破けども破けども澄む紙の橋
前からもまた前からも冬は来る
零時すぎ雨鳴らす雨踏み外す
ばね壊しばね上下する遺棄の庭
何と ....
小学校から家に帰ると
母の店に勤める悦ちゃんが来ている
兄たちは学校からまだ帰らない
今のうちに二人で遊ぼう
きっと楽しい時間になるだろう
ぼくはランドセルを投げだす
悦ちゃんは少年少女世 ....
焦げついた喉の奥に最も暗い夜がある
野犬逹が吠える
それは肺のもっと奥の方
何処か雲で霞みがかる月
歌いだせば
全ては煙のように這いで
誰の耳に入ることもない
それは誰に ....
ゆっくり
ゆっくり廻ってはいるが
いくつもの次元を孕んでは吐く
ぷいと吐かれたものたちは
孕んだ種子をふりかえってみるが
そのうしろでひろがる樹海にたちすくむ
透明なスプーンのようにへ ....
僕の名前の近くに
誰か立っていた
漢和辞典を忙しそうにめくっていた
若い頃の父だった
僕の名前は祖父がつけてくれた
父はぼくの出産に立ち会わなかった
そういう時代ではなかっ ....
忘れては夏の水底のぞきこみまばたく広さまばたく遠さ
無音から無音に至る無音には尽きた灯の色ただ打ち寄せる
激しくも涼しき雨を走り抜け糸ぬぎ捨てる ....
白と黒が
澄んで灰となり
風に回り
風に旋る
皆たなびき
布にくるまり
渇いたまま
濡れている
風のひとつが
曇に触れるひとつを見ている
着 ....
なんか冷たい物が背中に当たった
冷凍林檎
ソレは自分の心だった
水分が凍って
膨張しているから
綺麗な赤が鈍くなってて
焦った
だって冷たいんだもの
それでも齧って
だれか食べて
....
本当のかなしみを知るひとは
かなしみのあり様をあれこれと邪推せず
涙で濡れた手のひらにあたたかな眼差しを重ねてくれる
本当のかなしみを知るひとは
ひとの過ちをあれこれと論ったりせず ....
雨を収めた油燈を持ち
光の先を追っている
呼吸の近く 銀は増し
振り向くたびに水は映え
標と標の会話をふちどる
沈む沈む
水は遠く 地も遠い
話しながら髪留め ....
※アメリカのライト・ヴァースの経緯については「ライト・ヴァース雑感2」をお読みください。→https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=215625
こちら、 ....
雨が光のように鳴り
つぼみの冠を流れおちる
隔て 隔てられ 近づく咽
咽の上の咽
震える糸
不安を呑み
さらに渇き
片目を閉じる
降るものは降る
....
わたしはどこにもいません
だからどこにでもいるのです
わからないまま
刻みつづけているのです
灰が灰に手を回し
車輪のように夜になる
波が生まれ波を追う
鏡の裏に降りつもる
見えない星を聴いている
海を指す道
影の筆
水わたる光
夜を夜へ運ぶ手のひら ....
ブブゼラという字が既に騒がしい
しかめつら東大仏文それなりに
批評屋の作品集見て大笑い
ハイボール薄めりゃいいのか炭酸詐欺
....
さよならもいえないのに、
ありがとうなんて
いっていいのかな。
わたしたちのじかんは
ながかったけど、
またあいたいな。
ゆがんじゃったけど、
そばに ....
「織姫、彦星」
一、
年に一度の逢瀬の日だと地上が先に盛り上がってしまい、天上の二人は今ひとつ盛り上がれない。
二、
毎年「あの時の子よ」と織姫は子供を連れて来るが、ど ....
去年のいまごろ
子供が拾ってきて
ミルクを与え
病気だった目に
抗菌の人間の目薬を差してやって
鼻水拭いてやって
お尻拭いてやって
おトイレおしえて
ゲロも掃除して
一緒の部屋に寝て ....
誰にも迷惑かけないで
当たり障りのない方向で
車内の携帯電話は捨てて
社内の恋愛報道はスプレーで駆除
噂する奴等は
永遠に改心しないから
ガムテープで止めちゃって
ぐるぐる巻きに ....
ひらき ひらき
また変わる
ひらき ひらき
変わりゆく
鉄に降る虹
坂をゆく午後
水をすぎる影
花や光や 曇をかかげ持つ
脱げば脱ぐほど
次の次の ....
湿った風 追い風 まとわる
体中すいこんだ わたしたち
早足で 砂浜のような 濡れた アスファルト
バスを 待つ余裕も なく
霧雨は 小さく崩れて 銀色 とけあう熱気
あ ....
あなたの過去にはあまり興味ない
だけど過去を語るあなたの瞳は好き
たいして聞いていないのに
よく聞いているフリをするのは悪い癖
どうして夏は
私たちを過去へ引き戻そうとするんだろう
陽 ....
雨が光になるときに
置いてゆく穂は十の色
水銀の譜の散る窓に
まぼろしのかたちが来ては去る
爆ぜては透る
限り ....
閉めきった部屋の中を
風が吹き荒れるなんて信じられる?
でもそれは本当のこと
現にそれで海は荒れ
帆をたたんだ私の帆船は
航路をそれて思わぬ方へと運ばれた
情熱からくる行為のそのほ ....
私達は風景を食べている
そしてもうひとつの地球のような
そんな世界を造りその上を歩いている
しかしそれはとても、とても小さい
幾つもある小さいを繋いでみようと試みるが
誰も縫い目ひとつに ....
孤独でない人間なんていない。
その事実だけが、私を安堵させる。
職場の上司が、手品を始めた。カード手品ってやつだ。時々、その成果を披露してもらう。だいたいは金曜日の飲み会である。飲み会自体が手 ....
私が原因の口喧嘩
沢山怒鳴られた。
ごめんなさい…
だから そんなに怒鳴らないで?
ごめんなさい…
自分を護る術を知らなくて
貴方を不快にさせてしまったね。
怖かった。
....
蜂蜜の瓶で溺れ死んだ
ミツバチのことを想ったら泣けてきた。
べつに私の涙なんて
彼の家族の足しにもならないのだけれど。
珍しく恒雄君が
人気者になった日
茶色い毛の鼠の死体を
拾ったのだ
集団登校の上級生たちに
捨てろ捨てろ
そう言われはたかれ続けて
教室まで来た
当然エン ....
手のひらも夜もはざまも降りそそぐ漂う紙の大陸を踏む
わたしゆえ突き放された時の色たとえようとし止めた日のこと
たくさんの懐かしき文たなびいて涙な ....
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