痛みを持ち上げて
此処に立っている
へしゃげた首も
切り落とせぬまま
鉄のような水面
なにを想う その心
芯から病んでしまった
水無月の花々よ
重たすぎる花弁を
いついつ散ら ....
緑の瞳
銀の髪
あなたは誰とくりかえす
あなたの金のほころびを
激しく雨が降ったあと
川の流れが増すときに
面妖達は遊びはじめる
水草と樹と両岸を
ひと筆につないだふちどりが
そのまま激しく動き出すとき
じっと見つめすぎてはいけな ....
まともな人たちが
まともなことをやり
まともなままでいるのを見ると
ああ この人たちは
まともでない人たちを
滅ぼそうとしているのだなと
恐くて恐くてたまらなくなりま ....
色画用紙に一日の花を描くよに
夏服の少女の贅沢なアトリエは
少し柔らかなメイプルの
敷き詰められた木床の上で
重なるパウダービーズのクッションが
転がる足先まで受け止めた ....
誰も気付かない
雑草に埋もれながら
濁った太陽を浴び
くたびれた大地に根を張り
凛と
揺れる花びら
意地っ張りな道の端
譲れない生き様
誰も振り向 ....
風を含んだふくらみが
道からひとり飛び立とうとしていた
波は空を洗いつづけて
地平に着いては羽になった
指は闇に触れていき
倒れたままのかたちを知る
波を無色の魚 ....
日常の扉から ちょっと寄り道して
いらっしゃいませ
荷物をお預かりしましょうか
溜息をお預かりしましょうか
洗い晒しのジーンズを着るように
....
君の歌が聴こえる朝には
泣きたくなってしまうんだ
少しだけ風の冷たい、
土曜日の始まり
齧りかけのトーストと
マーマレードのかすかな苦味
それから君がア ....
しく、しく、しく、は
いつも夜で
いつも雨で
それらの夜の
それらの雨の
夏呼びの音が度重なり
しく、しく、しく、が、ひとつの
酷く暗い気体となり
ねえ、午 ....
悲しみが生まれた頃は
見えないものなのです
それは
徐々に姿を現すのです
時間が経つにつれ
小さくなることはありません
同等の質量を維持したまま
心の真ん中に居座り続けます
....
ワイパーが傷んでいるから
拭いきれない水滴で視界がぼやける
思わず停めたパーキングで
いらだちが募り空をにらみつけた
そう これが私なんだ
些細なことに感情を左右されて
....
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている
カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
今日はやたらとカラスが鳴くね
梅雨の晴れ間の風の強い日
まるで、おとむらいの鐘の音のよう
黒い飛行船が青い空に消えていくよ
風景を切り取って
荘厳な葬送
....
たくさんの葉のなかの
ひとつだけが震えていて
どこか見えないやわらかなものへ
届かないくちづけを繰り返している
なにゆえに見放すことができようか我が奥底に棲む群盲を
しかばねの多さに目を突き哭き叫び地獄の番犬喰らう日に記す
何億人殺めようとも救われぬ我が魂に触れるもの ....
風と草がつくる螺旋と
屋根の上の鴉をひたし
雨は雨の光を撒いて
ひとつふたつと陸を離れる
水が水に与える冠
ひととき またひとときと
川のかたちの既視となる午後
小さ ....
ぬるい湯につかって
雨の音を聞いた
誰かが来るまで
ここでこうしていようね
体温の方が暖かいから
わたしたちはゆっくり交じり合う
都会はいつも キリキリしている
僕の前の人はいつもイライラしている
僕の左の上司はいつもガミガミしている
朝
電車のレールは 毎日叫んで
電信柱は やめろよ! と
引っ張り合っている
....
銀に生まれる朝が来て
蒼や灰の約束は
果たされたまま
果たされぬまま
みんな静かに並びはじめる
ひろい光の場所があり
滴は滴のままでいる
新しい歌がひとつあり
球面 ....
西の空の
あの薄桃色は
今日を
黙って許してくれる
と いうしるし
明日を優しく
連れてきてくれる
と いう約束
大きく大きく
愛されている
ぬくもり
光る機体が
傲慢に突 ....
とどがいます
打ち上げられました
寝ています
どこにも行けません
助けて
なんて頼まない
とどだから
なんだか疲れたので
しばらくここで休みます
ひとりです
ダイヤモンドダスト
....
感性に年齢は関係ないか。
と、聞かれたら。やはり「関係はある」と答えてしまうだろう。
まだ10代前半の頃、詩(のようなもの)に興味を持ち、作品と言えるほどではないにしても、走り書きのよ ....
昨日までは夢だと言う
あなたは夏に向けて静かに融解していく
水をたっぷりと含んだ世界で
それはとても自然なことのように
梅雨の中にいる
紫陽花が咲いた
午後にゆっくりと傾斜 ....
1.
先を急げば
見失うものが沢山あるけど
先回りして
待つのもいいかな
なんて思うこともある
2.
夏の日の雲は
柔らかくて大きくて
わたしの悩み事 ....
遠去かる陽がうなずいた草の輪にやがて降り来る雨のふちどり
痛む目となだらかな背を持つものは皆それぞれにぽつんとしている
ひとりだけ此処に居ること奏でれば返る応え ....
蒲公英
背の高い蒲公英
雀を追って降り立つ鴉の
姿を覆い
目を眩ませて
揺れる蒲公英
鴉 悲しいか
雀はいない
揺れる緑と緑の隙間に
わずかに震える渇いた土が ....
深呼吸の意味を教えて下さい
と、遥か空に問うのです。
朝鳥が木々を揺らして
飛び立つ足元から 追いかけてくる
化学物質を溶かし空 空間を
切り裂き 切り裂き飛んで行く
....
〜夜明け〜
森の呼吸
白く霞む朝
誰かの声
遠く響く
満たされる
満たされる
静かに濡れた空気
新しい命
〜静かな午後〜
緩く開いた手のひらを上に向けて
目を ....
「昨日はふたつの嘘をつきました今日は今日とて数え切れずに」
たくさんの傘が車道をすぎてゆく雨上がりの陽に影を失くして
風あおぎ枯れ川の春祝うのは帰る場所無き ....
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