左目を右目にあげたのに
右目は涙を流さない
目が覚めたら一緒にごはんを食べよう
そう書いた手紙を残して
眠ったまま逝った人の声が
もう一度どこからか聞こえてくるまで ....
色とりどりの人々が
角を曲がっては消えていった
降る雪の一粒一粒が太陽になり
地を貫いてはかがやいていた
空に届かぬものと
地に届かぬものとが手を取り合い
壁を巡りつづけるものの目に光 ....
まあるいね
こんもりと
きいろいね
くっきりと
わらってる
うたってる
さぼてんの
はちのすみ
はるですよ
はるですよ
ここにいま
いきてるよ
草の原には緑の花が
常に誰かに呼びかけるように
異なる緑にまたたいている
山へ山へむかう道
途切れ途切れつづく道
雨の滴と羽虫がつくる
無音にひろがる水紋の夜
荒れ ....
道に生まれる影から名を受け取り
代わりに人差し指の火を手わたす
消え去らずにいる冬の手をとり
きょうからこれはあなたのものだと
受け取ったばかりの名をつぶやくと
道を灯す影たちの ....
いつかわたしは
わたしから名を与えられた
わたしではないわたしが
鳥のように道に立っていた
地にも 空にも
翼は落ちていた
遠い光の日に
熊は殪された
血は流れ
人の内に ....
家の間に間に沈む,うすら赤い月よ
発酵よ
若きオイディプスのため息よ
残光よ
名残のみとどめる冬の冷気よ
お前の移り香よ
一つの歴史となるか
二つ目の笑い話となるか
悲哀は,ただそ ....
音と音のはざまに積もる景
積もることなく消えてゆく影
夜の雨のむらさきが
朝の雨の金に変わる
そのはざまの 一瞬の銀
ふるえのはじまり
つづくはじまり
はじまりとはじ ....
ひとりの子が崖に腰かけ
流れ落ちる雲を見ている
左手に大きな一枚の葉を持ち
右手を降りようとはばたく鳥に差し延べる
鳥は子の手を傷つけることを迷い
崖のまわりを旋回している ....
いま全てを弔うために
一つの歌が降りてくる
それは風にのって柔らかく
全ては安心して死んで良い
そして私は一粒の悲しみを
小さな微笑と淡い幸せとを
火にかけて燃やすだろう
遺され ....
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続く ....
まちがいなく
だいじょうぶ、と
つぶやいているときは
すこし
くじけぎみのとき
やっぱり
だいじょうぶじゃないや、
なんて
わはは、って
おいつめられてた
じぶんを
わらって ....
ここは檻
張り巡らされた
電線
手を伸ばせば 届きそうなのに
届かなくて
....
冬の陽は降り
地は紫になり
雪は一言に昇る
翼は一瞬を負い
朝を蹴立てて
音は姿を撒いてゆく
雨のつづき
戻らない色
薄目をあけた午後の
窓に映る抱擁
すべ ....
あなたはきっと
さみしい
よながに
わたしに
でんわを
かけてくる
はなしの
ないようなんて
ほとんどない
そんな
じかんが
....
あなたが死んだら
私も死んでしまう
そうなのかもしれない
よく 聞く台詞だし
でもね
あなたが死んでも
私は
なんとしても
強く生き抜くわ
それぐらいの覚悟 ....
叫ぶ日がある
消えては現れるこの手の
痛みのない痛みに
叫ぶ日がある
叫ぶ日がある
空の半分を砕く雪に
曇を落とすことをやめた風に
叫ぶ日がある
....
気付いた 俺には、語彙力がない
俺の詩(っぽいもの)の中に、難しい語句は出てこない
気付いた 俺には、タイトルセンスがない
俺の詩のタイトルだけ見ると、なんかクサイ
気付いた 俺に ....
シャツとセーターを
いっぺんに エイッ と脱ぎ捨てるように
思い切って
まだ冷たい風の中に
私をさらしたら
その勢いに 驚いて
くよくよする私も
ピョンッと飛び跳ねるかもしれない ....
土に消える冬の後ろに
秋がひとり座っている
秋は川を呼ぶ
秋は 海鳥を呼ぶ
濡れた道に飛ぶ鳥を
声は薄く追い抜いてゆく
傾いだ空のむこうへ むこうへ
雪から目覚め ....
強がりがどんどん本当になって
日付変更線が迫るときすれ違うとき
もっとも不幸になり
次に風が吹いたら灰になって散ろう
穴にいろいろいれよう。
となりの ワン ャンが
わたしの パンを
....
あ、そうですか、死ねと言うんですか、わかりました。では。
みんなは、生と死の境なんて、曖昧だと言う。
今、こんな駄文を読んでいるあなたの存在も、曖昧だと言う。
確かに、ここに世界 ....
空の青
金の傷
夜と朝が入れ替わる時の
きしむような激しい音が
無色の地平にひびきわたる
空にぶつかるひかりの歌
ひらいた腕にふりそそぐ歌
大きなはじまりの雨にまぎれて ....
あなたと
よるだけに であう うたを
よるだけに わかれる うたを
こよいの まんまる しゅるり ほどいて
よるだけしか みえない うたを
よるだけしか きけない うたを ....
列車に乗り
外からの赤いランプが
暗い寝台を照らせば
望郷の始まり
そのまま眠りに入って・・・
朝になって乗り換えをして一時間
その後バスに乗り30分
そしてバス停を降りれば
....
電柱の光の下
吹雪の光の下
からだに積もる雪をはらう子
はらってもはらっても
雪は来て
髪は 揺れて
通り過ぎる低い光に
風は終わり
また はじ ....
まぼろし ほんとう
おわり はじまり
すすむ もどる
うえ と した
からだのなか
こころのなか
たましいのない
からだなのか
こころなのか
....
春がきて 天馬のかたわら うたう声
あなたは散るもの あなたは咲くもの
舞う応え 飛び去る天馬 葉の光
散るものたちよ 咲くものたちよ
....
霧の間に差し入れられる
細く小さな指の雨
霧が一度震えるのを見る
傘ひとつ分だけ熱くなり
灯ひとつ分だけ冷えてゆく
線路から吹く風を歩む夜
あちこ ....
わたしにはおかあさんがいます
おとうさんもいます
いもうとも
おじいちゃんも
おばあちゃんだって
ともだちはたくさんではないけどしっかり
しりあいとよべるひともそこここにゆびさすことができ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188