小さな鳥が豆を啄んでいる
その豆はでも私の豆なのだ
小さな鳥が啄んでいる豆は
その豆はでも私の豆なのだ
恒久の世界平和を祈念する
父さんはニ層式洗濯機の中で
ぐるぐる洗われている
家族みんなに
臭いって言われるから
姉さんは乾燥機の中で
父さんと同じように
だけどひっそりと回っている
好きな ....
毎朝君の家の前を
自転車で通り過ぎる
しばらく走ると
駅に向かう君の後ろ姿が見える
昨日も会えた
一昨日も会えた
そして今日も会えた
艶やかなロングヘアーが
朝日を浴びて輝 ....
窓を閉めれば
肌を撫でる寒さは居留守を使われ
ガラスを通り抜けて
冷たくなった雰囲気を
盛り上げる穏やかな
秋の太陽に温まった教室
昨日までそばにいた
串刺しの的はもうい ....
私は飛んでやってきたんだ
聞いているかい
欲しいんだよ 君が 私は
楽しんでいるかい 今日も孤独だ
遠くに山が 私は見えない
イギリスやオランダの商船
負けじと出航するよ 私 ....
窓に映る窓に映る窓に映る窓の奥の
水も枝も光もひとつに
人の外からこちらを見ている
無いものを踏むたびにたちのぼる
生きものの夜
かがやきのない星に満ちた
小さ ....
森を乞う
雨というサークルがあるなら足を踏み入れてみたい
それは穴という穴から
窪みという窪みに媚びりついた悔恨の手垢が
思い出の活性剤となるようきれいさっぱりに落としてもくれる
....
ふうがわりなふくをきて
ちちがははを
こんわくさせる
にあってると
おもってるみたい
ふきだしながら
ははがわたしにみみうちする
だからだまって
にあってるねと
....
違うというのなら誰かここで明確に説明してほしい
私は少し焦りすぎていたような気がする
今は みんなに悪いと思う
砂場が見えた 一人で 子供が遊んでいる
俺なのかもしれないと思った あれは ....
うれひを小脇にかかへ
不眠の患者の眼のうへ ありく
うすひ壁なぞすすす あへなし
やる気もうせたこのカラだ
サイレントピアノを百年たたく 人真似よろしく
肺病む少女をゆうれひ ....
秋になったら家を出る
軍手とシャベルを持って遠く遠く
九月いっぱいは歩き続ける
十月は釣りなどして過ごす
十一月が木々を染め出したら
場所を決めて、あとは待つ
落葉を敷きつめてその上に座る ....
強烈なマー坊豆腐を食べたみたいに何か鼻が苦しい、
全身から大量の汗が吹き出してくるようだ、
もうきっと駄目なんだ、
私は唐辛子なんてもう絶対食べない。
嫌いになりそうだった、人間な ....
かつて、私の泣き声の
代わりに歌ってくれた小さな川
その横を闊歩する
今の私の泣き声は
私の子宮にうずまいているから
軽やかに
川縁を散歩することが
できる
水の流れる音
さらさ ....
おお、そうか、薔薇か、薔薇を育ててみたいのか、
彼らはそう言ってとても喜んだ
それなら、この本を読みなさい、とくにここは口に出して何度も読みなさい、
彼らはそう言って励ましてくれた
....
行方満ちる目
未明ひとつ触れ
踊りかなしく
ひと呑みひと呑みが
耳につもり
うなじを下り
冬の馬が削る
原 崖 丘
かけらを ふりほどいて
....
誰だってカラフルな菓子を食べていれば 人は幸せに思える
人に私は失業者の白い目で見られながら
日本という国の寂しさを実感する
今日私が手にしたのは何色の菓子なのだろうと見ている
瀬名 ....
夜空に視線を移さなきゃ
涙が零れるのを隠せやしない
本当に孤独という奴は
どうしても現の後に訪れるのやら
生きているその理由を尋ねられれば
永遠で無限の静寂を恐れるからと答えよう
早く ....
「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く
う〜ん、淋しいかも
開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛 ....
しじみはしゃべらないけれど、
しじみ同志にしかわからない事があるのかも
しれない。しじみにはしじみのことばがあっ
て、いまも会話をしているのかもしれない。
海の風に立ち
素肌は陽 ....
酔いすぎたあとの朝の目覚めは
透明な悲しさ
霧の湖の水面に
さざなみがたち
底がゆれる
どこまでも沈めるようでいて
波間にただようしかない
ぼくの影はぼくの形から
女の長い髪が広が ....
私は今日も、何一つすることすら今は無い。
一人さまよう私は傘もささずに、
一人私は目を覚ます。
私は雨の中を。
シトシト雨は降り続け、
いくつもの清掃車が外を音を立て通り過ぎる。 ....
今日も仕事に思いすら無くている男は何をすればいいのかと人にたずねていた。見えたいろいろなものをがつがつと食べていた。近くのハンバーガーショップで肉を買いだめし、男はテーブルに並んでいた肉などを食べ ....
何もかもが過ぎて行く
そして何もかもが帰って来る
落とし、奪われ、失くした何もかもが
心の中では連綿と紡ぎ直されてつながって行く
これをウィーヴィングと呼んでいる
トリックとまでは行かない修 ....
101031
風の夜に
眠りこける
九官鳥を起こす
眠い眼で顔を上げ
朝が来たかと呟いた
風が無い日に
のんびりと
そよ風探して飛ぶのだと
....
やねのうえを
あめがあるいている
なかにはいりたくて
しかたがないのだ
しめわすれたまどから
なかをのぞいて
さんのあたりを
なみだでぬらして
ひとりで深夜に大量の酒を飲みながら、何も思わない私も浮浪者と眠るそこで何一つ思わないから多分自由なのだと思える。様々な物事についてをひとりで考えながら、雨の中の散歩道を風のように過ぎ去りながら駆け ....
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公営であるタクシー乗り場でボッタクリのタクシーと交渉し、着いたばかりの体はくたくたに疲れ果てていた。何か迷い子のような気のする私には確かな風景などそこには無いように思えた。彼らはフランス語はでき ....
涙が乾く音より高く
まばたきの音は昇りゆく
午後が午後に
耳すます午後
月への道に
擬態する羽
水は満ちて
器を呑んで
ばらまかれて
途方にくれる
....
何だっていいからはしゃいでいただけの夢だったから振られたのかなぁ
なつかしいにおいの雨だと思ったがなつかしいのは雨の日だった
あられもない願いだったね 流れ星消 ....
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川には白く白く波が立ち
いくつもの太陽からの光が反射している
南と瀬名が歩いている光景が堤防の上に浮かんでいた
今では大きなマンションが並んだロケ地を
飛んで行った 青いスーパー ....
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