鏡台につもる
見えない髪の毛
ふさふさとこぼれ
足指に触れる
鏡のふところにあなたはいる
鏡の声に応えるあなたと
ほころぶような微笑みと
映ることのないわたしを見 ....
しっとり、これは
濡れるために、素足
群れる草の土に冷たく踏み入り
行き場を失くしたことのない、
何処にも行かない、素足でした、濡れるために
こっそり、あれは ....
空が地よりも明るい夜に
ひとり鉄路の内周をゆく
なだらかな緑の
揺れつづける闇
雨と雨のあいだが泡立ち
ひるがえる白
ひるがえる光に
動かぬものは四角く抱かれる
....
ライオンさんのやる気が
ゼロでしたので
わたしは舌打ちをしました
タイガーさまも同様でした
残念でした
同じくネコ科のクロヒョウくんは
動いていました
しかしなが ....
強い信念があれば
幼子の指一本で
巨人を倒すことも出来る
二機の飛行機が
大国の象徴を滅ぼしたように
しかしその信念は歪んでいたために
多くの生命を無駄に奪い
....
思い出
と
記憶
の違いを知ってしまってから
僕は
思い出喪失患者
になりました
何が綺麗だったのかも
誰が愛しかったのかも
今の僕には
何の意味も持たないようで
....
あの子は逝ってしまったのよ
夏の名残の陽射しが注ぐ朝の庭で
何度か苦しそうに喘いで
だけどそのうち眠るように
少しづつ少しづつ
呼吸が弱くなって
愛するみんなが見守る中で
頑 ....
ごらん あれは
眠りの間際の窓辺たち
ごらん あれは
烏賊を釣る船の漁り火
人々の暮らしは在り続けていてくれる
汗をにじませながら
涙をうるませながら
人々の暮らしは在り続けていてく ....
「はい、親方は仕事のできる人で信頼されていました。それに奥様思いの優しい方でした」
「3日も無断欠勤なんて絶対におかしいと…。電話を入れても留守電のままなんです」
「で、家に寄ってみたんです。チャ ....
足元に散らばる光を
ずっと数えていた
胸元にひろがる光を
ずっと数えていた
目をそらしても 目を閉じても
....
窓の
繊細な網目を透過し
すらすらと寝室の私の乳房へ浸透するのは
透明すぎるから、透明すぎるからです
空気中の夜
に含まれる鈴の
リ…
その中には、鈴、それは
リリ…
....
至近距離で選ぶ 想像の快楽とロマンチシズム
目線のやり場を 一体どこに持って行けばいいのかと
目視の限界点で 目をしばたたかせる男と女
何をそんなに見つめていたのかは、人それぞれである
まった ....
雨の夜
宙に惑うのは
報われなかった
言の葉の亡霊たち
人を傷つける為に生まれました
見下す為に生まれました
罵倒する為に
揶揄する為に
己に言い訳する為に生まれました ....
空が割れて
大きく割れて
なんという光のむだづかい
小さな笑みを照らしている
生まれてはじめてお付き合いをした男性が結婚したことを知った。当時は男性というよりも男の子だった。愛読書だと言い、『風の歌を聴け』を私にくれた。そうして自分の為に新しい本を買っていた。今も愛聴 ....
第三公園にて
子供たちの遊びがバタリと終わり
夕刻が全く遊びではなくなったころ
通称・動物公園、を
理解できずに正しく第三公園と呼んでいたら
わたしの待ち合わせだけが上手くゆかないまま
わ ....
自分の投稿した作品にポイントが入ると、嬉しいです。
それはもう、半端じゃなく嬉しいです。
一応は「良い」という証としてのポイントであります。
しかし、「頑張れ!」だとか「仕方がないなぁ」だと ....
人の生き死にをたやすく
詩になんかするものじゃない
と、貴方は私に云い
今のところ
概ねだけどそれは守られている
けれど私は
貴方の生きざまと
死にざまだけは
しっかりとこの眼 ....
まなこ に にちりん
もろて に こがらし
つち の かんむり しろ こだち
かぐわし みつ むし
たわわ の やま つき
かぜ の ふところ ....
目の前に浮かぶ空気の穴に
全身を押し込むようにして消えてゆく
たくさんの鉄の踊り子たち
かすかにふるえるゆがみを残して
三発目のライダーキックが、
不発に終わった時。
ジューの命運は尽きていた。
だが、
ここで敗北を、
認める事は出来ない。
来る金目鯛星人の襲撃を、
眼前に ....
おかえりなさい、が あったのだよ
ひらけば其処に
おかえりなさい、が あったのだよ
そとから帰って
よごれた手も洗わずに
とってもとっても
温かかったのだよ
....
今ちょうど音が途切れたので
ここをひらいています
何かが途切れなければ
ここをひらく気にはなれません
流れのなかに異物があります
見えたり見えなかったりします ....
ふわふわが
ふわふわに言います
もっと
ふわふわになる
光が光に目をふせ
渦の生まれを見ます
ふたつ
生まれた
ほつれ
ほどかれる指が
からまわりし ....
午前三時。
君はまだ喋ってる。
冷えたパスタを、
フォークで突っついて、
ぺちゃくちゃり。
ワインを、
手酌で注いで、
ごくり飲み干して、
ぺちゃくちゃ ....
その階段は
まぎれもなく階段であった
手入れの行き届いた草木
と
光を反射する 白の像
そこは
入り口にも満たなかったのだ
まぎれもない階段の途中
この両目は
....
線引きされた空からあふれ出て
黒雲は地へ
黒雲は地へ
つながるものがなにも無いところへ
おまえには何でも話せそうだ
....
からだをすり抜け まわされる腕
天使よ てんし 地使よ ちし
少しだけ浮くおまえの軽さ
水たまりの上の葉を踏んで
湿った土にひろがる重さ
毒のめまいを消し去るめまい
新たな ....
久しぶりに自転車をこいだ
思いのほか重くって
にわかに
ふくらはぎが
注意報
堪え
堪えて
焼鳥屋を目指す
男ふたり
「とりあえずビール」
と
....
蝋燭の炎が
自らのロウで噤むやいなや
細く白い一筋の上昇気流に紛れている、あなたの
残り香の腐乱による、鈍い苦痛を
わたしは貪ります
空耳に耽る耳には、耳の
幻 ....
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