隻眼の花にこぼれる
はじまりの波のはじめから
めぐる魚からほどける光
片方の目はまばたいて
沈みくるものを受け入れる
敗れつづけてなお勝つものがあり
不幸せの上に成り立 ....
つぶやきみたいなものです。去年も書きましたが、また変わってきたかも。
○私にとっての詩
私にとって詩は、言葉では表しにくい、なにかを感じられるもの。
読んだとたんに、さーっと風だか時間だ ....
水の流れに
声は生まれる
ゆっくりとした高まりの
終わりのように反りかえり
声はまだらの身を起こす
鍵の花は水に咲き
傷をひとつずつ閉じてゆく
いつか流れに分けられた ....
漆黒の派手な呪文を唱えたらポップコーンは胸にぽろぽろ
あかきいろきみどりみどりあおぐんじょうお目目ぱちくりコズミックガール
遊園地ポケットティッシュピンク色ガールスカウト整 ....
今頃は、さらさらした風が吹いてきて
いつも 左肩から
あなたを感じる匂いが します。
昨日 通ったことのない
知らない道でデジャヴした
山吹色の花咲く庭の
崩れかけた壁の上 ....
3月だったか4月だったかに死んだ親戚の家を片づけに行った。
特に付き合いのなかった人で幾度か喧嘩腰の電話を受けたぐらいしか記憶がない。そんなもので片付けは事務的に淡々と進む。所帯道具一式、服、 ....
林の前を透明が過ぎ
曇をわずかに残してゆく
枝が風に
風が枝になるさまを
雨は照らしつづけている
水と水のふるえのはざまへ
羽はさしのべられてゆく
水を聴かず 音だ ....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている
嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから
....
泥棒が全て持っていってしまう不安な話に花が咲く母
そんなことあるはずないと言うほどに母の泥棒リアルさを増す
隣人もサイレンも犬も幻聴となりて王国平穏無事に
繰り返ししつこ ....
タイ/スラー/レガート気持ちをつなげてく夕べの電話気にする記号
夕立で駆けてゆく影薄く濃くスタッカートの指がぴゃんぴゃん
甘くしては駄目よショパンは辛口に誰かのために甘くなれれば
....
暖かな雨に追われて迷い込み君と出会った六月の町
徒に花びら数え占った恋の行方を君も知らない
花は花やがて綻び散るものの定めの前に花鋏有り
裏庭でか ....
東京より来たる夫のたこ焼きを返す手つきもあざやかになり
年少の子の足下に犬伏せる晩飯時の特等席なり
形だけの詫びにと届くふた箱のいちごが黒くなってく野菜庫
さっき ....
黄色い鎖が
何を縛るでもなく
地面に置かれている
廃車と遊具の鉄は響き
午後はゆらりと夜になる
夜のなかを
夜が動く
その高みにある輪郭が
すべるように落ちてくる
....
何を書き何を消し去る踏切夜
目の前に灯し火の音ひらく雨
歩む背に消し炭の夜やわらかく
描き出す描くともなく描く夜
春のうた頭上の夜に触れてゆく
....
何十年 経てど心は 角だらけ
朝おきて のっぺらぼうが ひとり居る
ふんばって 何も出て来ず もう四日
乳酸菌 喉にぎざぎざ 突き刺さる
預言で ....
「男なんて男なんて男なんて」スカートに泥跳ねてるオンナ
「メロンってあるラインから不味いよな」あるラインから男になる筈
安っぽいライトを浴びて身体売る僕んちへおいで夜店の金魚
久々の ....
戸外の夜
の射し染む方角
の窓
の四角
の、薄く
薄く
映写された壁
を
爪が
物欲しげに引っ掻けば
聞こえるのは
爪が引っ掻いたその通りの
かり、 ....
また一つ
約束を破った
夕涼む縁側
うちわ
ねつ
におい
笑うしかないと
娘は知っている
筍が好物だったじいちゃんのお墓は竹に隠れて見えない
ぷにゅっと踏んだよウミウシを去りがたい海に別れを告げるため
ご先祖の霊はゲームをセーブして茄子に乗っかりゆっくり帰る
来年もここの ....
一人で立っている
あなたは
吹きすさぶ風に向かい
横顔しか見えない
見せてはくれない
風があまりにも強いので
あなたは
目をしばたいていて
けれど
目を背けることはなく
....
朝は聞こえず
雨は遠く
水平線の陽
かたわらの光
からだをつらぬくかがやきの芯
やわらかくやわらかく変わるかたち
滴の重さの鳥たちが
つまずきながら屋根をわたる
....
好きな人ならいません
信じられる人ならいません
「誰が正しいのですか」
と訊いた時に答えてくれる人も居ません
この空は遠く遠く限りなど見せてはくれません
ヒ ....
花を摘んだの?
群青に沈んでゆく
風の流れてゆく
窓辺で
聞かれて
君の後れ毛を
遠くに感じて
僕は急に
君の腕をつかんだ
とてもやさしい腕を
君は驚いてそして笑っ ....
使い古された洗濯機から
排水ホースが引き抜かれた
水曜日の朝
子鬼だろうか
幽霊だろうか
革命 だろうか?
色落ちした青いシャツ
引き裂かれたピンクのハンカチ
絡まった男女の下 ....
つぎはぎの笑顔
目を閉じた笑顔
ひらくたびに変わり
ひとつ前のかたちに
重なりゆく笑顔
鳥のようなさよなら
午後の水たまりの道を飛ぶ
雲ひとつなく まばゆさもなく
....
硝子の車輪
木のからだ
眠るものの目
すぎゆく羅紗
散る花と花
車輪の内に
まわる一音
虹彩の舟
陽にあせた窓枠に幾つか浮かぶ
硝子の球の表面には
消えてしまっ ....
淡い色の
薄絹の
蕾の、開くのと
同じ音の
朝が開いて
アスファルトの
日向には、金の時が
日陰には、銀の時が
満ちて
ああ
もう
これ以上幸福には
....
寝床につく一歩手前で
眠ってしまった鈍色の子ら
夢のなかに置き忘れてきた
好きで好きでたまらないものを
とんでもない寝相のままさがしにいく
めざめてはねむり ふえてゆ ....
花に目をふせ
空を喰み
目の内の手に
空を聴く
花に 花に かたむく火
花に 花に したたる火
からだのどこかに揺れ育つ
ひとつの荊に耳すますとき
水の気配 ....
土に倒れた鉄の飾りに
剥がれた壁のかけらは積もり
錆の網目にふちどられてゆく
誰も住むことのない家が
はじめからそのために建てられたかのように
灰と緑にとけこんでいる
....
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