耳を焼け
耳を焼け
体内を聴け
正しくはない
美しくない
体内はもういい
正しさも
美しさも
もうどうでもいい
おまえでさえあればいい
また ....
クロワッサン クロワサン
まなじりから噴き出す血で
壁に矢印を書いた午後
みんな走る
みんな追う
みんながみんなを追ってゆく
矢印は乾く
黒く笑う
....
海辺に目覚め
布団は血まみれ
真夜中の床屋
不良に目をつけられ
街じゅう逃げまわり
夜明けに手打ち式
波の音しずか
しずか
....
たくさんのこぶ
たくさんのこぶ
ブラインドの空の切断面
白わたる光
目に触れる光
滴をまさぐる指の腹
かたちをかたちに呑む光
....
曇の奥を塗る機械
膝より低く咲く冷気
土の下に見つけた花
あなただけが見つめた花
後ろ姿の母の電話が
谷の底に沈んでいる
言葉は未だ
鳴りつづけている
....
重そうな空たおしたら蠅まみれ
光るなら先に教えろ糞稲妻
政治屋の住む通りだけ雪は無し
消えるのは己れが先か火が先か
おまえらがおまえらかどう ....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし
応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく
....
白に付いた
銀を削ぐ
白になど
付いてほしくなかった
かちりと鳴り
風が止まり
吸うようにひとふさ
寝床に入りこむ
寒さにしびれ
何も感じないのを ....
火に呼ばれ
膝に呼ばれ
地にしゃがみこむ空から
したたり落ちる血に呼ばれ
前触れもなく終わり はじまる
何も持たない一日の音
傷は風に近くひろがり
傷は轟き傷はひ ....
どれほどの闇が
闇を憎みつづけているのだろう
どこまでも闇のまま
在りつづけることを信じて
錆びゆくは錆びた空の下みな錆びて白を見上げる白の海鳥
器から器へ踊る手焼けただれなお幸もとめ笑みをいつわる
泥のなか流るる傷をひろいあげ ....
闇と闇が話している
静けさが首すじを去ってゆく
遠い扉から
のびる明かり
岩の呼吸を冷ます波
夜へ遠のく夜を照らす熱
朝には消える
氷の鐘
雨のなかの灯 ....
ほんとうかどうか
知らないけれど
詩の勉強会
みたいなところで
こんなふうに言われるらしいね
悲しいだとか
せつないとかの
感情を指すことばを使わず
あなたの気持ちを伝えてご ....
真上の月
四つの杯
ひとり去る猫
ひとり去る猫
蝶が蝶を吸いに来る
重なりのむこうの波
波のむこうの冬
より硬いものに触れ光は撓む
くすり指のふ ....
おまえはひとりのふりをするがいい
常に書かざるを得ないものなら
おまえの余裕の臭いがわかる
おまえはそうして滅びるがいい
ひとりのひとりを知るものは
岩を岩を岩を岩を
....
あまりにも説明しすぎの四行を褒めそやす人嘲笑う人
無理解を嘆く人こそ哀れ也ただそのままにそう在るものには
四行を望むものには四行が聖域のよに立ち ....
海のにおいの雨
さかしまと笑み
風を赦す
告げるものなく
歴史を失う
黒く 短い道
雪に埋もれた野の向こう
雨がひとつ膝をつく
さかいめ ちぎり絵
....
原より白く
街が燃える
影も熱も人も空も
見えない波に流れ出す
曇の胸が
樹や家に添う
高鳴りが
さらにさらに遠くを照らす
ちからの反対へ滴は落ちる
....
冬の晴れ冬の曇りを追う度にまなざし昇る水銀の粒
すぎる火を花のかたちに切り裂いて尽きることなき風旗と成す
はばたきのようにまばたく目がひとつ ....
ひとしずく
器 くちもと
遠くを
ぬぐう
ひとくちを
映す
静かな渦が
冬の曇を見る
膝の上の
鈍色の背
どこかで
どこかが
うたっ ....
剥がれてもなお身を削る付け焼き刃
死人らの声聞き飽きて冬燃やす
首くくる光の如き窓のうた
忘れては腐りなお呑む火酒かな
....
木の葉の奥の
窓の灯
到かない地を告げる
ひとり と
つぶやくもののなかの
ひとり
響き
光の洞
青 散り積もる
水を這い
背を ....
窓 雪音
指 しずく
たどるままに
ころがる闇
水と光と
骨の轍が丘をめぐる
わずかな冬のはらわたを
苦く苦く抱きとめている
半ば沈んだ
舟の ....
冬枯れの木立のつづく泥濘の道、
小さな水溜りに爽やかな青空を映して
名も知れぬ誰かの、
虚しく残した懸命な足跡を
突然、山の麓から軋む音ともに登ってきた
四角張った黄色い一匹の獣が、
鋼鉄 ....
早朝に目から冬空吸い込めば高くそびえる水銀の道
誰も居ぬ場所を迷えば誰か居る今にもいのち消える目をして
星が噛み窓が割れても空ふたつ棄て置かれし ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨
水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる
空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
こすりつけなすりつけても骨ひとつ炎のなかに己れ染めゆく
路地裏の真昼飛ぶ夢みるときに知らず知らずに携える骨
灰よりも大きく滴の外に出ず元のかたち ....
からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら
道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を ....
静かな日
雨の海
庭の瞳
はざまとはばたき
銀と鉛
指ひとつ
滴のなかの
鉄 ひとつ
息の道に立ちどまり
手首を返し 風を離す
緑の陰の水が動き ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目
はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
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