連立する高層住宅の緑は孤独
メタリックな金魚は
雨の日に口を開けて上昇するんだ
施錠された鍵は傷ついている
何度も何度も何度も
屋上に取り付けられたばかりに
また傷ついている
無 ....
流れた
ふ う け い
目の端に
ひ
っ
か
か
った
まま
優しい笑顔の裏側に
何があるのかなんて
考えない
人は簡単に違う顔になるよ
夕暮れ時
空を見上げて
それがどんなにきれいだったとしても
空の上は虚無なんだ
野茂投手が
大きく腰をひねり
ボールを投げるのを
見ていると
カッコイイ
僕と同じ大阪で育ち
朝が弱いので
朝の練習はとても
嫌いだったらしい
米の、放送局のインタビュアーに ....
蒼い霧のなかの笑み
塩の光がつくる馬
曇を歪ませ 熱は駆け抜け
止まらない空を追いかける
足跡のような湖が
山の間につづいている
冬は地平の桃色の奥
静かに静 ....
真っ青な硝子に
ぴたりと張り着いて
外を夢見る
きっとこのガラスの外
夜の空気は突き刺さるほど
鮮やかに胸しみ込んでいく
世界の底
....
小指を口にひっかけて
人差し指で垂れ目をつくる
ほら、こんなにおかしい
薬指で鼻を上に向け
やり場のない親指と中指
ほら、やっぱりおかしい
お前、ちっとも笑わないね
そう ....
まあ、もう、ごたくを並べるのはやめにする
ごたくって、どうやって並べるか知ってるか
こう、定規をあてて、まっすぐ、きっちりな
ちょっとの乱れも許さない、職人のようにな
例えばこ ....
ところで
お前の魂はどこをさすらうか知っているか
俺は知らない
知らないけど、知ってるぞ
今来た言葉だ
真冬のさなか
さなかの、さなか
どっかそのへんてこ ....
どんな時でも
どんな時でもだ
どんな時でもだのことを想像してみろ
創造もしてみろ
例えばこうだ
ああ、あれは何だと皆が天を指差すとき、そこにはぎらぎらと燃え上がる太陽が、
急に目も ....
道端に操り人形
ごまかして 抜き足差し足
阿波踊りで路地に消えても
光りに照らされて糸 見えてますから
聖なる夜にサーチライトの雨あられ
悪行は穴の開いたカビカビチーズ
大衆の面前で焼 ....
アスファルトへ積もる
冬の薄日は、果てる灰のような、諦め切った
沈黙だ
枯れ枝とその影の
黒い交錯は、解答の無い、冷めるスチールウールのような
沈黙だ
嗚呼、真 ....
腕に映る
影が熱い
揺れ動く羽が
胸をのぼる
淡く濃いもの
避けられぬもの
肩から飛び立つ
こころ失きもの
冬の小さな虫たちが
茶碗のあたたかさ ....
君のそばに
まだ天使はいるよ
黙って
君を見守っている
僕は天使じゃないけど
君を見捨てたりしない
君の笑顔も泣き顔も
心に焼き付いている
僕は ....
みんな白や金を胸に受けとめ
白や金の朝に溶けそうだった
目を閉じた笑み
草のなかの笑み
肩から上を
地の陽に向けて
誰かが果実を抱いているとき
どちらが果実かわか ....
(TOXICを頭の中で♪しながら)
俺はトラックの運転手なのだ
俺は骨の髄まで運転手なのだ
居眠り運転してても目的地に着いてしまうのだ
これは本当のことなのだ
そんな調子で大きい事故もや ....
いつか
星になれたらいいナ
いつか
ひとりじゃなくなったら
今の私が
星になれたらいいナ
叫ぶ声が聞こえるような
星になれたらいいナ
虹が
吹雪いてるよ
夜の窓は魔法であるから
てのひらに息を
当てて
もつれている糸を
たぐる、ダウンは
少しジッパーが
しまりにくい
川と友達になりたい
流れの無限に逆らい
....
「今日は型をとります」
左下の奥歯
仮であった詰め物を削り取る
ロマンスグレーの先生は覗き込む
患者の口の中を
少しずつ優しいタッチで(でも音はキライ)
痛くないように(でも音はキライ ....
あなた以外いらない
これが俺の本音
今 あなたは誰といる
今 あなたはどこにいる
炎のような嫉妬で
俺は自分自身を焼く
あなた以外いらない
これが ....
連れが後から来るなんて
嘘だよ
運ばれてきたコーヒーの熱さも
凍った心には
効き目が無い
お前といっしょなら
今日死んでも
明日死んでも
明後日死ん ....
いつか見た後ろ姿
壊れた橋
すぎる川
流れのそばのねじれの幹
降り積もる午後の色
午後の音
ちぎれた紙に書きしるす道
ねむりにつく子が
二本の木を夢みる
通り ....
長く伸びた草野原が
風に揺れているので 波
転げ落ちた赤い実
踊るよ 上へ上へ
昨日 満開の花びらが
今日 空へ旅立つ色彩の吹雪
舞い上がる柔らかい湿度
甘い香りを連れて 一斉に ....
朽ちる物質はいずこへ
俺の動脈に記憶される
一つの日時計となる
形なき真実はいずこへ
真心という舞台に
役者は惰性の流れ
さらに垂下した綺麗なカーテンが
それなのか
せつなき寂しき ....
金にあふれる雲間には
鳥も魚も子らもいて
紅と灰の問いかけに
青と銀の応えを返す
にぎやかで静かな暗がりの廻転
こぼれつづけるうた受けとめるのは
やわらかなやわらかな ....
唇紋のような首飾りをして
一筆書きの花束を持ち
彼女はひとりテーブルにいた
誰もが通り過ぎてゆくうちに
花束は水彩になったので
髪の毛のなかの夜のため
彼女は少し首を ....
?
軋む音
水の音
小さな舌の音が来て
流れるように傾きを変え
流れるように消えてゆく
指のひとつひとつに降り来る
泣きそうな笑みの光がある
触れる間もなく消え ....
白につづく銀と鈍
黄につづく金と土
線は繭にくるまれていて
まるくなり まるくなり
連なりのなか震えている
海と川の鳥たちが
街の橋を
曇の朝を越えてゆく
ふたつの ....
問い直せない問いばかり
白い段差に降り積もる
足もとにくずれては舞い上がり
白い段差に降り積もる
くずれるものらは道になり
道の下へと波打ってゆく
吹雪のなかを
....
車に轢かれつづけた傘が
側溝の泥のなかで鳥になり
やせた鉄の羽をひらくとき
午後の空はもう一度泣き
街をゆく人々の手を濡らす
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