悪さをしつづける

ということは

その逆の現象もあるだろう

体内に入れば

 ....
インド料理のお座敷で

王様気分で料理を食べた

トマトのスープもほうれん草のスープも

オレンジ色したドレッシングのサラダ

マトンカレーにインドウィスキー

あれがあんなに
 ....
中国から来た客人たちと会食をした

市長や副市長、市の商務局の役人総勢20名ほどの一行だった

彼らのプレゼンをぼくは羨ましく聞いていた

ところでしあさって

アメリカはどうするのだろう

8月2日 ....
約束の

返事もなければ

予定もなにもたてられなかった

それでも信じて

返事を待っていた


そういうことが繰り返されていた

虫けらだって

天候不順で出てこなか ....
ぴよぴよと鳴く魚だけ撫でてみる



槍とおせ骨の目から目へ槍とおせ



分からぬと分かるの境に立ち尽くす



埋められて掘り返されて嗤われて


 ....
絵の具のにおい
月に触れる指
何処へもいかない


うたの行方は
異なる星
燃えおちる 燃えおちる


ひとりの内に ひとりは増し
さらにひとり
さらに緑
 ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす

ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
インドから来た 一隻のタンカーが 岸壁の前に泊まっていた…
だけど海は それを知るにはあまりにも広すぎた…
私の好きだったことは 一体 本当は なんだったのだろう
季節は 流れていく
そし ....
跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず

杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の ....
ベランダで裸になったまま
何もすることのない私は なんとなく今日はいい気分だった
このまま死んでもいいと思った
そうして いつまでも 私は流れる風に吹かれているようだった


ぼん ....
おまえら、大丈夫やからな、

ライトアップされた校庭で

サッカーを練習する少年たちにそう声をかける

こんなことくらい、大丈夫やからな、

くそ忙しくて、しんどくて、おまけにこんなことまでおこっちま ....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか

昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
浮かばない、
影、踏みに、
蝶が、ふくらむ、
ねむりの、底に、

レンズの、
おうとつに、
ざわめきが、
すべりおりる、
夕ぐれの、
回転を、

踏切の、渡る、
詩人に、
 ....
数学の教科書の端に
赤ん坊と女の子の絵を書いた
学校に通っていたころ
妊娠して学校を辞めた女の子が
頭の中を通ったみたいだった
次の日になって頁をめくると
白い女が赤ん坊を抱いて
昨 ....
車の中で弁当を食べた
月曜日
そうすることが好きだった
女の間で染みつけられたような
いつのまにか 染みついたような 生活


人は何を探して見たことのない世界をさまようのだろう
 ....
{画像=110726012953.jpg}

はるか大昔に天子が山頂にのぼり
おお我が美味し国よと祝詞を上げた山は
小さいころの遊び場だった

山の中腹には幾つか洞穴のようなものもあって
 ....
「リサイシャです。」 
突然の呼びかけにハッと顔を上げる
カウンター越しにその女性は佇んでいた 
小さな女の子を二人連れている 
一瞬 何と声をかけようか戸惑う


胸の底に沈殿している ....
なんとなく突発的なことをいわれて

あの日も遠ざけられた

七年まえの夏だった

ぼくはあの頃よりつよくなった

それでも失言したり

気持ちが暴れないようにするには

時間が ....
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