{ルビYou Suffer=ユー サファー} 硝子の飯喰え {ルビYou Suffer =ユー サファー}
You Suffer {ルビ心=ゴミ}と石くれ You Suffer
....
土を醒ます波があり
音は音のかたちを追う
水紋 はざま
ひとつ咲く花
ふつふつと赦され
指でたどりつづけている
四方が水の
{ルビ鈍=にび}の径
そこに ....
金を吐きます
ゆっくりと また
金を吐きます
緑です
*
みずいろのさかなを
凍ったうみで
凍ったうみの
その下で泳がせている
気泡の、結晶
つめたい手
掬うことのない
うたがう事もないさ
たとえばわたしたち
ストレスにまかせて
....
ひとりしか居ない器を器ごとひとり呑み干す冷えた指もて
呑みつづけ呑みつづけても酔えぬのはただ両目から流れ出るため
道を燃し壁を燃す手を振りほどき歩む ....
水晶を砕いてください船底でふゆの花びらかくまうように
捨ておいた言葉に幾度も拾われて星座のたもと鋭角を知る
閉じかけた波音の日がよみがえる月の鏡の無言を浴び ....
雨に不安と不機嫌を飾り
原のなかを歩いている
遠く 近く
水の姫は咲いてゆく
坂へ至る午後があり
ふいに流れ落ちてゆく
遊びも笑みも
到かぬほどに落ちてゆく
....
ねこがいなくなった
遊びに行ってると思っていたのに
帰ってこなくなった
家族はみんな心配した
一週間経っても帰ってこなくて
保健所にも連絡した
交番にも連絡した
近所の人にも話した
....
逆さまの絵が文字になり唱になり降り来るを視るひとりけだもの
かけらからかけらを生むはおのれなり触れもせぬまま砕きつづけて
水涸れて見えぬ片目に見えるもの ....
季節だけにではなく別れを告げるということ
窓のない部屋では聞こえないということ
言葉で削った窓のむこうは万華鏡じゃないということ
中途半端な闇の中
(匂いのしない風がテレ ....
水色のそらを眺めていると
水ではないのに水であるような
或いは逆でも済むような
忘れものの気楽さを
ひとつふたつと
思い出す
降るものは
雨なのだろうか
不思議そ ....
首から下の感情が
水の底にひらいている
水は濁り
水は隠す
鳥が一羽
木守りの実を突いている
子らの悪戯な指と目が
雪の枝に残っている
ほのかなものが上にな ....
妻が平日に東京へ行くことになった。
友だちが故郷の鹿児島から仕事の都合でこちらに来るので会いに行くということだった。
ほぼ十年ぶりの再会だそうだ。
鹿児島から東京に出てきて、僕と結婚し、千葉に引 ....
りんごを食べたら
なつかしい故郷の味がした
と言ってはみたものの
この街で生まれ
この街で育ったから
故郷らしい故郷なんてどこにも無いんだけど
でも、不思議なんだよね
ひとくちか ....
水は軽くなり
あたたかくなる
その道を通り
音は離れる
緑が
水を洗っている
映る景は減り
やがて失くなる
短い香を捜す指
見つけられたものは燃されゆく
....
もしもここに
うつくしい空き箱があったなら
お風呂のように入って
外を眺めよう
風の吹く
外はやさしいように見える
口笛も吹こう
あの懐かしい歌
箱の片隅には
ヒイラギが落ちてい ....
つかんだ指のむこう側に
つかむものの無い手のひらがあり
こだまにこだまを描いている
思い出せない景色の絵葉書
置き去りにされた花束の色
河口の波と雲の色
紙 ....
ひとつ静けさ 眠れずにいる
泣いてしまうほど やわらかなもの
放りなげた願いを数える
断崖 砂漠
わたり鳥の背
ひとつのなかに 異なる目がある
朝と夕が
水面を碧くす ....
日々過ぎて無言の声の荒れ様に{ルビ正常=まとも}なものの異常さを知る
つながりは有るのに無いも同じことそのままでいるひとりしている
咆哮の色もかたちも変 ....
硝子を失くした窓の列を
鳥と花と草木が通る
ここは痛みを知らぬ胸
ただまなざしに焼かれるところ
道から湧く音 光まじる音
重なりを解いてはつなぐ音
....
暑くもなく 寒くもない
昼と夕の変わり目に見る太陽は
ぼうやり として
霞み懸かった空の川を
漂うように 浮かんでおりました
このように 繊細な秋の日には ....
きゆうううううううがががががが
せまいせまい毛布の中で
かたまった感情を
溶かせ・とかせ
すれちがうことも
無心でおいかけるのも
からだがなければ
この下肢、裸足
つめたい
....
都会に住みはじめ一番変わったのは
靴が汚れなくなったこと
母に駅まで長靴持ってきてと頼んだのは
実家に帰った際の笑い話しとなったし
でこぼこ道に足をとられることもなくなった
色とりどりに ....
木琴が鳴る
放つことなく
受けとめるまま
木琴は鳴る 木琴は鳴る
明けてゆく夜
蒼つなぐ蒼
明ける色の手
見えない手
隅に集まる
光の渦
紙に染み込み
....
恋の壊れる音を
はじめて
私は聞いた
恋は
すがるしかなかったのだ
制度に
あるいは約束に
あなたを
愛しむ理由がないように
あなたを憎しむ
理由もなくて
強 ....
水のなかに
水と同じ言葉が落ち
跡は皆
光にくちずさまれている
降る水のにおいが
道を流れる
砂に埋もれる火を映し
鏡は旧い水を横切る
知らずに光を呼吸しな ....
踊る阿呆見る阿呆つれて飛んでゆけ
雨くわえ曇すててゆく鳥の群れ
風ふいて燃えないゴミの笛ひびく
人のこと言えない自分ふくれゆく
言えぬまま言おう ....
風から来る音
歩むもののまわり
色を結うひとり
こだま かこみ
うしろのこだま
触れることなく
浮くかたち
雨が起伏を均し
地の光は消える
ひとつがひとつ ....
めまいがするほどに単純な設問の数々
「はい」か「いいえ」のいずれかで答えよと記されていた
簡単な筆記試験だからと
人事部のひとはわたしを残し出て行った
小一時間もあれば出来るよね
何だかなあ ....
しずかに激しく
ひとたちが群れては
やさしいことばをかけて
やさしいことばにすくわれる
ああ、きみの手ぇ、あったかいねぇ
網の目たちがあくしゅを、している
みえないものをわたし ....
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